寺尾紗穂のレビュー一覧
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東日本大震災以前の「平時における」原発というのは、どのような労働環境で、どんな作業によって運営されているのか、という視点から、原発内の工事請負業者や、中央操作室のオペレーターなどからの証言をまとめた本。ある程度予想はしていたけれど、ここまで労働者の健康や、安全を犠牲にしなければ立ち行かないプラントなのかと恐ろしくなった。「いくら自動化しても、どうしても高線量の現場に人間が入らないと設置できない部品があり、そういう時は被ばく量測定用メーターは外して作業する」、「ボヤが発生しても水をかけたり消火剤を噴霧すると記録に残るので、燃えるものを遠ざけて自然鎮火を待つ」、「被ばく管理区域にはトイレがなく、どうしようもないときは間に合わないので垂れ流す」、「燃料プールに落としてしまった物は被ばく量管理にかからないという理由から外国人労働者が定期検査の時に水を抜いたプール内に降りて拾う」、「原子炉出力が計画値を超えると、係数を書き換えて計画値に収まるように修正する」など。でもこういう危険な作業に従事する人々にとってはその仕事がなければ生きてゆけないという状況に仕向けているのが現在の状況の度し難い罪深さなのか。原発を今後どうするかを考えるとき、エネルギー政策としてだけではなく、労働問題として目を逸らせてはいけない一面であることは確かかと感じた。
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かつての日本は「移民送り出し国」だった…。
というのが本書のテーマであるが、ここで証言してくださった方々の体験は自分の知っているそれとは幾分か様相が違っていた。
「私たちが歴史の横顔をなんとかつかもうとするとき、個人の人生から得られる情報は得難い価値を持つ。それらは一つ一つが違う様相をしているからだ」
戦前はまだしも戦後にも移住する人々がいたとは、初耳だった。(人口増加抑制のため、再び日本政府が移住を奨励していたらしい)
中には移住先から一度日本に引き揚げ、再び別の移住先へと渡った移民もいる。「引き揚げ」と聞くと満州を思い浮かべるが、ここではパラオ(「フィリピンとグァムとの間に位置し、成田からの直行便で4時間半で行ける国」by Google先生)からの引き揚げをピックアップしている。
前著『あのころのパラオをさがして』にて、サイパンやパラオに渡った移民に取材していたことが発端である。そこから引き揚げた「元移民」など、もっと多角的に調査したいと望まれたのが今回執筆に至った経緯のようだ。
そもそも「戦前」「戦後」は区分するものではなく、一貫している。移民たちの人生もまた、戦前から戦後へと一本道で繋がっている。そう著者は述べており、自分が「知っていたのと違う様相だ」と感じたのも合点がいく。
前半はパラオでの空襲や戦闘・それによる飢餓から逃れるために日本へと引き揚げた元移民を、後半はパラグアイ(ブラジルとアルゼンチンと国境を接する国 by 本文)に移住した移民の人々を取材している。パラグアイはマイナーな入植先だったものの、ブラジルに不満を持った日系移民が「ほそぼそと」国境を越えて移ってきていたらしい。
前半は一人ひとりの戦争体験がとにかく壮絶だった。
皆、より良い生活を夢見て現地でも上手く暮らせていた。それが戦争により一変し、苦難に満ちた帰路を強いられたのである。今も心にのしかかっているのは、阿良光雄さんが語るお兄さんの戦死についてだ。軍属の勝手な年齢引き下げによりお兄さんは16歳でパラオから戦地に送られ、そこで戦死された。しかしどれだけ申し出ても補償は受けられなかったという。
その一方で、徴兵のさなか栄養失調でお亡くなりになった平尾富士子さんのお父様は「戦死」とされ、戦後遺族年金が支給された…。
文体こそ冷静だったが、行間から著者の戸惑いや怒りが滲み出ていた。卑怯な誘い文句で移民を送り出し、彼らをぞんざいに扱う日本政府に自分も憤りを隠せない。
それでも戦後再び移住を決心し、その地で根を張ろうとする人々もいた。
「あなたの魂がそういう風にしたんだから、あなたがたの努力の賜物だよ」
これはパラオで生まれ日本に引き上げた後、パラグアイに移住した中村正弘さんの奥様博子さんが現地の教え子たちにかけた言葉である。
同時にその言葉が、これまでの元移民・移民の方々の歩んだ一本道を綺麗に映し出しているように思えた。 -
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ネタバレ[ 内容 ]
日中のはざまで妖しく乱舞し、無器用にもがき、遂には刑場の露と消えた「男装の王女」川島芳子。
「武士道精神が消えたから、日本は滅びた」という最後の指摘は何を意味する。
[ 目次 ]
1 誕生から幼少時代(義和団事件と二人の父 日本での幼少時代)
2 復辟と養父(川島家と芳子 「ジャンダーク」と「支那」 孤児として 恋愛騒動と断髪 断髪男装の背景)
3 マス・メディアの中の川島芳子(『男装の麗人』と満洲-小説、映画、舞台 男装の意味するもの-新聞記事を中心に)
4 詩歌と裁判(皇后脱出から定国軍まで 「親善」への憂い 逮捕と裁判 芳子の「武士道精神」そこに読み取られたもの)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
こないだの特番でで川島芳子、李香蘭、テン・ピンルーの特集が
あって、以前から気になってた李香蘭見たさに見始めました。
川島芳子のことは全然知らなかったけど「男装の麗人」の一言で
オスカル好きとしては興味津々。
日本と中国の間で時代の波に翻弄されて散っていった人です。
時代的に広田さんとかぶる頃で興味深く読ませていただきました。
川島さんと同じくらい個人的には著者も気になる存在。
彼女は東大の大学院卒で、卒論も修士論文も川島芳子を取り上げ、
修士論文がこの本の元だそう。しかもシンガーソングライターとして
メジャーデビューされてます。
なんたる才女。