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Posted by ブクログ
英語に訳された万葉集を音読してみる。リズムがある、思った以上に心地よい。ただ、どうも解説的にならざるを得ないところもあるようで、原文より長くなるのは仕方がないだろう。リービ英雄さんの翻訳する際の苦労を述べた解説が秀逸だ。その歌ばかりでなく、万葉集全体、日本語の歌というものまで、深い理解をしたうえで翻訳しているのが分かる。その解説から浮かび上がってくるのは、まずは直截的な比喩の力強さだ。畳みかけるような柿本人麻呂の比喩は圧倒的な迫力で迫ってくる。自然現象と心の動きを結び付けて不可視なものを可視にする比喩は、唯一無二の詩歌の武器ではないか。枕詞、地名の力も見逃せない。万葉集によって、日本中の自然に、大地に呪縛が掛けられたのだ。
柿本人麻呂、大伴家持、山上憶良、それぞれの歌の個性が余りに違うことにも驚かされる。大伴旅人と大伴家持の万葉集の編集方針によるものだろうし、カバーしている期間も長いからだろう。
Posted by ブクログ
非常に丁寧に、万葉集が英訳されている。さらに、底の深い知識に裏づけされた解説がそれぞれに付与してあり、感心した。万葉集を現代にも通用する「新しいもの」と捉えながらも、当時の世相から生み出された表現をしっかりと汲んでいる。英語の勉強にもなると同時に、難解な上代古語がむしろ英語を通してすんなりと理解できるだろう。高校生の時に読みたかった!
こういった試みが成功していることは、日本人として嬉しく思う。アニメ・オタクばかりが「日本」として輸出される昨今だが、脈々と続く日本の文化を正しく外国に伝えるという、この作者のような活動がもっと増える事を願う。
Posted by ブクログ
万葉集を英語にしようという’無謀な’試みの本。
無謀な、というのは著者も感じており、7世紀の日本語独特の表現や感性を現代英語にすることの限界を幾度となく論じており、それを通して原文の美しさを伝えている。
英語はどうしてもストレートになりがち、説明がちで、「久方の 天より雪の 流れ来るかも」を「Is this snow come streaming from distant heavens?」と疑問形にしたり(p69)、「不尽の嶺を 高み恐み」を「Because of Mt. Fuji’s lofty heights」としたり(p43)、そうしたところから古文の、そして和歌の美しさを改めて感じさせてくれる。
中には行き過ぎと感じるものもあり、天皇御製の「我こそは 告らめ 家をも名をも」を「l will tell you my home and my name. 」としたり、「夜道は吉けむ」を「the night road should be good」としたりは簡略化しすぎでしょとか。
「玉裳のすそに 潮満つらむか」をcouldやI wonder ifを使うとわざとらしいと言ってあえて「Can the tide - ?」と簡単な質問形式にしたとあり、著者の趣味のよう。著者がスタンフォード大教授ということでアメリカ英語だからこんなストレートなのかなあとか思った。言語ごとの独自の感性とか文化があり、それは代替不可能なのだという、文化人類学とか1984で学んだことを改めて感じさせてくれた。
それはそれとして、英語でももっと婉曲で奥行きを感じさせる表現はもっと可能だと思う。その辺もっと勉強して語彙の幅を広げたい。万葉集自体もかなりはまりそう。
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