笹原宏之のレビュー一覧

  • 漢字ハカセ,研究者になる

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    小さいときから漢字は好きではなかった。
    たとえば近畿地方の「畿」。糸の上の部分とか田とかを1つの文字になぜ詰め込まなければならないのか、もっと簡単にできないのかと思っていた。大学で中国語の履修をしたとき簡体字がうらやましくて、私も「言(ごん)べん」を手書きするとき7画で書くのが邪魔くさくて簡体字のように略して書いたものだ。一方で、日本人は漢字を簡略化したカタカナやひらがなを発明しており、漢字の簡略化には歴史上でも実績があるのだから、現代でも漢字を日本人なりに簡略化した第三の「かな」の発明は可能なのではとも思ったりした。

    いや、こう書くと、私がただ単に漢字の画数を減らすべきだと主張しているよう

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    2023年12月27日
  • 訓読みのはなし 漢字文化と日本語

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    円満字二郎著『漢字が日本語になるまで』を読んで、こちらも気になったので読んでみる。
    『漢字が…』と被っている部分もあったが、こちらの本は「訓読み」に特化した内容で、学者らしく漢字文化圏(中国、朝鮮、ベトナム)との比較や、様々な訓読みの例が豊富なエビデンス(古代中国の文献から現代の芸能人、歌詞に至るまで)とともに示されている。

    以下、面白かったところの一部。
    中国語と日本語は本来系統が異なる別の言語で、訓読みについて(今では)日本人は何の疑問も感じないが、訓読みはアメリカ人が「山」を「mountain」と読むくらい特異なことである。
    訓読みは朝鮮やベトナムにもかつてはあったが、廃れた。あるいは

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    2022年08月20日
  • 漢字ハカセ,研究者になる

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    筆者の自伝的研究紹介の本。途中から見坊豪紀氏に似ているなあと思ったら、筆者が尊敬していて交流があったことも書かれていた。数日前に読んだ三省堂国語辞典と明解国語辞典の話とシンクロした。時々こういうことが起きるから面白い。
    岩波ジュニア新書からの刊行であり、中学生や高校生にもおすすめである。

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    2022年05月02日
  • 謎の漢字 由来と変遷を調べてみれば

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    ネタバレ

    書肆で見かけて、是非読んでみたいと思っていた。3部構成で、特に第一部が興味を引いた。JIS漢字の由来は昔の地名にあったということ。多くの名字は地名に由来するわけだから、地名・名字というのはJIS漢字の、特にほとんど見かけない字の出典ということになる。

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    2017年09月14日
  • 方言漢字

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    限られた地域で広く認知された文字について、旅情を交えながらまとめた一冊。
    略字や地名、姓、食べ物など、色々な文字が出てくる。

    小難しい漢字の本というより、著者の体験談として、旅行気分で読むと楽しい。
    前書きで難しいと思った方は、是非北海道の章から読んでもらいたい。

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    2023年03月03日
  • 謎の漢字 由来と変遷を調べてみれば

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    良書。論文めいた言い回しも散見されるが、内容がよく整理されているため読みやすい。仕事柄「謎の漢字」に触れる機会が多いため、取り上げられる漢字のあれもこれも身近に感じられて大変面白く読めた。

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    2023年01月09日
  • 漢字ハカセ,研究者になる

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    漢字に取りつかれ、子どものころに漢字ハカセと呼ばれていた著者が博士になる過程が書かれています。
    地道で気の遠くなるようなサンプルの収集に研究することの大変さと、当て字や地名、常用漢字表の在り方について知ることができます。

    岩波ジュニア新書なので、小学校高学年から高校生向きの本です。中・高の受験問題になりそうな内容です。
    論文に取り組んだ時の詳細も書かれているので、論文ってどう取り組んだらいいのか、と悩んでいる大学生も読んで欲しい1冊です。

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    2022年06月08日
  • 漢字に託した「日本の心」

