百(新潮文庫)

百(新潮文庫)

649円 (税込)

3pt

「おやじ、死なないでくれ――、と私は念じた。彼のためではなく私のために。父親が死んだら、まちがいの集積であった私の過去がその色で決定してしまうような気がする」百歳を前にして老耄のはじまった元軍人の父親と、無頼の日々を過ごしてきた私との異様な親子関係を描いて、人生の凄味を感じさせる純文学遺作集。川端康成文学賞受賞の名作「百」ほかに三編を収録する。(解説・川村二郎)

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百(新潮文庫) のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    再読した『連笑』を含めて、自身の家族関係を扱った短編集。作品ごとにテーマは弟、自身の病等少しずつ変わるが、一番大きな背景は父親だろう。今なら「毒親」と呼ばれかねない際立った個性を持つ(しかも働かない)父親と、なぜか緊張しながらもこだわり続ける著者の不思議な親子の関係性が興味深い。特に老耄が極まり入退

    0
    2024年10月14日

    Posted by ブクログ

    大好きな作家・色川武大の大好きな一冊。自身の卑屈な部分を非常に繊細で絶妙に表現している。同時に、とても純粋な人間性を持っていた方なんだというのも見てとれ、読後のくどさがない。親との確執、愛情、自己との葛藤、自嘲……。誰もが持つ泥臭さを、美しい文体で著した一冊。何度でも読み返したくなる。

    0
    2023年04月12日

    Posted by ブクログ

    退役軍人の父親との親子関係をつづった私小説短編集。

    起きていることをあるがままに受け入れるということは
    実は大変なこと。でも、この親も、この子(著者)も、それ
    が出来てしまう。出来てしまうと言うよりは、そうする
    ("身幅で生きる")ことしか知らないと言った方がいい

    0
    2018年11月18日

    Posted by ブクログ

     私小説になるのだろう。
     色川武大とその弟、母親、父親、その他親族との関わり合いや愛憎入り乱れた葛藤を描いている。
     著者自身、ノーガードで自身のダメな部分や醜い部分を、あますところなく書いている。
     自嘲気味、という訳ではなく、割とドライに、それでもあまり俯瞰しすぎずに、程よい距離感を保っ

    0
    2018年01月04日

    Posted by ブクログ

    色川氏の家族を綴った私小説。
    弟との関係を描いた「連笑」、
    幻視との奇妙な付き合いが恐ろしい「ぼくの猿 ぼくの猫」、
    老耄の父親に振り回される家族を描いた「百」それに続く「永日」。
    自分の家族と照らし合わせて読まずにはいられなかった。
    どんなに逃げて離れたくても、ついてくる家族という因縁。
    子供のこ

    0
    2011年09月29日

    Posted by ブクログ

    奇抜な起承転結でなく、淡々と綴られる生活の苦悩。
    玉ねぎのように皮を剥いても芯のある人間のことは、何か欠けているものを探し続けているひとにしか理解できないのかもしれない。
    執着と表現される人間関係を超えて、関わった人の人生に一貫して関わり合う死に物狂いの執念を感じる作品でした。

    0
    2025年06月06日

    Posted by ブクログ

    最後に収録されている『永日』という短編で語られる父親とその関わり、それを書くことで浮き上がってくる「私」、そこには全く同じでは無いけれど無視することは出来ないわたしの人生との共通点があった。感情移入というより、そこに投影し反射してくるわたしの今までの人生に居心地の悪さを感じた。自省

    0
    2025年03月04日

    Posted by ブクログ

    主に退役軍人の父親との関係を描いた私小説4編。
    父親との親子関係を契約ととらえた『永日』、父親とのズレた会話が印象的な『百』など、淡々としたなかにリアルかつ冷静冷淡な展開がなんともいえない。
    本題とはズレるが、『連笑』の中の競輪に関する部分(32頁あたり)の解像度の高さはさすが。

    0
    2024年05月17日

    Posted by ブクログ

    色川武大 「 百 」 家族との関係を描いた私小説。

    この本で描かれているのは
    *劣等意識を基礎とした 著者の人と違う生き方
    *近すぎず遠すぎない家族関係、ただ在るだけの家族
    *死を描いているようで 徹底した生を描いている

    「小説は〜大きな道を歩いて造るもの〜お前は大きな道を歩いていない〜それじゃ

    0
    2021年08月13日

    Posted by ブクログ

    ―私は弟を貴重なものに思いだした。

    軍人だった厳しい父親と影の薄い母親。
    薄暗い家に弟が生まれ、少し大きくなると、
    どこにでも付いてくるようになった。

    充足というものの欠如。
    父親の影響だけではないだろう、生まれながらに持ってきた屈託。
    弟は著者のそういう部分を見てきた。

    どうにもならない部分

    0
    2013年12月01日

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