色川武大のレビュー一覧

  • 百(新潮文庫)

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    最後に収録されている『永日』という短編で語られる父親とその関わり、それを書くことで浮き上がってくる「私」、そこには全く同じでは無いけれど無視することは出来ないわたしの人生との共通点があった。感情移入というより、そこに投影し反射してくるわたしの今までの人生に居心地の悪さを感じた。自省もはじまった。少し狼狽えた。それでも読み進めずにはいられない素晴らしい文章に誘われて読み進めていけば、そこから繋がるようにわたしの人生にもあった「きわだった或る一日」とそこから伸び拡がってきた日々を思っていた。今も思っている。よく晴れていたあの「永い日が、どうにもこうにも、暮れて

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    2025年03月04日
  • うらおもて人生録(新潮文庫)

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    色川武大さんの生き方に痺れた。
    時代も違えば環境も性格も違うが、死線を潜り抜けてきた生き方がかっこいい。

    全く同じに生きることはできないが、生き方の参考、学びになった。

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    2024年08月24日
  • 百(新潮文庫)

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    主に退役軍人の父親との関係を描いた私小説4編。
    父親との親子関係を契約ととらえた『永日』、父親とのズレた会話が印象的な『百』など、淡々としたなかにリアルかつ冷静冷淡な展開がなんともいえない。
    本題とはズレるが、『連笑』の中の競輪に関する部分(32頁あたり)の解像度の高さはさすが。

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    2024年05月17日
  • P+D BOOKS 街は気まぐれヘソまがり

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    『街は気まぐれヘソまがり』/式川武大

    昭和文学安定のP+D選書。
    式川武大氏の洒脱かつ庶民の視点によるエッセイ。時はバブル全盛期で、エッセイの中にまさにバブル崩壊とその後の予見をばっちり匂わせるものもあり氏の所見の鋭さにハッとさせられる。ただ殆どは昭和ののんびりした時代の氏による雑文で、疲れずに、楽しみながらページを捲った。

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    2024年01月20日
  • うらおもて人生録(新潮文庫)

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    2015/9に読んでいたことを忘れて再読。
    9勝6敗、先行、うまく負ける等々の示唆に富む言葉の数々が響く。

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    2023年10月29日
  • P+D BOOKS オールドボーイ

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    麻雀放浪記の阿佐田哲也氏の別名義(とは言えこちらで直木賞作家ですが)、色川武大での短編集。
    私小説から短編作まで50歳で昭和世代の自分にはどれも読み易い。勿論ばくち打ちから書生の世界へ入り込んだ氏の話には華やかさもあるけど、安心できるんです。幼少期の「道路の虹」の黒揚羽で通底させる世界観の美しさ、表題作の「オールドボーイ」は昭和の名優、川谷拓三主演あたりで観たいなど。

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    2023年05月07日
  • うらおもて人生録(新潮文庫)

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    劣等生に向けて生きていく上での技術をつらつら語る。みないな内容でしたね。

    文体のせいか、年配の方に酒場で話しかけられてるような印象を受けました。

    色んな人を好きになること。

    勝負や運に対する考え方。

    弱点の活かし方。

    その他もろもろのお話しを、色川さん自身の体験に基づいて書かれている感じですかね。

    博打場での経験を例にして、勝負や運について書かれている部分は独特な視点があって面白かったです。

    私自身が劣等感を抱えてきたタイプなので、自分のマイナスな面や弱点を見つめ直しながら読みました。

    正直、よくわからない部分もあったのですが、時がたったらまた読み返してみたいですね。

    全体と

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    2023年01月30日
  • うらおもて人生録(新潮文庫)

