感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ゆっくり読んだ。
不思議な人に不思議な話。
だけど、すとんと納得がいくような。
知らない人の知らない話を伝えてくれてありがとうと思ったり。
一緒に体験しているような。
分からないけど。
Posted by ブクログ
ライブで演奏を聴いているときと同じ空気が流れていた。じっくり眺め、人のどんな思いもバカにせず、よくよく味わう。
文中、孤独な人をなくしたいというようなことを、何回か書かれていた。それは「みんな」の輪の中に引っ張りこむということではなくて、ひとりでいても孤独ではない世界を作る、作りたい、ということなのかなと思った。
Posted by ブクログ
彼女の言葉が頭の中で反芻する。
「日が沈みゆく空を仰ぐ時。過ぎ去った今日を思う。それから昨日を思う。会えない人を思う。なぜいないのかと思う。なぜ出会ったのかと思う。浮き上がる疑問符を残り場はやさしく照らす。」
「文学や芸術とは、『社会の役に立たないから』という硬直した考え方を前に、しなやかに返答し続けるもの。」
淡々と語りかけているが、彼女の歩んできた人生の深さを垣間見れる。答えのない問いに対し考え続け、ひとつひとつに向き合う姿勢が魅力的だ。楽曲を聴いてから本書を知ったが、曲がつくられた背景なども詳細に記憶しており、丁寧に過ごされてきた人生の有意義さに感服した。
Posted by ブクログ
「気を衒うことなくとてもシンプルなのに、ものすごい力強さと美しさを持っている」
というのは、文章だけでなく歌や演奏、作詞作曲に至るまで、寺尾紗穂さんの表現活動全てに共通する特徴だと思いますが、どの分野においても高いレベルで具現化されていることに、ただただ圧倒されます。
本書は内容も素晴らしいですが、帯にあるいとうせいこうさんの「丁寧に書くことは 丁寧に生きること。」という言葉に心を掴まれました。
本書の中のどこか一場面を指しているわけでもないのですが、本書のどこを読んでも奥底でこの言葉が共鳴するようで、こんなに短い一文で的確にこの本の本質を表現できることにとても驚かされました。
Posted by ブクログ
読み終えるとすごく疲れた。良い意味で。
ものすごく難しい言葉遣いでもなく、むしろ流れるような文体だけど言葉の密度がすごく濃い。
世界の見え方を一枚ぺりっとめくって教えてくれたようなすごい本
Posted by ブクログ
「好きだな、この人」と思った。
直接、会ったことはない。
この人の作った音楽を聴いたことはない。
仕事をしている領域は、たぶん、重なっていない。
日常生活の中でキャッチしている物事も、自分とはかなり違うのだろうと思う。
しかし、寺尾沙穂さんが著書「彗星の孤独」に書かれていることを読んでいて、
寺尾さんが感じていること、価値の置き方に魅かれた。
本書の中に、次のような記載がある。
『何かをアウトプットする時、
まわりの評価や世間の常識の中でものを考え、
そこからはみ出さない範疇で選択したり、
答えを出すことに私たちはすっかり慣らされている。
そのほうが楽だからだ。
まるでその術をうまく知っている人が、頭がよく、
仕事のできる人のようにも錯覚する。
うわさに耳をそばだて、安全牌のうまく頼れれば、「成功」はなかば保証される』
『文学や芸術はもっともっと一個人に開かれていいものだと思う。
誰がいつ始めてもいい。
その巧拙やレベル如何に最後までこだわる人もいるだろうが、
一番大切なのはひとりの人間にとっての切実な表現と喜びがそこにあるかどうか。
それから、それを認めて受け入れてくれる人が身近にいるかどうか。
これは、人の幸福を決める大きな要因であり、人が生きていく上で、最強のセーフティネットになりうるとも思っている』
寺尾さんは、音楽家であり、文筆家だそうだ。
音楽家も作家も、それで生計を立てられる個人は、一握りだろう。
表現を手段にして生計を立てていない場合、
その人の表現に価値がないというわけではない。
頭の中では理解できても、生活は切実な問題があるので、
お金にもならない表現を続けていてよいんだろうかと思ったり、
自分自身の表現活動が中途半端なものに思えたりする。
根っこを掘り下げれば、
「表現したいから、表現する」という動機があるはずなのですが、
それがどこかに消えてしまう。
自分の動機を掘り下げることについて思考停止して答えを出すほうが、楽だからだ。こうすれば上手くいくという方法や、安全な流れに乗っかっていくほうが都合がいいだろう。
でも、「それで幸せか?」と考えると、自分自身の答えが見えてくる。
Posted by ブクログ
自分は読む速度は遅い方だと思っている。
『彗星の孤独』は、1ページ1ページをまさに味わうように読んだので、ただでさえ読むのが遅いのに、さらに時間がかかってしまったように思う。
でもぼくにとっては、それだけの時間をかけてじっくり読む価値のある本だった。
人の温もりとか、熱とか、氷のような冷たさとか、本を読んで久しぶりに感じたような気がする。
文章が美しくて、だけど、ところどころ心がかき乱される。
穏やかな川の底を急に浚うように。
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“自分が人間性において欠陥を持っていると感じている人間の情けなさややるせなさ、痛みのようなものがお兄さんの全身から出ているのを感じ、この人は私とおんなじだ、と思った。”(p.119)
わたしもおんなじだ、と思った。
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前に読んだ「南洋と私」「あのころのパラオをさがして」が好きすぎて、このエッセイ集をワクワクしすぎてすぐに読み始められなかった。読み始めると少し読んでは考え、少し読んでは考えで、なかなか進めなかった。
お子さんを3人育てながら、たくさんの人に会い、旅をし、歌い、書いて、すごい人だと改めて思った。
"「社会の役に立たないからなくてもいい」「レベルが低くて中途半端だから価値がない」。こういう硬直した考え方を前に、しなやかに返答し続けるものが、芸術であり文学ではないかとも思う。" 50ページ
"何かに固執したとたん、それは古び始めるのだ。なぜなら現実は常に複雑であり、いつも変化しているから。" 53ページ
"大切なものはいつも見えにくくなる、ということだろう。"
55ページ
Posted by ブクログ
基本的には著者の身辺雑記。彼女のファンでないと、事情がよく飲み込めない部分があるかもしれない。ただ、彼女が日頃考え感じていることに共感できるならば、自分の感じ方や価値観の支えの1つになるだろう。自らを取り巻く様々な事物・自然・コミュニティー・他者と支えあいながら生きていくこと。それを脅かす政治や経済の力に対する違和感。彼女のものの感じ方やそれに応じた行動のあり方はまっとうだと思う。