色川武大のレビュー一覧

  • うらおもて人生録(新潮文庫)
    【本の内容】
    優等生がひた走る本線のコースばかりが人生じゃない。

    ひとつ、どこか、生きるうえで不便な、生きにくい部分を守り育てていくことも、大切なんだ。

    勝てばいい、これでは下郎の生き方だ…。

    著者の別名は雀聖・阿佐田哲也。

    いくたびか人生の裏街道に踏み迷い、勝負の修羅場もくぐり抜けてきた。...続きを読む
  • 狂人日記
    とても優しい小説だと思った。自分への優しさ、他人へのやさしさ。というより優しくありたいという気持ち。決して甘やかすのではない。この主人公は自分を甘やかそうと思っていないし、甘やかされて喜ぶタイプでもない。ただ現実があって自分がいるだけだが、それを真剣に見つめるということはすなわち対象へのこの上ない配...続きを読む
  • うらおもて人生録(新潮文庫)
    ひさびさに出会いたい本に出会いました。
    前半はとても優しい文章でこのままこの調子なのか?と少々心配でしたが中盤からは実に機微に飛んだ含蓄のある文章に目から鱗の落ちる心持ちでした。
    長い間、暗闇を歩いていた私にとっては遂に見つけた指導書です。最高の出会いでした。
  • 生家へ
    久しぶりに読んだけど、やはり色川先生は凄いです。昭和の湿った路地裏の泥道を転がり落ちるみたいな感じが大好き。
  • うらおもて人生録(新潮文庫)
    麻雀やってる人は知ってるのかな・・・
    色川武大・・・
    またの名を阿佐田哲也・・・
    雀聖と呼ばれる男・・・
    故人ですが・・・
    二十歳前後の頃はギャンブルに明け暮れ、ギャンブルで生計を立てていた元アウトロー・・・
    ただでさえ厳しい世の中の、さらに厳しい裏道を歩いてきた人の・・・
    裏道を歩い...続きを読む
  • 狂人日記
    主人公と同棲相手の関係を、自分と今の交際相手に重ねてしまい、とても気が滅入った。自尊心がぶっ壊れているので、負い目を感じつつも人に依存し、そこをちょっとでも突っ込まれるとひどく傷つく。それが苦しいから孤立しようとするくせに、人の温もりを渇望してやまない。何故こんな面倒くさい人間を好いてくれるのかと疑...続きを読む
  • うらおもて人生録(新潮文庫)
    なんか優しくて、まるで小さな飲み屋で人生のあれこれを思い出して語りかけてくれているようで。若い人達やお母さんだけじゃなく、何か馴染めない若い日々を送った自分にも響きます。近所にこんなおいちゃんが、いて欲しかった。いや、成ろう、こんなおいちゃんに。そう思わしてくれる深い内容ですね。良くあんなに深い感情...続きを読む
  • 狂人日記
    福武書店のハードカバーのほうも登録してあるけど最近再読したくてこちらを買って再読した。

    いくつも泣きそうになる箇所があるんだけど、圭子の「生活って最高のことをすることよ」っていうせりふがぐっとくる。

    あとは主人公の控えめだけど気風がいいやさしさというか。

    きっとこれからも何回も読むんだろうな。
  • 狂人日記
    淡々とではあるが、
    しとしとと足音をたてて忍び寄ってくる漠然とした不安。
    自分が歪んでいくのを自覚しながらも、
    それを戻せることも無く、
    隣にいてくれる人をただ傷つけ、傷ついていく。
    恐ろしい程に徹底した描写である。
  • 狂人日記
    伊集院静 氏の「いねむり先生」を読んで、この本を知った。
    淡々と書かれた文章が印象的だった。
    『無』の中に、日々の出来事だけが彩られて書かれてある様に感じた。その他の事は病気の事も幻覚も全て『無』の中で起きている様に感じられ、読んでいて著者と同じかどうかは分からないが『孤独感』を感じた。

