色川武大のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
最後に収録されている『永日』という短編で語られる父親とその関わり、それを書くことで浮き上がってくる「私」、そこには全く同じでは無いけれど無視することは出来ないわたしの人生との共通点があった。感情移入というより、そこに投影し反射してくるわたしの今までの人生に居心地の悪さを感じた。自省もはじまった。少し狼狽えた。それでも読み進めずにはいられない素晴らしい文章に誘われて読み進めていけば、そこから繋がるようにわたしの人生にもあった「きわだった或る一日」とそこから伸び拡がってきた日々を思っていた。今も思っている。よく晴れていたあの「永い日が、どうにもこうにも、暮れて
-
Posted by ブクログ
劣等生に向けて生きていく上での技術をつらつら語る。みないな内容でしたね。
文体のせいか、年配の方に酒場で話しかけられてるような印象を受けました。
色んな人を好きになること。
勝負や運に対する考え方。
弱点の活かし方。
その他もろもろのお話しを、色川さん自身の体験に基づいて書かれている感じですかね。
博打場での経験を例にして、勝負や運について書かれている部分は独特な視点があって面白かったです。
私自身が劣等感を抱えてきたタイプなので、自分のマイナスな面や弱点を見つめ直しながら読みました。
正直、よくわからない部分もあったのですが、時がたったらまた読み返してみたいですね。
全体と -
Posted by ブクログ
色川武大(1929~89年)氏は、小説家、エッセイスト、雀士。中央公論新人賞、直木賞、川端康成文学賞等を受賞。阿佐田哲也名義での麻雀小説作家としても知られる。
本書は、学校生活に馴染めず、中学中退のまま、担ぎ屋、闇屋、街頭の立ち売り、プロの賭博師等の職を転々とし、アウトローの生活を送った後、ライターとして数々の実績を残した著者が、「学校の成績でいえば十番以内のエリートよりも、それ以下の成績の若者を念頭において」、「生きていくうえでの技術」を語ったエッセイ集である。初出は毎日新聞への連載で、1984年に単行本として出版され、1987年に文庫化された。
通読してみると、苦労人の著者らしく、とても味 -
購入済み
本作は色川さんの遺作となった短編集で、晩年に書かれた作品が10編収録されております。作品の主軸となっておりますのは、芹沢博文棋士の最期をそのまま実名で記録した「男の花道」や、かつての無頼仲間のその後を書いた「男の旅路」といった男シリーズでありまして、特に「男の旅路」は、賭博場で知り合った二人が客観的に見れば片方が片方を食い物にし続けていて、その食い物にしていた方が落ちぶれていた事実を、作者はもう片方の近親者に告げるも、そちらも同じような境遇に落ちていたという、救われないと言えばその通りなんですけど何というかこの作者でしか書け得ない内容となっております。また作者は阿佐田哲也名義でこの二人をモデル
-
Posted by ブクログ
1.著者;色川氏は、小説家・随筆家・雀士です。学校生活に馴染めず、学校をさぼって、映画・寄席・喜劇に熱中しました。人生哲学は、「ツキの流れを読んでそれに従う」「欲張りすぎず、九勝六敗を狙う」と言われています。著書の「黒い布」は、三島由紀夫・伊藤整・武田泰淳に激賞され、中央公論新人賞を受賞。「離婚」で直木賞、他にも泉鏡花賞・川端康成賞・読売文学賞を受賞。また、“阿佐田哲也”名で発表した「麻雀放浪記」で脚光を浴び、麻雀ブームの火付けとなりました。
2.本書;アウトローの道を進んだ色川氏のエッセーです。「1.“さて、なにから”の章」~「55.“おしまいに”の章」までの55章構成です。若者向け人生論を -
Posted by ブクログ
色川武大 「 百 」 家族との関係を描いた私小説。
この本で描かれているのは
*劣等意識を基礎とした 著者の人と違う生き方
*近すぎず遠すぎない家族関係、ただ在るだけの家族
*死を描いているようで 徹底した生を描いている
「小説は〜大きな道を歩いて造るもの〜お前は大きな道を歩いていない〜それじゃピエロになるだけだ」
身の幅で生きる
*身の内の自然に 出来るだけ沿いながら、得心し続ける
*身の幅以外のものは 観念で、そういうものは信じない
*内心を身の幅の中に入れて 自分の心にしている
自分の内心が あまりに個人的な尺度を持ちすぎて 他人に通じる言葉にできない
「僕の恐怖は 自分にこだわ -
Posted by ブクログ
これは色川武大名義だが、形式としてはもはや博打打ち或いは麻雀小説家の阿佐田哲也でもなく、或いは実直な小説家の色川武大でもない、
誰でもないような、敢えて言えばもうすっかり隠居してしまって昔の自分を第三者の目線で見守る視点で書かれた小説。
麻雀放浪記もそうであったように実際どこから本当でどこまで小説なのか分からない。
「奴」こと阿佐田哲也が麻雀新選組なるタレント集団をプロデュースしたのは事実だが、その話とクロスするいつもの博打小説のパートは、やっぱり小説なのだろうと思う。
内容はあっちらこっちら行ってる小説だが、もはや売ることを目的に書かれたような本ではないので、素直に阿佐田哲也らしさに思いを馳 -
Posted by ブクログ
ネタバレ人に関する興味を根底に、すべての人がうまく共存ができるようにしていくためには、つまり劣等生も優等生も含めて「どう生きるか」ということを実体験から描いている。
キーワードとしては、フォームを持ち、つねに勝ちすぎず、負けすぎず、これを貿易という形で続ける。連勝も連敗も通常ではないし、また勝ち方も器量的な勝ち方か、負け方も怪我をしすぎないものか。
また、新しい場所での溶け込み方も指摘がある。まずは、白紙状態でいき、うまく弱点を笑いに使う。そうすることで場に馴染む。
ある程度のレベルにいくと、能力に差はないので、いかに先を制するか、相手にミスをさせるか、の世界に突入するので、運の使いどころなどを