岡田利規のレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
戯曲3作を単行本化したもの。普通、そういうのって読みにくいのだけど、何故かしら、岡田利規のものは読める。あのグダグダと、いらないことまで垂れ流しにするような、あの語り口が好きなのだと思う。読んでいて思うのは、フェーズを幾層にも重ねて、でもそのフェーズは実はちょっとずつ変化していて、ストップモーションしたり、いきなり巻き戻ししたりっていう、あの感じ、脳内をそのまんまポンと戯曲にしたような、あの感じ、だから、きっとあの文章が馴染むんだろうなぁ、あの流れがすっと身体に入ってくるんだろうなぁ、なんて思ったり。ちなみに、表題作「三月の5日間」は小説よりもこの戯曲の方がずっと面白く感じた。(10/5/5)
-
-
-
Posted by ブクログ
我が家から五十メートルばかし行ったところに「口の芝居跡」という碑が立っている。その昔、京・大阪の芝居小屋にかける前、全国から伊勢参りに来る旅人目当てに、ここで演じて評判が良ければ大受けまちがいなしとして、試演される芝居小屋だったと聞く。有名な歌舞伎役者もこの芝居小屋の舞台に立ったこともあって、古市は歌舞伎とは縁が深い。『伊勢音頭恋寝刃』の舞台となった油屋跡では町の若い衆によって小屋掛けの地芝居も演じられた。父は坂東庄雀という名を持つ立女形で、「伊勢音頭」ならお紺、七段目ならお軽というのが役どころだった。
芸事の好きな人も多かったのだろう、歌舞伎衣装や大道具小道具を扱う道具方や浄瑠璃、義太夫を