中島由華のレビュー一覧
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[深淵なる富貧クレバス]「上位1%とその他99%の人々の間の格差」という考え方に注目が集まる一方,さらにその上位1%の中の「上位0.1%とその他の人々の格差」に着目した作品。著者が「プルトクラート」と呼ぶその超裕福層はいかにして生まれ,行動し,どのような影響力を社会に行使しているかを詳細に研究しています。著者は、『フィナンシャル・タイムズ』を始めとした各種の経済紙においてジャーナリストとして活躍したクリスティア・フリーランド。原題は、『Plutocrats; The Rise of the New Grobal Super-Rich and the Fall of Everyone Else』。
まず「プルトクラート」の度肝を抜かれる金持ちっぷりに単純に頭がくらくらしました。ただ単に金がうなるほどあるというのだけではなく,その層が国境をそれほど意識することがなく,主に内輪の者のみで完結する世界に生きているという指摘にはなるほどと感じずにはいられませんでした。もちろん金持ちを追ったゴシップ本ではなく、「プルトクラート」がどういう役割・影響を果たすかについても極めて現実的な見方が提示されているところも高評価ポイント。
〜重要なのは、実業家のなかの善玉と悪玉の差よりも、自分の社会で適切な規則が定められ、その執行を可能にする監視体制が敷かれているかどうかである。〜
失礼な言い方になりますが思った以上にしっかりした本でした☆5つ -
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ついに、ピケティ本「21世紀の資本」が日本でも発売されました。圧巻の700ページ、大迫力の5500円でございます。だ、誰が買うんや…と、平積みにされていた本を眺めていましたが、日本でも大ベストセラーらしいですね。NHKでもピケティの白熱教室が放映されるらしい。
さて、本書はアメリカではピケティ本とほぼ同時期に発売された、1970年代以降の超格差、主に金持ち側を取り扱った本です。
彼ら大金持ちが誕生する歴史や背景はそれこそピケティやエマニュエルサイズなどを参照しながら、わかりやすく説明してくれますが、これは割とジャーナリスティックな内容の本です。著者はモスクワで働いたことのあるカナダ人であり、ロシアや中国の大金持ちが誕生する背景が描かれた4章以降は興味深いのではないでしょうか。
合法的腐敗でありながら、規制の困難なレントシーキング。政府が金融機関の言いなりになってしまう認知的国家捕獲など、日本ではなかなか議論されないキーワードもでてきて勉強になります。
とりあえず、お金持ち大好きで本書を手に取ったはいいけど、金融にも法律にもテクノロジーにも造詣のない先進国のミドルクラスには縁もゆかりもない世界らしいのでがっかりしておきましょう。 -
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手記を書いた人が本当に無実なのか検証する術を私は持っていない。けれど、こんなに膨大な記録を全て嘘で塗り固められるとは考えにくいし、米国にやましいことがなければ、裁判を行えばいいはず。
そもそも他国モーリタリアで半ば拉致同然に逮捕し、こっそりと移送し裁判も行わずひたすら拘置し拷問。この時点で人権を奪っていることは事実。
テロというのは非常に便利な言葉で、レッテルを貼りカテゴライズしてしまえば、どんな暴力も世間に受容させてしまう。法治国家の体ではあるので、自白を引き出さないとやはり次のステップに移れない。そのためあの手この手の拷問で辻褄の合う自白を当局は引き出そうとする。
拘束された者たちの、真実に違わぬ自白をしない精神力はものすごいことであり、私だったらとうに気が狂っているかもしれない。歯がゆいのはこの手記を読んでも無力を感じるだけで、私個人としては、政府のテロという煽動に踊らされないよう、メディアリテラシーを高めるしかない。
いまは世界でムスリムへの偏見は一時期より薄くなったとは思う。自分も偏見を持たないよう気をつけたい。この件については、ペンタゴン・ペーパーズ、ウォーターゲート事件にみられるようなアメリカ国内の自浄作用に期待したい。 -
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明るく楽しいだけではない、オリンピック 2020年に日本でオリンピックが開催される。残り1年をきった今でも(近くなったからこそ)その意義や手法について、批判が度々聞こえてくる。単純に楽しみである私としても、成功するか否か、世界に日本という国がどのように示されるか、関心がある。
本著では、いかにも清らかで政治とは一線を引いているとされるオリンピックが、いかに政治や商業主義と癒着体制にあり、歴史上数え切れない問題を抱えてきたか明らかにする。オリンピックが都市に恵みをもたらした例はあるが、その逆もしかり。オリンピックにより膨大な借金を背負った例はいくらでもある。また、オリンピックが経済効果を示す例は誘致推進派からしか聞こえてこず、その真偽は不明確である。
もっとも、著者の色メガネで少し反対派に寄りすぎているきらいはある。反対する根拠を数多く挙げられているが、(ほとんどは事実ベースであるものの)その根拠を一つ一つ確認した場合、どうだろうか。また逆に、賛成派の意見も星の数存在するはずであり、彼等の意見を無視しても良いのか。
自国でのオリンピック開催は楽しみであり、誇りでもある。だが楽しいだけで良いのか。この国に余計な負債を残すことにならないだろうか。開催を止めることはできないが、今からでも何か、少しでも良い方向に舵を切れないだろうか。 -
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大抵の税金は戦費のため。
われわれが姓名を名乗るようになったのも徴税のため。
ヨーロッパでは13世紀まで平民は姓を持たなかった。
人頭税の徴収の際ら人々を区別するのに便利だから。
人類初の公式の税制。
「エスレトゥ」=古代の10分の1税
「ラッファー曲線」=最適な税率に設定することにより政府は最大の税収を得られるということを示す曲線。
高すぎる税率は経済活動を抑制し、むしろ税収を減らす恐れがあるため、その場合減税によって最適な税率まで下げる。
南北戦争の原因は奴隷解放のためではない。
南部を離脱させないため。
南部の連邦税収の75%を支払っていた。 -
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開始まで1年を切りながらもマラソンの札幌開催など、まだまだ何が起きるか分からない東京オリンピックであるが、オリンピックはいつから”アスリートファースト”の精神を失い、巨大な利権に操られた祭典となってしまったのか。
本書は近代オリンピックの父であるクーベルタンに始まり、2028年夏季が開催されるロサンゼルスまでの120年間の歴史を、自らもアメリカのサッカー男子代表としての経験を持つ著者がまとめたノンフィクションである。
これを読むと、オリンピックの初期から予算の超過というのは当たり前になっていたということが良く理解できる。だからといって東京オリンピックの組織委員会の無能さが許されるわけではないのだが。
また、当初認められていなかった女性アスリートの参加が徐々に認められれるプロセスや、巨大なスタジアム等の建設に際しての環境問題など、オリンピックの”ダークサイド”を知るには非常に一冊。あまり読んでいて、明るい気分にはならないが。 -
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口は悪いが、著者の言い分もわかる。ネットで誰でもどこでもアクセスできることを喜んでいたWEB1.0から、応答を個別に対応可能になったWEB2.0でビジネスが大きく変わり、勝ったものが総取りの世界。個人が無料でサービスを受けるかわりに、無料で個人情報を提供することで、ネットガリバーの一人勝ちを助長している。インターネットは平等をもたらすかわりに、ますます不平等を助長する。産業革命の資本家がネット長者に変わっただけで、大衆が搾取される状況は同じ。対策は成金貴族のno-buruobure-juに期待しかないのか・・・・
中国の政府による監視社会を危惧していたが、西側も政府がネット起業に変わっただけで、1984の世界が迫りくる。くわばらくわばら。