多島斗志之のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ昭和27年、戦争が終わりサンフランシスコ平和条約が結ばれた年の夏。「私」こと寺元進は14歳の夏休みを父の友人である浅木氏の別荘がある六甲で送ることになる。そこで出会った浅木氏の息子・一彦と地元の事業家の娘・香との交流、中学生の男女の淡い恋模様の始まり。
文芸+ミステリということでイニシエーションラブのようにミステリであることを作品内で示さない作品ですね。
<六甲の女王>を相田真千子に<車掌>を日登美の夫に誤認させるようなプロット。正直、六甲の女王についてはミスリードの為にだけ存在する人物であまり好みではない手法だが本作は示された人物内で犯人を推理するような形式でもないので許容範囲。両者が別人 -
Posted by ブクログ
ながっ
医学系は大好き分野だからかもだけど
最後まで、とても面白く読ませていただきました
今までちょっと難しい分野も読んできたこともあるけど
多島さんの作品が一番分かりやすかった
あんまり勉強してきてない私でもすべて理解して読めました
精神科医の榊と、博物館の学芸部員瑤子と、舞台が二つにわかれており
ほぼ交互に進行していき読みやすかった
もちろん、最後のネタばらしはしないけど
博物館の過去の秘密のところはフィクションとはわかっていてもすごく壮大でロマンチックだと思った
榊先生の、もっと下品な(?)男子チックなところがもうちょっと見たかった(笑) -
Posted by ブクログ
信頼できる読書家さんの感想を以前に読み、またある時行きつけの書店でもずらりと棚に並べられた推し作品になっていたこともあり、ずっと読みたかった一冊。
いや、みごとに騙されました。途中で見抜けたと思いこみいい気になって読んでいたら、最後まさかの事実関係の語りから真相の絵がすべて鮮やかに浮かび上がった時には「うわぁ」と声を上げてしまった。幾重にも広がる人間関係が持った接点でこんなことができるとは。登場する女性達それぞれに意味深な雰囲気があること、語りの3人がそれぞれうまく役割を果たしていること-戦後の14才の夏を振り返ってその時の心情のママのように語る男性、WWII直前のベルリン出張中のビジネスマン -
Posted by ブクログ
タイトルと裏のあらすじから『精神科医』がテーマの物語とだけ認識し読み始めた。途中で『多重人格』の言葉が出てきて“これはもしかして、一時流行ったビリーミリガン的なものか??”と思ったが、そこまでの細かい精神科の描写や一向に猟奇的な方向に進まない(進むことは望んでいないが)状況に良い意味で裏切られた感じがした。
精神分裂病(現・統合失調症)と他の症例との類似点や違いについてもしっかり説明されており、医学知識の乏しい私のような読者も読んでいる間は俄か専門家になれているような気がした。
終わり方はなんとなくフェードアウトしたような物足りなさもあるが、完治の無い病気がテーマだからこそ人生が続く限り終わら -
Posted by ブクログ
多島斗志之の長篇ミステリ作品『黒百合(英題:a Black Lily)』を読みました。
多島斗志之の作品を読むのは初めてですね。
-----story-------------
「六甲山に小さな別荘があるんだ。きみと同い年のひとり息子がいるので、きっといい遊び相手になる。一彦という名前だ」
父の古い友人である浅木さんに招かれた私は、別荘に到着した翌日、一彦とともに向かったヒョウタン池でひとりの少女に出会う。
夏休みの宿題、ハイキング、次第に育まれる淡い恋、そして死。
1952年夏、六甲の避暑地でかけがえのない時間を過ごす少年たちを瑞々しい筆致で描き、文芸とミステリの融合を果たした傑作長編。才 -
Posted by ブクログ
ある精神科医が、新しく勤めることになった病院で
受け持った1人の少女。
高校生の彼女を診断していくうちに、
主人公はある症例と対峙することになる…といった
ストーリー。
途中で明かされるが
多重人格ものである。
姉が人格の1人だというタネはすぐ分かるが、
この物語の凄いところは、リアルさ。
膨大な資料から生み出された圧倒的リアルさ。
サイコものにありがちな、作り物っぽいおどろおどろしさではなく、実際の治療現場をそのまま見ているような錯覚を覚える。
心理学や精神医療に興味があればあるほど
楽しめる作品。
ホントの意味でのリアルなサイコホラーに、
美術品の闇取引というもう一つのストーリーが -
Posted by ブクログ
ネタバレ以前、『綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー』で綾辻行人さんが「多島さんが書いたド本格の長編を一度、読んでみたいですね」と発言していたのを読んだことがある。有栖川有栖さんとの対談での発言だったが、この作品こそ「多島流ド本格」と言えるものではないかと思う。
というのも、物語そのものは文芸ながら「謎の提示→真相の提示→種明かし」というミステリのフォーマットに則って書かれているからだ。ある理由からどの部分も非常にわかりにくく、わたしも初読では理解できなかったが、真相に関わる部分を再読して理解した。
トリックそのものや終盤の展開には気になる点もあるが、ミステリとして読んでも文芸として読んでも -
Posted by ブクログ
多島斗志之さんのミステリー『黒百合』
難しかったーッ(^^;;
『ラスト五ページの衝撃』?!
私の場合、わからない事が衝撃だったーッ(笑)
難しいよ、と聞いていた
伏線がわからない人はそのままの小説だと思うだろう、と聞いていた
時代が前後して時系列がわかりにくいので、負けてなるものか!とメモをとりながら読んだのだが。。。
誰が宝急電鉄の車掌だった?
ここが一番のポイントだよねー!
どうしてみんな足を引きずっている?
わからなくてネタバレを検索した
人物相関図も見た
だがいまいちピンと来ない
ミスリードが多い
ダミーもいる
タイトルの意味はわかった
再読すれば違うはず
わかっていて読むとまた -
Posted by ブクログ
ネタバレはじめは、新卒の明子が赴任した分校がある、昭和の田舎の村の生活が淡々と描かれる。
早く家を出たかった明子は、自分がいなくなり、後妻の義母や義兄弟たちは、清々するのではないかと考えるが、思いがけず父は伊賀の山奥へ赴任する明子にコンパスをプレゼントしてくれた。ずっとそっけない態度だった父が私のことを気にかけてくれていたのか、と意外に感じる。
明子は同僚の千津世先生と分校長と3人で1年から6年までの生徒を担当する。千津世先生は1〜3年生、明子が4〜5年生、分校長が6年生の担任になる。千津世先生は暗い顔でため息ばかり、何かワケがありそうに思う。
4〜5年生はしっかりしていて、慣れない明子を助けてくれる