あらすじ
ナチズム喧伝に利用されたベルリン五輪、日本を含む西側諸国がボイコットしたモスクワ五輪など、時代ごとの国際情勢を映してきたオリンピックの歴史を追い、今の課題を洗い出す。五輪代表経験を持つ元プロサッカー選手にして米国気鋭の政治学者による渾身の作。
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Posted by ブクログ
明るく楽しいだけではない、オリンピック 2020年に日本でオリンピックが開催される。残り1年をきった今でも(近くなったからこそ)その意義や手法について、批判が度々聞こえてくる。単純に楽しみである私としても、成功するか否か、世界に日本という国がどのように示されるか、関心がある。
本著では、いかにも清らかで政治とは一線を引いているとされるオリンピックが、いかに政治や商業主義と癒着体制にあり、歴史上数え切れない問題を抱えてきたか明らかにする。オリンピックが都市に恵みをもたらした例はあるが、その逆もしかり。オリンピックにより膨大な借金を背負った例はいくらでもある。また、オリンピックが経済効果を示す例は誘致推進派からしか聞こえてこず、その真偽は不明確である。
もっとも、著者の色メガネで少し反対派に寄りすぎているきらいはある。反対する根拠を数多く挙げられているが、(ほとんどは事実ベースであるものの)その根拠を一つ一つ確認した場合、どうだろうか。また逆に、賛成派の意見も星の数存在するはずであり、彼等の意見を無視しても良いのか。
自国でのオリンピック開催は楽しみであり、誇りでもある。だが楽しいだけで良いのか。この国に余計な負債を残すことにならないだろうか。開催を止めることはできないが、今からでも何か、少しでも良い方向に舵を切れないだろうか。
Posted by ブクログ
開始まで1年を切りながらもマラソンの札幌開催など、まだまだ何が起きるか分からない東京オリンピックであるが、オリンピックはいつから”アスリートファースト”の精神を失い、巨大な利権に操られた祭典となってしまったのか。
本書は近代オリンピックの父であるクーベルタンに始まり、2028年夏季が開催されるロサンゼルスまでの120年間の歴史を、自らもアメリカのサッカー男子代表としての経験を持つ著者がまとめたノンフィクションである。
これを読むと、オリンピックの初期から予算の超過というのは当たり前になっていたということが良く理解できる。だからといって東京オリンピックの組織委員会の無能さが許されるわけではないのだが。
また、当初認められていなかった女性アスリートの参加が徐々に認められれるプロセスや、巨大なスタジアム等の建設に際しての環境問題など、オリンピックの”ダークサイド”を知るには非常に一冊。あまり読んでいて、明るい気分にはならないが。