阿久悠のレビュー一覧
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「スタ誕」誕生のいきさつからスタートしてそれぞれの歌手にまつわる思い出話を展開していく。
10年間審査員として素人からアイドルになるその瞬間を見届けてきた内部中の内部の人なので、エピソード自体はどれも面白い上に、さらにそれを阿久悠の感性と言葉選びで綴られているのでいちいちビンタされたように痺れる。
「百恵はそれと悟られぬように変装し、ピンクレディーは変装を宣言して変装した。」(百恵には一曲も提供してないけどね。三人娘の初恋時代だけ。)
「(ピンクレディーのデビューを)手を振る人のない八月の船出。」
「リンダ、フィンガーに次ぐ第三の絵空事路線」
「全く産んだ覚えのない子が里帰りしてくる」 -
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「やるな!小僧」
2007年のNHK「通(つう)」というバラエティー番組の中で、作詞家阿久悠が俳優半田健人に対して放った言葉である。ヘッドフォン越しに歌謡曲を聴く半田にダメ出していた阿久氏は、半田の玄人もどきの歌謡曲の捉え方に接すると、前言を撤回し、「同志」的目線で番組を進行していく。
「ザ・ベストテン」を始めとした歌番組を見て育った私は、「レコード大賞」「スタ誕」でお馴染みの阿久氏をこの番組で久しぶりに拝見したが、懐かしさと同時に、かなり老いたという印象を抱いた。(実際にこの放送直後に阿久氏は亡くなっている。)
その阿久氏が、亡くなる8年前に自身の曲を含む100曲の昭和歌謡の解説を1曲 -
購入済み
悪酔い
「阿久悠は才能・・」
この「悪魔のようなあいつ」の
第一話を読んだ時から、
本当にそう思いました。
物語の作り、
表現力、
人物設定、
どれをとっても
魅力的で、
僕は、
こんな話を書ける
阿久悠と村上一夫が
羨ましい・・
あまりに熱中して読んでしまい、
この作品の持つ世界観に
悪酔いして、
胸やけすら感じている僕です。
とにかく、
一度は読むべき本・・!
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日記というごく私的な記録について、私的でありながら他人と似た形式になりがちなのは何故か。オリジナルであることにこだわる。
そんな視点で語られており、とても参考になった。
日記力とは観察眼を磨くことであり、情報をキャッチして逃さない工夫である。
自分が目指したい日記の形がこの本の中にヒントとしてたくさん書かれていた。
阿久悠氏の書く詞のオリジナル性は彼のそんな考え、ポリシーの元に生まれていたのだ。
やはりオリジナルにこだわることはとても意味があることで、またそれこそが他人とは違う自分、個性なのだと思う。
日記力を磨くのは自分。毎日何となく過ぎていく時間の中にエッセンスがある。
見逃さないこと。忘 -
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主に、歌謡曲についての記述であるため、必ずしも、現在のJ-POPと呼ばれる音楽すべてに通じるものではないだろうが、阿久悠の「作詞」に対しての考え方や感覚が上手く表現されている。
ここでいう「作詞」とは、「ヒット曲をつくる」ということが大前提となる「作詞」である。だが、「作詞」といっても、その前段階(一部)となる企画や構成いう部分が内容のほとんどを占める。
その部分が、「作詞」において最も重要だということだろう。
また、本書の中では、作詞家の役割や作詞の基礎知識・テクニックに加え、実際のヒット曲の製作過程ということまで含まれている。
ヒットメーカーの考え方や感覚に触れることが出来る本とい -
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秋元康に抜かれるまで日本で一番作詞をしてきた男、阿久悠。なにしろレコード大賞を5度も穫ったことがある、まさに昭和歌謡の巨人です。この本棚にも中川右介「阿久悠と松本隆」が置かれています。彼には「作詞家憲法」という原理原則があった、という話を、先日たまたま聞きました。例えば、『「女」として描かれている流行歌を「女性」に書きかえられないか。』とか。憲法というより歌謡曲というクリエーションへの彼の視点みたいなものか。なんか非常に興味そそられました。そのまなざしがこころざしになり時代の空気を作っていったのが昭和のあの頃なのだと思ったのです。で、そういう時にたまたま神保町付近で空き時間があり、前々から気に
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阿久悠氏の日記に対する考え方、また、23年間、一日も欠かさずつけ続けたオリジナリティあふれる日記についての記述も。ハウツーやマニュアルではありません。
なぜ日記をつけることが大事なのか、続けるとどのように変われるのかなどが書かれている。
阿久さんは、日記につけたい出来事をあらかじめメモしておき、夜になるとメモを集めて、一日1ページの限られたレイアウトに何を書いて何を捨てるか、情報の取捨選択、一人編集会議を始めるのだそう。
阿久さん専用の新聞というか、キュレーションメディアみたいだなあと思った。
こういうことの積み重ねが、昨日と違う今日の確認ができたり、日々の創作活動の原点になっているのだろう -
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ネタバレA面には、売らなければならないという絶対責任がある。それ故に、さまざまな制約を強く受けている。それにくらべ、B面は、今のところ、全く自由の身なのである。
なぜ、これを、音楽の解放区として活用しないのだろうか。A面を書いた作家が、ぜひ音楽的実験を試みたいというなら、そうさせないのか。タレントが、今はまだその時機ではないが、近い将来必ずこういう傾向のものに取り組まねばならないというようなもののテストの場に、どうして与えないのか。
また、いきなりコマーシャルなA面に起用するのは危険だが、その音楽センスを試してみたいという新人作曲家の力試しの場に、どうして解放しないのか。
考えれば、活用方法は -
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ネタバレ父が息子に伝えたかったであろう「父の言葉」を著書より、1000近いことばの中から篩いにかけ178の言葉を選別した、とご子息が一文を寄せられている。
人生とか仕事とかをキーワードに、琴線に触れるフレーズが心に響く!!
以下、本文より
たかが言葉されど言葉。
いやいや言葉は覚悟の諸刃の剣なんだよ。
『清らかな厭世』
得がたい友というのは、仲良くするということではない。
憎悪も含めて、認める相手のことをいう。 『球心臓』
人生にとってのマイナス要素なんて存在しない。
マイナス要素だと思えることも、かならず、教訓になりうるものだ。『人生は第二志望で成功する』
生きていくことは -
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その昔、塾に通っていたころ、皆さんは詞とメロディどちらで曲を選択するか?ということを講師に問われたことがあった。私はそれまで歌詞に注目したことなど皆無だったので、とても新鮮な質問だなと思った記憶がある。
私は1983年生まれだが、私よりもう少し上の世代から、現在に至る若手層はどちらかといえば曲のよさで音楽を選ぶ世代であるように感じる。
歌詞がいくら良くてもメロディが伴わなければ聴かれることはなかったはずだ。
その理由の一つは、音楽が家族みんなで楽しむものから極めて個人的な経験へと変化したからではないだろうか。1979年に一号機が誕生したウォークマンの登場もその変化に一役買っているはずだ。