リービ英雄のレビュー一覧

  • 英語でよむ万葉集
    なんてお洒落な一冊。
    もちろん英語で書かれているからとかそんな陳腐な理由ではなく。
    万葉集そのものはもちろんのこと、リービ英雄が苦慮して翻訳した英文がなんとも洗練されていて優美なのだ。
    それに翻訳に際して寄せたリービ英雄の説明がこれまた小気味良い。
    日本語も英語も何度も声に出して噛みしめたい、そんな...続きを読む
  • 英語でよむ万葉集
    英語に訳された万葉集を音読してみる。リズムがある、思った以上に心地よい。ただ、どうも解説的にならざるを得ないところもあるようで、原文より長くなるのは仕方がないだろう。リービ英雄さんの翻訳する際の苦労を述べた解説が秀逸だ。その歌ばかりでなく、万葉集全体、日本語の歌というものまで、深い理解をしたうえで翻...続きを読む
  • 模範郷
    著者の旅が切実で、星評価をつけるということがあまり適切でない作品のような気もします(一応つけましたが)。『模範郷』だけでなく、所収の他の作品も読むのがいいと思います。言語、故郷、宗教、名前。多くの人にとっての「これが私」という感覚を支えるものが、この著者の場合、ひとつに“決まって”いない。もはや私に...続きを読む
  • 千々にくだけて
    著者≒エドワードは、2000年9月11日にアメリカに向かっていた。しかし搭乗中の航空機で、機長がワールドトレードセンターへの攻撃を知らせる。

    The United has been a Victim.
    アメリカは被害者になりました

    カナダで足止めされた著者は、時間的にも存在的にも、宙に浮いたよう...続きを読む
  • 星条旗の聞こえない部屋
    言語を獲得するというのがどういう事であるのか、日本語の話者であるというのがどんなに幸せな事なのかを知らしめられるような感じ。
    この本を読むたびに、切実さを持って日本語を使おうと思う。(そして、切実さを持って他言語を獲得しようとも思うけれど、それは中々実現していない。)
  • 千々にくだけて
    ある意味、とても厳密で正確な言葉と、言葉そのものの描写に衝撃を受けた。あらゆる細部の表現にいちいち関心してしまった。例えば、「千々にくだけて」におけるバンクーバーの描写などは、アメリカ人が日本語で書くのでなければありえないような感じがした。外国で長く暮らすと、感覚や感性や感情さえもが、母国語で母国に...続きを読む
  • 英語でよむ万葉集
    なにより、筆者の日本語に対する心の繊細さに感動した。また英訳する過程での、言葉の選び方、考え方は、日本語を英訳するときの勉強にもなる。
  • 英語でよむ万葉集
    非常に丁寧に、万葉集が英訳されている。さらに、底の深い知識に裏づけされた解説がそれぞれに付与してあり、感心した。万葉集を現代にも通用する「新しいもの」と捉えながらも、当時の世相から生み出された表現をしっかりと汲んでいる。英語の勉強にもなると同時に、難解な上代古語がむしろ英語を通してすんなりと理解でき...続きを読む
  • 英語でよむ万葉集
    スマホで写真を撮る時に画像加工アプリを使って、様々なフィルターを試しながら眺める画面は、同じ景色でも違う表情を見せる。そんな感じ。
  • 万葉集の詩性 令和時代の心を読む
    ネットでHeveneseのラストトークを見ていて、本書に言及があったので購入。令和の語源である万葉集をほとんど知らなかったので、とても興味深く読んだ。8人の著者の、改元をきっかけに書かれた万葉集に関するエッセイ集。

    鈴木大拙は「日本人の霊性」の中で万葉集を「稚拙」だとか「幼稚だ」とか、あまり良い評...続きを読む
  • 英語でよむ万葉集
    万葉集を英語にしようという’無謀な’試みの本。
    無謀な、というのは著者も感じており、7世紀の日本語独特の表現や感性を現代英語にすることの限界を幾度となく論じており、それを通して原文の美しさを伝えている。
    英語はどうしてもストレートになりがち、説明がちで、「久方の 天より雪の 流れ来るかも」を「Is ...続きを読む
  • 千々にくだけて
    実験性と衝動の混じる作品だと思う。あとがきが事実を元にしているのであれば,「千々にくだけて」では9.11当時の心境を写生しようとした作品といえる。その時のエモーションを衝動として書き上げたノンフィクションを基調とするのだが,同時に日本語と英語を行き来する体験を文学世界に実験的に落とし込もうともしてい...続きを読む
  • 万葉集の詩性 令和時代の心を読む
    文学や編集に携わる8名の手による万葉集エッセイ集、といえばよいか。
    出だしから中西進氏による『旧約聖書』と『万葉集』のリンクが展開され、度肝を抜かれる。良き文学とはほかの文学と共鳴するものとはいうが、まさかそんなところと響き合うとは。しかも万葉集の第一人者の一人中西進氏からそんな。おみそれしました。...続きを読む
  • 英語でよむ万葉集
    プリンストン大学やスタンフォード大学で日本文学の教授を務めるリービ英雄氏の万葉集への熱い思いが伝わる。母国語ではない日本語で創作をする作家でもある。万葉集をどのように英訳したかという経験と日本文化へのほとばしる情熱が伝わってくる作品。リービさんのような人が教壇に立って万葉集を講義してくれていたならば...続きを読む
  • 星条旗の聞こえない部屋
    文学作品をまともに読むなんて、相当久しぶりでした。
    先輩に誘われて参加している読書会という名の飲み会で、課題図書になっていたのに、会には間に合わず。そんで、ようやく読み終えました。
    アメリカ人が日本語で書いた小説ということで話題になったそうです。
    日本人でも使わないような語彙も繰り出していて、日本文...続きを読む
  • 英語でよむ万葉集
    万葉集のことはほとんど知らないけれど、それでも知ってるような有名な歌もたくさんあって、それが英詩の形になってよりはっきりとした輪郭で見えてきてとてもよかったです。山上憶良は恐らく著者の思い入れの強さもあるのでしょうが、特に感動しました。原詩に触れて驚き、英詩を読んで比較を楽しみ、解説を読んで納得と、...続きを読む
  • 英語でよむ万葉集
    古典が個人的にまだ苦手なので、英訳で読む方がよく理解できた気がする。そういう意味で、リ-ビ氏にとても感謝している。
  • 英語でよむ万葉集
    和歌を英訳なんて、できるの?七五調のリズム感とか、日本文化特有の表現とか、再現できるの?と興味を持って読みました。リズムは再現できない部分もあるけれど、可能な限り、歯切れよく、リズムを感じられました。また情景やイメージは英語になっても鮮やかだったし、「love」とは訳せない「恋」も、見事に表現されて...続きを読む
  • 英語でよむ万葉集
    [ 内容 ]
    「万葉集にたどりついたとき、古い日本語というよりも、とても新しい文学に出会ったという不思議な感じがした」英語を母語としながら、日本語作家として現代文学をリードする作家の感性が、英語という鏡に古代日本語の新しい姿を映し出す。
    全米図書賞を受賞した名訳から選りすぐった約五〇首の対訳に、作家...続きを読む
  • 星条旗の聞こえない部屋
    マイノリティの物語。そして、マジョリティとマイノリティそのものの物語。

    おりちゃった、みんなといっしょにおりちゃった。
    この一文はまるっきり初体験の告白だ。なんとも色っぽくて、赤面するような気持ちになった。