色川武大のレビュー一覧

  • うらおもて人生録(新潮文庫)
    色川武大(1929~89年)氏は、小説家、エッセイスト、雀士。中央公論新人賞、直木賞、川端康成文学賞等を受賞。阿佐田哲也名義での麻雀小説作家としても知られる。
    本書は、学校生活に馴染めず、中学中退のまま、担ぎ屋、闇屋、街頭の立ち売り、プロの賭博師等の職を転々とし、アウトローの生活を送った後、ライター...続きを読む
  • 私の旧約聖書
    著者自身が無信仰なので、信仰に立ち入らず、独特な解釈を淡々と述べていく。
    曰く、旧約は「神と人間の契約」と中心テーマにしている。そういう意味で、神と人間は対等。
  • P+D BOOKS オールドボーイ
    本作は色川さんの遺作となった短編集で、晩年に書かれた作品が10編収録されております。作品の主軸となっておりますのは、芹沢博文棋士の最期をそのまま実名で記録した「男の花道」や、かつての無頼仲間のその後を書いた「男の旅路」といった男シリーズでありまして、特に「男の旅路」は、賭博場で知り合った二人が客観的...続きを読む
  • うらおもて人生録(新潮文庫)
    1.著者;色川氏は、小説家・随筆家・雀士です。学校生活に馴染めず、学校をさぼって、映画・寄席・喜劇に熱中しました。人生哲学は、「ツキの流れを読んでそれに従う」「欲張りすぎず、九勝六敗を狙う」と言われています。著書の「黒い布」は、三島由紀夫・伊藤整・武田泰淳に激賞され、中央公論新人賞を受賞。「離婚」で...続きを読む
  • 狂人日記
    読んでたときは、主人公の男が感じる幻覚や幻聴、悪夢をどう捉えていいのか探しつづけながら一ページ、また一ページとすすめていった。ここ、いいなととりわけ思った場面はなかった。
    でも桂子と対話する最後の場面がおそろしく気持ちを攫っていった。この小説の大半の部分を仕方なく読んでいたような気もするのだけど、仕...続きを読む
  • 狂人日記
    狂人とはどこからなのか。自分は健常者なのか。境目のあやふやなところを綱渡りのようにぐらぐらしながら歩いている主人公の定まらなさがどうにも切ない。痛い、苦しい、おかしい、怖い、それでも共感してしまう。なんのために生きているのか、生かされているのか考えなければいけない小説。
  • うらおもて人生録(新潮文庫)
    色川武大 「 うらおもて人生録 」プロ論であり人生論。若い人 向きに書いているが、若い時には わからない 現場感がある

    著者の博打打ち人生から プロとして細く長く生き抜く術を論じた良書。共感する言葉が多々ある

    共感点
    *プロはフォームの世界
    *9勝6敗を狙う
    *運をコントロールする〜運は 公私を...続きを読む
  • 百(新潮文庫)
    色川武大 「 百 」 家族との関係を描いた私小説。

    この本で描かれているのは
    *劣等意識を基礎とした 著者の人と違う生き方
    *近すぎず遠すぎない家族関係、ただ在るだけの家族
    *死を描いているようで 徹底した生を描いている

    「小説は〜大きな道を歩いて造るもの〜お前は大きな道を歩いていない〜それじゃ...続きを読む
  • うらおもて人生録(新潮文庫)
    自らを劣等生と称し、阿佐田哲也名義で麻雀放浪記等を手掛ける元博打打ちの著者が、自らの経験から得た人生に対する聡明なしのぎ方を記した、暖かみと愛を感じる人生録。
  • P+D BOOKS 小説 阿佐田哲也
    これは色川武大名義だが、形式としてはもはや博打打ち或いは麻雀小説家の阿佐田哲也でもなく、或いは実直な小説家の色川武大でもない、
    誰でもないような、敢えて言えばもうすっかり隠居してしまって昔の自分を第三者の目線で見守る視点で書かれた小説。
    麻雀放浪記もそうであったように実際どこから本当でどこまで小説な...続きを読む
  • 狂人日記
    浅田作品はいくつか読んだが、色川名義の小説は初。少し前の読売新聞に関連記事があり、読んでみた。

