多島斗志之のレビュー一覧

  • 黒百合

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    14才の少年少女のひと夏の恋物語…と思いきや伏線とミスリードだらけですっかり騙されました。
    二本立ての映画を観た感じ。

    多島作品は初めて。ほかも読んでみたいな。でもこの作品が最後なんですね。失踪されてるって知って、また驚きました。

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    2023年04月23日
  • 黒百合

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    ネタバレ

    昭和27年、戦争が終わりサンフランシスコ平和条約が結ばれた年の夏。「私」こと寺元進は14歳の夏休みを父の友人である浅木氏の別荘がある六甲で送ることになる。そこで出会った浅木氏の息子・一彦と地元の事業家の娘・香との交流、中学生の男女の淡い恋模様の始まり。

    文芸+ミステリということでイニシエーションラブのようにミステリであることを作品内で示さない作品ですね。
    <六甲の女王>を相田真千子に<車掌>を日登美の夫に誤認させるようなプロット。正直、六甲の女王についてはミスリードの為にだけ存在する人物であまり好みではない手法だが本作は示された人物内で犯人を推理するような形式でもないので許容範囲。両者が別人

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    2023年02月13日
  • 症例A

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    ながっ

    医学系は大好き分野だからかもだけど
    最後まで、とても面白く読ませていただきました

    今までちょっと難しい分野も読んできたこともあるけど
    多島さんの作品が一番分かりやすかった
    あんまり勉強してきてない私でもすべて理解して読めました

    精神科医の榊と、博物館の学芸部員瑤子と、舞台が二つにわかれており
    ほぼ交互に進行していき読みやすかった
    もちろん、最後のネタばらしはしないけど
    博物館の過去の秘密のところはフィクションとはわかっていてもすごく壮大でロマンチックだと思った

    榊先生の、もっと下品な(?)男子チックなところがもうちょっと見たかった(笑)

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    2022年10月19日
  • 症例A

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    ネタバレ

    由起の多重人格の描き方が手に汗握るものがあった
    本当の精神病院の一幕を切り取ったような、そんなリアルさのある小説だった
    そして、それは膨大な参考文献によるものなのだと巻末の参考資料を見てわかった
    都博の美術品が果たして贋作なのか、亜佐美は治るのか、気になるところはあるが、読後の満足感のある作品だった

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    2022年09月04日
  • 黒百合

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    信頼できる読書家さんの感想を以前に読み、またある時行きつけの書店でもずらりと棚に並べられた推し作品になっていたこともあり、ずっと読みたかった一冊。
    いや、みごとに騙されました。途中で見抜けたと思いこみいい気になって読んでいたら、最後まさかの事実関係の語りから真相の絵がすべて鮮やかに浮かび上がった時には「うわぁ」と声を上げてしまった。幾重にも広がる人間関係が持った接点でこんなことができるとは。登場する女性達それぞれに意味深な雰囲気があること、語りの3人がそれぞれうまく役割を果たしていること-戦後の14才の夏を振り返ってその時の心情のママのように語る男性、WWII直前のベルリン出張中のビジネスマン

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    2021年02月10日
  • 症例A

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    タイトルと裏のあらすじから『精神科医』がテーマの物語とだけ認識し読み始めた。途中で『多重人格』の言葉が出てきて“これはもしかして、一時流行ったビリーミリガン的なものか??”と思ったが、そこまでの細かい精神科の描写や一向に猟奇的な方向に進まない(進むことは望んでいないが)状況に良い意味で裏切られた感じがした。
    精神分裂病(現・統合失調症)と他の症例との類似点や違いについてもしっかり説明されており、医学知識の乏しい私のような読者も読んでいる間は俄か専門家になれているような気がした。
    終わり方はなんとなくフェードアウトしたような物足りなさもあるが、完治の無い病気がテーマだからこそ人生が続く限り終わら

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    2018年11月11日
  • 症例A

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    中学生時代、初めてこの本を読んで、衝撃を受けたことを覚えています。
    10年以上たった今では、この手のストーリーは少なからずあり、もしかすると今読むと物足りなく感じるのかも。
    ただ、この本が私の人生に絶大な影響を与えたことは間違いなく、現在私は精神科医として働いています。
    自分にとって大切な本です。

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    2022年03月05日
  • 症例A

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    ネタバレ

    境界性人格障害者を巻き込んだミステリなら、ダニエル・キイス「預言」より、こっちの方ががよくできていると思う。

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    2018年12月13日
  • 黒百合

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    多島斗志之の長篇ミステリ作品『黒百合(英題:a Black Lily)』を読みました。
    多島斗志之の作品を読むのは初めてですね。

    -----story-------------
    「六甲山に小さな別荘があるんだ。きみと同い年のひとり息子がいるので、きっといい遊び相手になる。一彦という名前だ」
    父の古い友人である浅木さんに招かれた私は、別荘に到着した翌日、一彦とともに向かったヒョウタン池でひとりの少女に出会う。
    夏休みの宿題、ハイキング、次第に育まれる淡い恋、そして死。
    1952年夏、六甲の避暑地でかけがえのない時間を過ごす少年たちを瑞々しい筆致で描き、文芸とミステリの融合を果たした傑作長編。才

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    2025年08月10日
  • 黒百合

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    今回はとりわけ自分の勘の鈍さが浮き彫りになったと感じてます。昭和何年と西暦がよく分からないので時系列の困惑が最初にありました。それが解決した後においてもこのトリックに気づくのにラグが生じていたと思います。
    単純に3人の恋模様だけでは終わらない複雑さと我々のちょっとした先入観を利用したミステリーは他には味わえない深みがありました。