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    日本での漢字の用い方、理解のしかたをテーマに、幅広い話題を取り扱う。
    (面白いんだけど、こういう本はレビューが書きにくくもある。)

    いつから「やまと」は「大和」と表記されていたか。どんな経緯か。
    国字、国訓のこと。
    誤字。それから打ち文字になってからの誤字。
    打ち文字時代の略字。
    地名や人名に用いられる漢字。
    平仮名、片仮名、漢字の表記の違いが与える印象。
    …こんな話題のラインアップだった。

    人力車を表わす人偏に車の字は、確かに明治期の小説などによく見る。
    あれが明治期の創作漢字コンクール入賞作品だったとは知らなかった。
    こういうニッチ(といっては申し訳ないけど)な情報の個々は面白い。

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    2021年07月11日
  • 謎の漢字 由来と変遷を調べてみれば

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    笹原先生がエッセイ!とな?
    一見、いつもの、これまでの笹原さんの新書といった感じがするが…。
    うん、たしかに「麩菓子」と「竹輪麩」を「逸品だと思う」と言ってみたり、子供を資料館の外で待たせておいて調査に勤しんだりよいった、ちょっとした身の上話が出てきたのが新鮮かな?

    三つの内容からなる。

    第一はJIS漢字。
    その制定に国土地理院発行の『国土行政区画総覧』が大きな役割を果たしていることなどが書かれる。
    日本で人名の調査がきちんとなされていないということを初めて知った。びっくり。

    第二は海老蔵の漢字表記の話。
    五代目が、初代、二代目に自分が及ばないと謙遜して「鰕蔵」とした話などを、資料をもと

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    2019年10月03日
  • 謎の漢字 由来と変遷を調べてみれば

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    全き知らない世界で、興味もなかったのですが、普段使うことがほとんどないレアな漢字が地名に由来することを知りました。日本国中の地名を調べ上げ、漢字を拾っていった人々の苦労と熱意が伝わってきます。

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    2017年08月18日
  • 謎の漢字 由来と変遷を調べてみれば

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    『スマホやパソコンでは、嬲、娚、娵、啌、鯲、蟶、妛といった不思議な文字を打つことができる。』
    この「嬲」は「嫐」でないと本文の意を汲まない

    この紹介文にもある「妛」の様な幽霊漢字は有名な謎だったが、それ以外にも盛りだくさん
    笹原先生の研究の経過の一端が実況形式で見えてくるつくりであるが、その分「鰕」の項は読みづらさを感じたところも

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    2017年05月26日
  • 漢字ハカセ,研究者になる

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    漢字のトリビア中心の本かと思ったら、想像以上にタイトル通りの本だった。
    漢字ハカセと呼ばれた少年が本当に研究者となるまでが描かれている。
    小学生のとき漢字に目覚め、中学生のときには研究を始めていて、それが本当に「研究」と言えるレベルのものなので仰天する。
    天才肌というよりは、学究タイプ。研究対象にとことんこだわって調べ尽くし、そこから答えを導き出す。研究者以外の人生がこの方にあるだろうか?と思うし、本当に研究者になれるのかわからない中学生の段階でこれほどのめり込む息子を持った親御さんは正直言って心配だったのではないかとすら思う。
    その真面目さ、正直さは文章から濃厚に伝わってきた。中学生のとき書

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    2022年04月26日
  • 訓読みのはなし 漢字文化と日本語

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    『方言漢字』からの派生読み。

    中国から大陸を経由して「漢字」を学んだあと
    もともと話していた「やまとことば」も
    漢字で活用できそうだなーって
    考えた昔の人はえらかった!
    おかげで「当て字」も「ルビ」も使える
    ゆかいな言語ができました。

    なんとなくだけど自分も
    かしこまって言いたい時は「音読み」で
    やわらかく言いたい時は「訓読み」で
    自然と使い分けている気はします。
    さらに軽くしたい時はカナを使うしね。

