笹原宏之のレビュー一覧
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小さいときから漢字は好きではなかった。
たとえば近畿地方の「畿」。糸の上の部分とか田とかを1つの文字になぜ詰め込まなければならないのか、もっと簡単にできないのかと思っていた。大学で中国語の履修をしたとき簡体字がうらやましくて、私も「言(ごん)べん」を手書きするとき7画で書くのが邪魔くさくて簡体字のように略して書いたものだ。一方で、日本人は漢字を簡略化したカタカナやひらがなを発明しており、漢字の簡略化には歴史上でも実績があるのだから、現代でも漢字を日本人なりに簡略化した第三の「かな」の発明は可能なのではとも思ったりした。
いや、こう書くと、私がただ単に漢字の画数を減らすべきだと主張しているよう -
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円満字二郎著『漢字が日本語になるまで』を読んで、こちらも気になったので読んでみる。
『漢字が…』と被っている部分もあったが、こちらの本は「訓読み」に特化した内容で、学者らしく漢字文化圏(中国、朝鮮、ベトナム)との比較や、様々な訓読みの例が豊富なエビデンス(古代中国の文献から現代の芸能人、歌詞に至るまで)とともに示されている。
以下、面白かったところの一部。
中国語と日本語は本来系統が異なる別の言語で、訓読みについて(今では)日本人は何の疑問も感じないが、訓読みはアメリカ人が「山」を「mountain」と読むくらい特異なことである。
訓読みは朝鮮やベトナムにもかつてはあったが、廃れた。あるいは -
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日本での漢字の用い方、理解のしかたをテーマに、幅広い話題を取り扱う。
(面白いんだけど、こういう本はレビューが書きにくくもある。)
いつから「やまと」は「大和」と表記されていたか。どんな経緯か。
国字、国訓のこと。
誤字。それから打ち文字になってからの誤字。
打ち文字時代の略字。
地名や人名に用いられる漢字。
平仮名、片仮名、漢字の表記の違いが与える印象。
…こんな話題のラインアップだった。
人力車を表わす人偏に車の字は、確かに明治期の小説などによく見る。
あれが明治期の創作漢字コンクール入賞作品だったとは知らなかった。
こういうニッチ(といっては申し訳ないけど)な情報の個々は面白い。
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笹原先生がエッセイ!とな?
一見、いつもの、これまでの笹原さんの新書といった感じがするが…。
うん、たしかに「麩菓子」と「竹輪麩」を「逸品だと思う」と言ってみたり、子供を資料館の外で待たせておいて調査に勤しんだりよいった、ちょっとした身の上話が出てきたのが新鮮かな?
三つの内容からなる。
第一はJIS漢字。
その制定に国土地理院発行の『国土行政区画総覧』が大きな役割を果たしていることなどが書かれる。
日本で人名の調査がきちんとなされていないということを初めて知った。びっくり。
第二は海老蔵の漢字表記の話。
五代目が、初代、二代目に自分が及ばないと謙遜して「鰕蔵」とした話などを、資料をもと -
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漢字のトリビア中心の本かと思ったら、想像以上にタイトル通りの本だった。
漢字ハカセと呼ばれた少年が本当に研究者となるまでが描かれている。
小学生のとき漢字に目覚め、中学生のときには研究を始めていて、それが本当に「研究」と言えるレベルのものなので仰天する。
天才肌というよりは、学究タイプ。研究対象にとことんこだわって調べ尽くし、そこから答えを導き出す。研究者以外の人生がこの方にあるだろうか?と思うし、本当に研究者になれるのかわからない中学生の段階でこれほどのめり込む息子を持った親御さんは正直言って心配だったのではないかとすら思う。
その真面目さ、正直さは文章から濃厚に伝わってきた。中学生のとき書 -
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数年前から中国語を勉強しています。覚悟をしていましたが、音の変化の無い軽声を入れて5種類ある発音は難しく、未だに一つの文章を間違いなく読むことができずに困っています。
こんな私ですが数年も勉強していて日本人の使う漢字と中国語で習う漢字の違いがあることを理解できます。発音が異なる以外に特徴的なのは、中国語の漢字の発音は基本的に1種類で、日本語のように、音読みや訓読みがありません。
訓読みとは日本人がつけた読み方のようですが、どのような歴史があるのだろうとずっと気になっていました。そのような私がこの本と出合うことができて嬉しかったです。
この本の著者は、中国語だけでなく韓国語にも堪能なようで