あらすじ
近所にあるパン屋をめぐる彼の変化を私が描く「楽観的な方のケース」。突然の訪問者が繰り広げるラップに衝撃を受け、横浜の街に思いを巡らす「ショッピングモールで過ごせなかった休日」。人はいつだって誰かの思いや言葉、記憶の中の場所に思いをはせるものだ――。実存や不可能性を超越した、第35回三島由紀夫賞受賞の表題作を含む全5編の短編集。多和田葉子氏との特別対談も収録!(解説・高橋源一郎)
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Posted by ブクログ
好き嫌い分かれるだろうけど、私は好きだった。
しかもかなり。
ここまで事細かに、目に見える物すべてを文章に起こす描写力に圧倒される。それが心地よい。
普通の小説に飽きた人は読んでみると面白いと思う。
新しい読書体験ってまだまだ待ってるんだなあ。
読書上級者におすすめ!
Posted by ブクログ
散りばめられた描写に装丁も相まって、一冊を通して淡い雰囲気が感じられる。
また、文章が独特である。一人称でありながら「ぼく」や「私」が知るはずのない相手の感情や状況を書くためどこか遠くの上の方から物語を見ているような感じがする。もはや「ぼく」の妄想なんじゃないかとさえ思われる。そんなふわふわした所も淡さを感じられる一つの要因かもしれない。
淡さとは裏腹にじっとりとしたものも書かれている。町中に蔓延る広告や東京のゾンビ、コンコースの人混みなどである。多くの人は流されるがままに順応できても、それができない人たちがいる。そんな人たちの逃亡や防御、抵抗、私はそこにブロッコリー・レボリューションを見た。
Posted by ブクログ
表題作含め5篇とも他人の行動、思いを時には2人称で見ていたかのように語るのが何とも不思議な感覚にとらわれる。いったい何を読まされてるのかと思いつつスルスルと読めてしまうのも不思議。
Posted by ブクログ
特徴的な文章、一文がどんどん連続させられていく感じに慣れるまで読むのが難しかったけれど、世界観や描写はとても好みだった。
巻末の対談の内容もとても興味深く、当たり前なのだけれど「書きたいことがあるから小説を書く」という小説家の美しいスタンスを実感した。
Posted by ブクログ
楽観的な方のケース
恋愛のあるあるとも言えるようなキーとなる文章が出てくると個人的に感じた。
ブレックファスト
この話も文の主体が登場人物それぞれを行き来している。
個人的には、広告についての描写が新鮮だった。私は普段電車の広告などをよく注目するようにして見ていてたまに感銘を受けたりもするから、ありさが思っているとされている東京の節操なさや東京の人たちの情のなさが伝わった気がした。"すりきれる寸前のクリエイティビティーの産物"という表現にも刺激を受けた。
どの話も独特な語り口だが、読んでる途中からこの話がどのような結末を迎えるのか、と楽しみになってくるものばかり。
Posted by ブクログ
語り表現が独特で、不思議な感覚だった。
語り手は自分ではない誰かを、その誰かより
詳しく、そして一部始終こうしている今も監視しながらその言動をメモしているかのようにつらつらつらと語る。一体どの視点で読めば良いのか、ふわふわぷかぷか、、故に事細かに情景や会話が描かれていても没入しきれず、思考しながら読み進める感覚。
言葉を選ばなければ、だらだらと続く語り口調が
個人的には読みづらかった。
ただ、ブロッコリーレボリューションの
夏の空気感や異国の地の匂いや湿度が感じられる感覚は好きでした。
Posted by ブクログ
新しい小説だ、、、どういう気持ちになればいいかわからんというか、正直内容についてはなにも感じなかったんだけれど小説の形がおもしろかった。
さいごの高橋さんの解説で、「なぜ文庫本には解説があるのか」について、「解説は小説から現実へ徐々に移動していくための心の準備のようなものなのかもしれない」と言っていたのが印象に残っている。
Posted by ブクログ
いままでに読んだことのない独特の文体で、途中から癖になる感じです。うまく説明できないけれど、リズムになれてくるというか。
内容は短編が表題の『ブロッコリー・レボリューション』ほか四編。
1話目の『楽観的な方のケース』が私は好きでした。
Posted by ブクログ
"知る由もないこと"である他人の心のうちをまるで本人のように語るぼく
淡々とした語り口が相まって膨らむ違和感
タイトル買いしたこの一冊、不思議な世界への入り口でした!
Posted by ブクログ
文字を読んでいるのに誰かの頭の中で再生されている思い出や過去の振り返りの映像を見ているようだった。
そのため能動的に読んでいるはずなのに読むことがコントロールできない感じがして少し戸惑ったが、ワンカット(長回し)のような文体の語り口が映画的で、そこも含めて結構楽しめた。