多島斗志之のレビュー一覧
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ネタバレ精神科と厄介な患者の話と、平行して博物館に保存されている物品の真贋の話。以下どう書いてもネタバレなので、その辺はご了承ください。
精神科の患者が異性であり、さらにパット見は自分について外から見ているような冷静さを持っているという、だれがどう見ても厄介な症例と、過去に似たような患者での失敗。手詰まりな状況はほぼホラーと言えそうな状況。
一方で、博物館の所蔵品に偽物があるという古い手紙。
巻末の膨大な参考文献からも分かる通り、主題は前者のストーリだし、博物館関係者も精神病を病んでいるわけで、この本、出てくる人の90%はビョーキなのだ。
ブレイクスルーになる、多重人格については、ちょうどシュ -
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[1]ボーイ・ミーツ・ガール&三角関係が昭和二十七年の物語で、昭和十年のベルリンでのできごとと昭和十五年〜二十年の過去話も描かれるがどういうつながりがあるのかわからない。同じ名の人物が出てはいるのだが。
[2]ミステリのつもりで読み始めたのにミステリらしくない淡々とした展開に、これはたぶん叙述トリックものやろうなあと思っていくらか警戒して読んだので結末は予想の範囲内に収まった。
[3]真相は読者にしかわからず、昭和二十七年の少年少女が狂言回しのためだけの存在に終わったのが残念かも。こっちはこっちで事件と謎が、もしくは真相を暴くような活躍が欲しかったかも。
■簡単な単語集
【相田真千子/あい -
Posted by ブクログ
ネタバレ読んでいてノンフィクションではないか?と思うぐらいリアルに感じる小説でした。
多少精神の知識を持っている自分からしたらほんとにリアルで、コミュニケーションをとる時にも何処か別の世界にいてさらに電話越しに話しているそんな感じをとても詳細に書いていてどんどんのめり込んでいきました。
この小説を読んで改めて精神を型にはめるのはどうなのかとも思いました。確かに治療という行為を行う上で伝えるときや定義等はしっかりするメリットはあると思うが、それを決める事で先入観や思い込みというデメリットも生じてしまう。
この小説を通じさらに自分の精神の特徴を知りたいと思えるようになりました。
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Posted by ブクログ
多島作品を読むのは三作目ですが、作品ごとにまったく違うテイストに仕上がるのに驚きます。
『症例A』がサイコサスペンス。『二島縁起』が冒険・ハードボイルドに歴史要素を組み入れたミステリー。そしてこの『黒百合』は少年のみずみずしい筆致が印象に残る青春小説の味わい。作家名を隠したままそれぞれの作品を読んだら、同じ作家の作品とは気づかないかもしれない。
この小説では三つのエピソードが語られます。昭和27年、夏休みに避暑地に訪れた14歳の少年が同年代の男の子や少女と交流を深め、淡い恋心を抱いていく話が中心となります。
合間に挿入されるのは、昭和10年のドイツベルリンを舞台に、電鉄会社の会長や社員が出会 -
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真実を知った時、頭を掻きむしりましたね笑
何でミスリードをしてしまったのか。。
予想する → 分析する → ミスリードする → 真実知る
頭を掻きむしるよね、本当に。うわぁぁぁぁ!
作品内容は面白かったです。
ガキンチョとその親達の恋模様と訪れていた別荘地で
起きる奇妙な事件。ベルリン&空襲。
これ以上、書かないどこ笑
ただ、家族構成が分かりづらく読み手を混乱させます。
且つ多島先生の文章力で絶妙にカムフラージュさせ
頭を掻きむしる事になります。さすが、小説家。
解説とかも無いので、「?」で終わる方も多いかも。
今後読む小説で分析の知識を得ました!
もう、ミスリードはしない笑 -
Posted by ブクログ
夏休みの淡い恋模様と大人たちの過去の話。
一番最後で真相がわかって、
絶対最初から読み直したくなる系ミステリー。
本当に最後の最後まで騙されてた!
脇役だと思っていた人が実は…というのは
やっぱり驚きますね!
読み直すと驚くくらい超緻密に構築されてて、
些細な描写が重要なヒントになっている。
「ここもそういうことだったのか!」
って感動することうけあいだ!
でも、話の大筋はわかったけど、
モデルの小林十三氏についてとか
挿入されているラジオドラマについてとか
もうちょい調べればわかることがありそうだし、
進が香にあげた白百合と黒百合の対比とかも
意識されてそうだから、
まだまだ気づけてな -
Posted by ブクログ
本格推理苦手なのに定期的に読んでしまう不思議。そして見事に騙されます。今回もきれいに騙されました。
少年少女たちの淡い恋情と、その親世代の薄暗い愛憎が交互に描かれますが、少年少女たちのひと夏の思い出の部分にばかり頭が行ってしまい、推理に必要な部分には全く興味が沸かない体たらく。嗚呼やはり私は阿保だった。
青春的な部分だけ書きますと、短期間で会わなくなってしまうけれど淡い恋を抱くというのは、少年時代の通過儀礼ですよね。本当に好きならば万難を排して会いに行く所でしょうが、小中学生の頃はちょっと離れただけであきらめざるを得ないですから。自分の昔を省みても少々甘酸っぱい気持ちになります。