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    色川武大(1929~89年)氏は、小説家、エッセイスト、雀士。中央公論新人賞、直木賞、川端康成文学賞等を受賞。阿佐田哲也名義での麻雀小説作家としても知られる。
    本書は、学校生活に馴染めず、中学中退のまま、担ぎ屋、闇屋、街頭の立ち売り、プロの賭博師等の職を転々とし、アウトローの生活を送った後、ライターとして数々の実績を残した著者が、「学校の成績でいえば十番以内のエリートよりも、それ以下の成績の若者を念頭において」、「生きていくうえでの技術」を語ったエッセイ集である。初出は毎日新聞への連載で、1984年に単行本として出版され、1987年に文庫化された。
    通読してみると、苦労人の著者らしく、とても味

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    2023年01月12日
  • 私の旧約聖書

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    著者自身が無信仰なので、信仰に立ち入らず、独特な解釈を淡々と述べていく。
    曰く、旧約は「神と人間の契約」と中心テーマにしている。そういう意味で、神と人間は対等。

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    2022年04月14日
  • P+D BOOKS オールドボーイ

    nk

    購入済み

    本作は色川さんの遺作となった短編集で、晩年に書かれた作品が10編収録されております。作品の主軸となっておりますのは、芹沢博文棋士の最期をそのまま実名で記録した「男の花道」や、かつての無頼仲間のその後を書いた「男の旅路」といった男シリーズでありまして、特に「男の旅路」は、賭博場で知り合った二人が客観的に見れば片方が片方を食い物にし続けていて、その食い物にしていた方が落ちぶれていた事実を、作者はもう片方の近親者に告げるも、そちらも同じような境遇に落ちていたという、救われないと言えばその通りなんですけど何というかこの作者でしか書け得ない内容となっております。また作者は阿佐田哲也名義でこの二人をモデル

    #切ない

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    2022年02月07日
  • うらおもて人生録(新潮文庫)

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    1.著者;色川氏は、小説家・随筆家・雀士です。学校生活に馴染めず、学校をさぼって、映画・寄席・喜劇に熱中しました。人生哲学は、「ツキの流れを読んでそれに従う」「欲張りすぎず、九勝六敗を狙う」と言われています。著書の「黒い布」は、三島由紀夫・伊藤整・武田泰淳に激賞され、中央公論新人賞を受賞。「離婚」で直木賞、他にも泉鏡花賞・川端康成賞・読売文学賞を受賞。また、“阿佐田哲也”名で発表した「麻雀放浪記」で脚光を浴び、麻雀ブームの火付けとなりました。
    2.本書;アウトローの道を進んだ色川氏のエッセーです。「1.“さて、なにから”の章」~「55.“おしまいに”の章」までの55章構成です。若者向け人生論を

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    2022年01月23日
  • 狂人日記

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    ネタバレ

    読んでたときは、主人公の男が感じる幻覚や幻聴、悪夢をどう捉えていいのか探しつづけながら一ページ、また一ページとすすめていった。ここ、いいなととりわけ思った場面はなかった。
    でも桂子と対話する最後の場面がおそろしく気持ちを攫っていった。この小説の大半の部分を仕方なく読んでいたような気もするのだけど、仕方なく読みつづけてよかったなとおもう。話に出てくる人たちのことをどうやらちゃんと見ていたみたい。

    解説が佐伯一麦でおおお!となった。佐伯一麦が『渡良瀬』のときに読んだ思い出の小説だとおもうととても感慨深い。好き。

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    2021年09月18日
  • 狂人日記

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    狂人とはどこからなのか。自分は健常者なのか。境目のあやふやなところを綱渡りのようにぐらぐらしながら歩いている主人公の定まらなさがどうにも切ない。痛い、苦しい、おかしい、怖い、それでも共感してしまう。なんのために生きているのか、生かされているのか考えなければいけない小説。

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    2021年09月08日
  • 百(新潮文庫)

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    色川武大 「 百 」 家族との関係を描いた私小説。

    この本で描かれているのは
    *劣等意識を基礎とした 著者の人と違う生き方
    *近すぎず遠すぎない家族関係、ただ在るだけの家族
    *死を描いているようで 徹底した生を描いている