    いねむり...続きを読む
  • 百(新潮文庫)
    色川氏の家族を綴った私小説。
    弟との関係を描いた「連笑」、
    幻視との奇妙な付き合いが恐ろしい「ぼくの猿 ぼくの猫」、
    老耄の父親に振り回される家族を描いた「百」それに続く「永日」。
    自分の家族と照らし合わせて読まずにはいられなかった。
    どんなに逃げて離れたくても、ついてくる家族という因縁。
    子供のこ...続きを読む
  • 狂人日記
    壊れていく人の頭の中にいるような気持ちになった。読んでいる最中は、真っ白な世界にたった一人いるような心細さを味わった。読後の異常な虚無感はこの本以外に味わえないだろう。つらくて悲しくて泣いた。いつまでも忘れられない一冊。
  • 狂人日記
    病棟生活を綴った色川武大の最後の小説。読売文学賞受賞作。最初は、何だか話が単調で、読む気があまりなかったが、後半からクライマックスにかけて恐ろしいほどの感覚に襲われて、実に素晴らしい作品であった。
  • 小さな部屋・明日泣く
    「小さな部屋」や「蛙」を読んで改めて思ったけど正気と狂気の境目を衒いなく描くこができる数少ない作家だと思った。

    「小さな部屋」の内に内に篭っていく段階とか人と話すのが面倒くさくなってしまう感覚とかすごく共感できた。

    「蛙」はやっぱ「狂人日記」思い出してちょっと泣きそうになった。

    色川武大は戦前...続きを読む
  • 狂人日記
    だめだわからんわからんわからん

    いやわかるっちゃわかるんだけど
    絶対的にわからない壁がある

    境界線の上に立って
    ずっとあちら側を見ながら手を振ったり、手をつないだりはしているけれど
    私はあちら側に体毎ダイブする覚悟はなくて
    正直憧れるし正直理解できないし、という相反するものを背負って
    ずっと境界...続きを読む
  • 百(新潮文庫)
    主に退役軍人の父親との関係を描いた私小説4編。
    父親との親子関係を契約ととらえた『永日』、父親とのズレた会話が印象的な『百』など、淡々としたなかにリアルかつ冷静冷淡な展開がなんともいえない。
    本題とはズレるが、『連笑』の中の競輪に関する部分(32頁あたり)の解像度の高さはさすが。
  • P+D BOOKS 街は気まぐれヘソまがり
    『街は気まぐれヘソまがり』/式川武大

    昭和文学安定のP+D選書。
    式川武大氏の洒脱かつ庶民の視点によるエッセイ。時はバブル全盛期で、エッセイの中にまさにバブル崩壊とその後の予見をばっちり匂わせるものもあり氏の所見の鋭さにハッとさせられる。ただ殆どは昭和ののんびりした時代の氏による雑文で、疲れずに、...続きを読む
  • うらおもて人生録(新潮文庫)
    2015/9に読んでいたことを忘れて再読。
    9勝6敗、先行、うまく負ける等々の示唆に富む言葉の数々が響く。
  • P+D BOOKS オールドボーイ
    麻雀放浪記の阿佐田哲也氏の別名義(とは言えこちらで直木賞作家ですが)、色川武大での短編集。
    私小説から短編作まで50歳で昭和世代の自分にはどれも読み易い。勿論ばくち打ちから書生の世界へ入り込んだ氏の話には華やかさもあるけど、安心できるんです。幼少期の「道路の虹」の黒揚羽で通底させる世界観の美しさ、表...続きを読む
  • うらおもて人生録(新潮文庫)
    劣等生に向けて生きていく上での技術をつらつら語る。みないな内容でしたね。

    文体のせいか、年配の方に酒場で話しかけられてるような印象を受けました。

    色んな人を好きになること。

    勝負や運に対する考え方。

    弱点の活かし方。

    その他もろもろのお話しを、色川さん自身の体験に基づいて書かれている感じで...続きを読む