    韓国語やベトナム語に
    似たような使い方をしているものがあると
    幅広く紹介してくれているのが楽しい。

    ※実際は「光文社新書」を借りました

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    2020年10月29日
  • 方言漢字

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    「お鮓」が読めれば関西人
    「九卅」が読めれば九州人
    という帯の文句に興味を覚え。

    特定の地方しか使わない漢字や
    読み方があるなんて、おもしろい!
    各地方から著者が足で集めた例や写真も
    たくさん掲載されています。

    昔はね〜、看板とかも手書きだから
    方言漢字も困らなかったみたい。
    デジタル化で変換できないと
    別の似たような漢字に
    取って代わられるそうで…。
    それはちょっと味気ないよね。

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    2020年10月17日
  • 謎の漢字 由来と変遷を調べてみれば

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    正しくは読み終わっていない。第三部の科挙の話がちんぷんかんぷんで読み飛ばしてしまった…。簡単に読める本ではなかったね。
    「令和の令の字をどう書くか」という時事的なことへのアンサーもあっておもしろかった。正しい漢字とは何なのか、正しい書き方とは何なのか、というかことを考えたいと思う。
    あとこの感想をスマートホンで打てていることをJIS漢字に感謝。

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    2019年05月19日
  • 漢字に託した「日本の心」

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    おもろいです。コジツケかよと言いながら、半納得半笑いで読んでしまう。「漢字が好き!」て気持ちが伝わってくる。

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    2017年11月15日
  • 謎の漢字 由来と変遷を調べてみれば

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    ネタバレ

    <目次>
    第1部  日本の地名・人名と謎のJIS漢字
    第2部  海老蔵は鰕蔵か
    第3部  科挙と字体の謎

    <内容>
    第1部の日本のみで使われる「国字」を追っかけたもの。第2部は、漢字から「市川海老蔵」家の歴史を追っかけたもの。第3部は、漢字の本家、中国の漢字の使われ方を「科挙」から追っかけてた労作。自分の興味からすると、ちょっとだったけど、教師として、漢字の「とめ・はね」などにこだわるのはあまり意味のないこと(歴史的には)がよくわかった。現在の常用漢字にいても、フォント上の文字と書く文字をどう対比させるかは、難しいんだとわかった。

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    2017年10月12日
  • 訓読みのはなし 漢字文化と日本語

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    数年前から中国語を勉強しています。覚悟をしていましたが、音の変化の無い軽声を入れて5種類ある発音は難しく、未だに一つの文章を間違いなく読むことができずに困っています。

    こんな私ですが数年も勉強していて日本人の使う漢字と中国語で習う漢字の違いがあることを理解できます。発音が異なる以外に特徴的なのは、中国語の漢字の発音は基本的に1種類で、日本語のように、音読みや訓読みがありません。

    訓読みとは日本人がつけた読み方のようですが、どのような歴史があるのだろうとずっと気になっていました。そのような私がこの本と出合うことができて嬉しかったです。

    この本の著者は、中国語だけでなく韓国語にも堪能なようで

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    2015年07月05日
  • 訓読みのはなし 漢字文化と日本語

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    内容はとても楽しく読みました。
    ただ、最後のほうは飽きてきてしまった……。
    韓国や朝鮮、ベトナムといった国の漢字事情も少しづつ紹介され、とても参考になるのですが、日本だけに絞っていただければ最高でした。
    「和名類聚抄」、「類聚名義抄」、「伊呂波字類抄」なんかからの例がもっと沢山あると、より楽しめたと思います。
    訓字は古訓なども含めますと、複雑ですね。

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    2015年05月06日
  • 訓読みのはなし 漢字文化と日本語

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    同訓異字・一字多訓の話が面白かったが専門的な話がかなり多い。楽しく読めたが難しいところもおおかった。
    2014年出版ということで最近の流行語も多数入っている。
    男の娘が「女」を「こ」と訓読みするところで紹介されていたのにはびっくりした。

    漢字の表意文字としての素晴らしさを改めて実感。同時に何故韓国・ベトナムは漢字を捨てたのか疑問に思う。

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    2014年12月27日