    「小説は〜大きな道を歩いて造るもの〜お前は大きな道を歩いていない〜それじゃピエロになるだけだ」

    身の幅で生きる
    *身の内の自然に 出来るだけ沿いながら、得心し続ける
    *身の幅以外のものは 観念で、そういうものは信じない
    *内心を身の幅の中に入れて 自分の心にしている

    自分の内心が あまりに個人的な尺度を持ちすぎて 他人に通じる言葉にできない
    「僕の恐怖は 自分にこだわ

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    2021年08月13日
  • うらおもて人生録(新潮文庫)

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    自らを劣等生と称し、阿佐田哲也名義で麻雀放浪記等を手掛ける元博打打ちの著者が、自らの経験から得た人生に対する聡明なしのぎ方を記した、暖かみと愛を感じる人生録。

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    2020年03月03日
  • P+D BOOKS 小説 阿佐田哲也

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    これは色川武大名義だが、形式としてはもはや博打打ち或いは麻雀小説家の阿佐田哲也でもなく、或いは実直な小説家の色川武大でもない、
    誰でもないような、敢えて言えばもうすっかり隠居してしまって昔の自分を第三者の目線で見守る視点で書かれた小説。
    麻雀放浪記もそうであったように実際どこから本当でどこまで小説なのか分からない。
    「奴」こと阿佐田哲也が麻雀新選組なるタレント集団をプロデュースしたのは事実だが、その話とクロスするいつもの博打小説のパートは、やっぱり小説なのだろうと思う。
    内容はあっちらこっちら行ってる小説だが、もはや売ることを目的に書かれたような本ではないので、素直に阿佐田哲也らしさに思いを馳

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    2020年01月31日
  • 狂人日記

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    浅田作品はいくつか読んだが、色川名義の小説は初。少し前の読売新聞に関連記事があり、読んでみた。

    読み始めは幻想や夢の話が多く、途中で投げ出そうかと思ったが、次第に引き込まれてしまった。

    殆どの場合、狂人も常人も見ただけでは分からない。自分に見えているものと他人が見ているものが同じとは限らないし、自分が狂人でないという確証も持てなくなってくる。

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    2021年03月14日
  • うらおもて人生録(新潮文庫)

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    とても読みやすいけれど、なんとなく流して読んでしまうと頭に入ってこない内容なので、何度か読んだ方がいいと思った。またその価値がある本だと思う。
    大人が読むと、強くうなずける部分があるので、子供に読ませたいと思うけれど、果たして中学生ぐらいの子が理解できるかどうかは分からない。

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    2019年04月27日
  • うらおもて人生録(新潮文庫)

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    自らを劣等生と位置づける著者のその同じ生きにくさを抱える若者への暖かい言葉の数々。本音で家族や友人に語るような調子で語っていてとても親近感が湧いた。物の考え方が所謂世間で言われている事の逆であったり、人間心理を見事に捉えていたり、ああやはり勝負師として生きて来た人なんだなあと思った。特に運の良い悪いを自分の代だけではなく二代三代先まで遡って捉えるという発想は凄いと思った。考え方のスケールが大きいなと思う。また改めて読み返したい一冊となって。

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    2018年06月04日
  • うらおもて人生録(新潮文庫)

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    ネタバレ

    人に関する興味を根底に、すべての人がうまく共存ができるようにしていくためには、つまり劣等生も優等生も含めて「どう生きるか」ということを実体験から描いている。

    キーワードとしては、フォームを持ち、つねに勝ちすぎず、負けすぎず、これを貿易という形で続ける。連勝も連敗も通常ではないし、また勝ち方も器量的な勝ち方か、負け方も怪我をしすぎないものか。

    また、新しい場所での溶け込み方も指摘がある。まずは、白紙状態でいき、うまく弱点を笑いに使う。そうすることで場に馴染む。

    ある程度のレベルにいくと、能力に差はないので、いかに先を制するか、相手にミスをさせるか、の世界に突入するので、運の使いどころなどを

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    2018年05月04日