    読み始めは幻想や夢の話が多く、途中で投げ出そうかと思ったが、次第に引き込まれてしまった。

    殆どの場合、狂人も常人も見ただけでは分からない。自分に見えているものと他人が見ているものが同じとは限らないし、...続きを読む
  • うらおもて人生録(新潮文庫)
    とても読みやすいけれど、なんとなく流して読んでしまうと頭に入ってこない内容なので、何度か読んだ方がいいと思った。またその価値がある本だと思う。
    大人が読むと、強くうなずける部分があるので、子供に読ませたいと思うけれど、果たして中学生ぐらいの子が理解できるかどうかは分からない。
  • うらおもて人生録(新潮文庫)
    自らを劣等生と位置づける著者のその同じ生きにくさを抱える若者への暖かい言葉の数々。本音で家族や友人に語るような調子で語っていてとても親近感が湧いた。物の考え方が所謂世間で言われている事の逆であったり、人間心理を見事に捉えていたり、ああやはり勝負師として生きて来た人なんだなあと思った。特に運の良い悪い...続きを読む
  • うらおもて人生録(新潮文庫)
    人に関する興味を根底に、すべての人がうまく共存ができるようにしていくためには、つまり劣等生も優等生も含めて「どう生きるか」ということを実体験から描いている。

    キーワードとしては、フォームを持ち、つねに勝ちすぎず、負けすぎず、これを貿易という形で続ける。連勝も連敗も通常ではないし、また勝ち方も器量的...続きを読む
  • うらおもて人生録(新潮文庫)
    麻雀小説で有名な阿佐田哲也。
    彼の色川武夫名義でのエッセイと言うか、もっと重い「言葉」。
    「もう俺先が短いんだよ」
    「くだらん男なんだよ」
    と言いながら、「人に何か教えようとしようとは思ってはなく」「おれ自身の事を話すだけ」というスタンスで世の‘劣等生達’に‘生き抜く技術’を語ってくれる。
    お人柄が...続きを読む
  • うらおもて人生録(新潮文庫)
     著者の人間的魅力がにじみ出てくる作品。
     作品、といっても、若い人……特に劣等生……に対して、いかに人生を生きていくか、を自らの体験を踏まえて説いている。
     著者の体験だから、博打は出てくるし、己のだらしなさもおおっぴらにされている。
     そして思った以上に精神論にはならず、むしろ理論的という...続きを読む
  • 狂人日記
    支離滅裂な譫妄は狂人が常人を装って叙述しているようでそのしっかりした文章は彼が常人であることをはっきり意識させる。退院まではそう思っていた。しかし『狂人日記』の真価は圭子と同棲を始めた以降から発揮される。自身の狂気が自分の意識外で起こる恐怖と、親密なる者を喪失もしくは緊密に成れぬ恐怖が巧みに描写され...続きを読む
  • うらおもて人生録(新潮文庫)
    劣等生の為の生き方を説く本書。
    今までには聞いたこともない内容も多くあり、とても新鮮に読むことができた。
    著者自身が自分を劣等生として認識しており底辺から人生をどのように戦ってきたのかがベースにある為、非常に説得力のある内容になっている。
    これは何度も読み直したい本だなと思う。
  • 狂人日記
    読み終わるのが惜しいのに、あっという間に読み終えてしまいました。
    精神科にかかったことのある私には共感するところも多く、すっぽりと作品に浸かってしまいました。

    私はいま色川武大さんにハマっています。すごく読みやすくて、ずんずんと読めてしまいます。面白いのかというと、よく分かりません。作家本人の非凡...続きを読む
  • うらおもて人生録(新潮文庫)
    運についての考え方が著者の人生観に如実に反映されていた。

    勝負の世界において、連勝はしないという考え方もおもしろいなぁーとおもう。
    著者の経験を通した身近なアドバイスは、現代の抽象的、科学的な手法より、すっと心に入ってきた。

    2915.10.25 船橋 喫茶あずみ