安達千夏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
幼い頃に母親に先告立たれ姉を亡くし、二人の死の要因となった父親とは縁を切りホスピス治療にあたる医院に勤める女性医師の話。死んでゆくこと、死にゆく近しい人を見送ること、尊厳死と安楽死の違いなど、作品全体を通してずっと「死」について語っている。そもそも悲しい生い立ちで後に出会う暖い人たちの心の発する熱で暖を取ってかろうじて生きてきた女性が大人になり死を扱う職につき大切な人を見送ることになり自分を見つめ直し再生してゆく話。全体的に沈んだ雰囲気で読んでいて悲しかったけれど、彼女の周囲の人たちが優しいのと前を向いた感じで完結するので読後感は暗くないです。
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Posted by ブクログ
ネタバレ大好きだった姉の死、自殺した母
なによりも憎き父を警察に突き出した私。
在宅介護で日々に追われる真紀の元に、昔の恋人だったヒデが姿を現した理由は
彼自身が末期がんに冒されていたからだった。
彼の残り少ない人生、多忙な婚約者との間に揺れる想い
婚約者ではなく、ヒデにだけ打ち明けていた自分の生い立ちと過去。
あ~恋愛以上の愛だ。
余命残りわずかって本人はきっと延命を必要以上に望むことなく
残された時間を自由に静かに過ごしたいという願いとは裏腹に
きっと周りの人はもっと生きてほしいって願うよね絶対~。
死は誰にだって訪れるのはわかっているけれど
わかっていても大切なも -
Posted by ブクログ
ホラー恋愛小説。今年山形で即身仏をみてきた為、なんとなく気になった小説。即身仏伝承の残る現代山形を舞台に、不思議な空気感で描かれた男女の情念と因果。自分ははたして死んでいるのか?と疑問を持ちながらも、ある事件から逃げるべく生まれ育った山形へ、昔愛した女のもとへと舞い戻る男。激しく求め合う二人だったが、、、。
ラスト数ページに、いや、数行にすべてがあった。生きるということの執念、純粋に人を愛する欲。どん底をみた悲しい瞬間に、すがりたかった人が側にいなかった辛い過去と現在に続く想い。そして、再び戻ってきた彼に告げる言葉は...。上手く表現できないが、女性は単純にはできていないということです...。 -
Posted by ブクログ
ちょっと暗ーい 恋愛小説です。
虐待をする父親により母が自殺。
小学生と幼稚園児の姉妹でほぼ生活をしている中、父の暴力により姉が死亡、父親が拘留。
その妹が施設から養女にいき、医師になり終末期医療に携わる。
突然いなくなったはずの大学時代のピアニストの恋人が仕事をしているときに患者として現れる。
そこから物語がすすんでいきます。
自分の境遇、人の死、人への思い、支えてくれる人々。
いろいろなテーマがあって、いろいろな感じ方がある本だと思います。
すべての人に薦める本ではないように思いますが、私は読んでよかった もう一度読み直したいと思える作品でした。 -
Posted by ブクログ
男友達・小田さんとのシーン
仕事のシーン
恋い焦がれる留美とのシーン
この3つで綴られています。
小田さんとのシーンは殆どが性描写です。
私は読む前にある程度人の感想とか読んじゃうんですね。
これの場合もそうなんだけど
私は他の方が言うほどエロティックには感じなかったですよ。
スポーツ的な感じがしました。
いや…甘美なんですけどね。(笑)
読みやすいって言うか…
流れが簡単だったかな。
小田との夜から翌日の仕事モードへの流れがいまいちかなぁ。
でも後半、カナがベルギーにいる留美からの手紙を読んでから
ラストまでの下りは繊細でさわやかな流れでした。
「はじまり」の予感でしたね。 -
Posted by ブクログ
ピリピリしているピンと張り詰めた綱の上を目隠しをして歩くような、そんな緊張状態の続く母子関係世の中の全ての母親が、自分の子供を愛し、自分を犠牲にしてまでも守り育てている と言うのは幻想である過去の栄光にすがり、人より優れていたことを自分の存在のよりどころとしている母親は 娘が自分の思うとおりの道を進まないことに過剰に反応する。言葉で、身体で 娘を痛めつける。娘は母を精神的に切り離すことで一人の人間として生きる世界を手に入れる。が父親のいない子供を生むことで、娘は母親の生活へと自ら戻っていく。なぜ 離れないのか。父親が弟が 母親を捨てたように。なぜ 自分も母親を捨てないのか。母親は 娘が完全に去