[深淵なる富貧クレバス]「上位1%とその他99%の人々の間の格差」という考え方に注目が集まる一方,さらにその上位1%の中の「上位0.1%とその他の人々の格差」に着目した作品。著者が「プルトクラート」と呼ぶその超裕福層はいかにして生まれ,行動し,どのような影響力を社会に行使しているかを詳細に研究してい
...続きを読むます。著者は、『フィナンシャル・タイムズ』を始めとした各種の経済紙においてジャーナリストとして活躍したクリスティア・フリーランド。原題は、『Plutocrats; The Rise of the New Grobal Super-Rich and the Fall of Everyone Else』。
まず「プルトクラート」の度肝を抜かれる金持ちっぷりに単純に頭がくらくらしました。ただ単に金がうなるほどあるというのだけではなく,その層が国境をそれほど意識することがなく,主に内輪の者のみで完結する世界に生きているという指摘にはなるほどと感じずにはいられませんでした。もちろん金持ちを追ったゴシップ本ではなく、「プルトクラート」がどういう役割・影響を果たすかについても極めて現実的な見方が提示されているところも高評価ポイント。
〜重要なのは、実業家のなかの善玉と悪玉の差よりも、自分の社会で適切な規則が定められ、その執行を可能にする監視体制が敷かれているかどうかである。〜
失礼な言い方になりますが思った以上にしっかりした本でした☆5つ