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    2025年06月13日
  • 症例A

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    ある精神科医が、新しく勤めることになった病院で
    受け持った1人の少女。
    高校生の彼女を診断していくうちに、
    主人公はある症例と対峙することになる…といった
    ストーリー。

    途中で明かされるが
    多重人格ものである。
    姉が人格の1人だというタネはすぐ分かるが、
    この物語の凄いところは、リアルさ。

    膨大な資料から生み出された圧倒的リアルさ。
    サイコものにありがちな、作り物っぽいおどろおどろしさではなく、実際の治療現場をそのまま見ているような錯覚を覚える。

    心理学や精神医療に興味があればあるほど
    楽しめる作品。

    ホントの意味でのリアルなサイコホラーに、
    美術品の闇取引というもう一つのストーリーが

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    2025年04月14日
  • 黒百合

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     最初は少年少女の淡い恋愛模様と随所に挟まれる過去のパートの繋がりが分からず「読み物として面白いけどどこがミステリーなんだろう?」と訝しげに読みつつ、最後にようやく「あ、これは紛れもないミステリーだ。」という風に驚かされた。思った以上に複雑だったのでまた再読したい。

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    2025年03月23日
  • 海賊モア船長の憂鬱 下

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    海賊ミステリ。もとい、海洋冒険小説。
    ミステリ要素は一蹴されてしまったが、それでも緻密な命懸けの頭脳戦と駆け引き、機転の利かしかたには満足。ただ、もっとモア船長やクルーたちの活躍を見たかった。更には言えば長官も(笑)

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    2024年06月23日
  • 海賊モア船長の憂鬱 上

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    海賊ミステリ。クセのある渾名持ちのクルーや、長官の含みある行動に興味が止まらず、ワクワクさせてくれる。また、モア船長の何とも不思議で優しさすら感じる言い回しにも魅力がある。まだ、物語は大きく動かない。しかし下巻に期待できる作りの上巻だ。

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    2024年06月22日
  • 黒百合

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    ネタバレ

    これはミステリなの?
    昭和初期とか戦後とかの少年少女の話は実はちょっと苦手なのだが、これは意外とその苦手感は感じずに読めた。が、一体なんなのか?
    ずっと疑問符。

    しかし、読後、ミステリでした。
    即読み直し。

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    2023年11月19日
  • 海賊モア船長の憂鬱 上

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    「つまり、こういうことか?海賊ごときは小悪であり、それゆえ懲らしめを受けるが、
    しかし巨悪には誰も手出しはできない」p299

    ××××
    海賊というワードに惹かれ、読み始めたら止まりませんでした。
    海賊、海洋冒険、ミステリー、頭脳戦…。
    これらのキーワードが気になった人にオススメします。


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    2023年08月15日
  • 黒百合

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    ネタバレ

    以前、『綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー』で綾辻行人さんが「多島さんが書いたド本格の長編を一度、読んでみたいですね」と発言していたのを読んだことがある。有栖川有栖さんとの対談での発言だったが、この作品こそ「多島流ド本格」と言えるものではないかと思う。

    というのも、物語そのものは文芸ながら「謎の提示→真相の提示→種明かし」というミステリのフォーマットに則って書かれているからだ。ある理由からどの部分も非常にわかりにくく、わたしも初読では理解できなかったが、真相に関わる部分を再読して理解した。

    トリックそのものや終盤の展開には気になる点もあるが、ミステリとして読んでも文芸として読んでも

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    2023年05月21日
  • 黒百合

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    多島斗志之さんのミステリー『黒百合』
    難しかったーッ(^^;;
    『ラスト五ページの衝撃』?!
    私の場合、わからない事が衝撃だったーッ(笑)
    難しいよ、と聞いていた
    伏線がわからない人はそのままの小説だと思うだろう、と聞いていた
    時代が前後して時系列がわかりにくいので、負けてなるものか!とメモをとりながら読んだのだが。。。

    誰が宝急電鉄の車掌だった?
    ここが一番のポイントだよねー!
    どうしてみんな足を引きずっている?

    わからなくてネタバレを検索した
    人物相関図も見た
    だがいまいちピンと来ない
    ミスリードが多い
    ダミーもいる
    タイトルの意味はわかった
    再読すれば違うはず
    わかっていて読むとまた

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    2023年04月22日
  • 感傷コンパス

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    ネタバレ

    はじめは、新卒の明子が赴任した分校がある、昭和の田舎の村の生活が淡々と描かれる。
    早く家を出たかった明子は、自分がいなくなり、後妻の義母や義兄弟たちは、清々するのではないかと考えるが、思いがけず父は伊賀の山奥へ赴任する明子にコンパスをプレゼントしてくれた。ずっとそっけない態度だった父が私のことを気にかけてくれていたのか、と意外に感じる。
    明子は同僚の千津世先生と分校長と3人で1年から6年までの生徒を担当する。千津世先生は1〜3年生、明子が4〜5年生、分校長が6年生の担任になる。千津世先生は暗い顔でため息ばかり、何かワケがありそうに思う。
    4〜5年生はしっかりしていて、慣れない明子を助けてくれる

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    2023年03月04日
  • 症例A

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    約7年の構想を経て書き上げたという作品なだけあり 現場を知る者にとっては臨場感がある
    精神とは何か 正常とは何か
    後半の回顧録の部分は少し理解に苦労したが 綿密に組み込まれた展開だった
    後日譚も読みたかった
    著者が行方不明になって随分経つ 記憶がなくなっていたとしても どこかで無事に生きていることを願うばかり

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    2023年05月29日