多島斗志之のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
とても精神科について専門的な内容まで詳しく書かれており読み応えがあって面白かった。
精神科医のとても細かな洞察が丁寧に描かれていて、実際に自分もこのように相手を探ることができたらもうすこし円滑にコミュニケーションが取れるのではないかとさえ思った。過去や常識など、様々葛藤しながらも懸命に患者と向き合う主人公の姿勢が心地よい。
一方で金工のくだりが途中途中はさまれていて精神科医と交互に物語が進んで行ったが、「最後どのようにこの伏線を回収するんだろう」と楽しみにしていたもののそこまでどんでん返し的なものではなく意外にあっさりしていた。別に伏線回収を楽しみしてたわけではないが少々残念であった。
精神分 -
Posted by ブクログ
割と話が長かったり、えらく説明っぽい記述で攻めてくるところもあるけど、概ねグイグイ読ませる。
しかし精神病ってのはどうにも定義があいまいというか、見かけじゃ分かんないし、やらせなのか本当なのかも分かんないし、なんだってこんな難しいものなんか。全部性格ってことで片付けちゃえば良いのに、ってわけにもいかんのかなぁ。だって本当にいろんな人いるし。女の人ってこんな感じで押せば引くというか、引けば攻め込まれるというか、大概面倒くさいじゃん。。ってこれを言うのはナシか。まぁ男も違う意味で面倒なのはいっぱいいるしね。
でも限度ってのがあってそれを超えると、性格とか言ってられないんだろうな。そういう人と真剣に -
Posted by ブクログ
ネタバレ〇 概要
時代は昭和27年。六甲の山中にある,父の旧友の別荘に招かれた14歳の少年が主人公。少年は,その家で同い年の一彦とともに,池のほとりで不思議な少女,香と出会う。夏休みの宿題のスケッチ,ハイキング,淡い恋,身近な人の謎めいた死―少年二人と少女の姿を瑞々しい筆致で描き,文芸とミステリの融合を果たした作品
〇 総合評価
非常に評価が高い作品。個人的な感想としては,ミステリとしての完成度より,小説としての完成度が高い作品だと感じた。ミステリとしての驚きは,相田真千子が日登美と付き合っていた車掌だという部分に集約される。ミステリを読みなれているので「車掌が男性とは限らない」といううがった見 -
Posted by ブクログ
インドには行ったことがないし、船酔いするから船も苦手だし、全く馴染みのない時代の話だし、好きな作者なので手にしてみたものの、しばらく積ん読してたのですが、読み始めたら面白くて、上・下巻一気に読んでしまいました。
モア船長は仲間から絶対的に尊重されているのかと思いきや、反抗されたり、投票で解任されそうになったりして、かえって人間くさくてよかった。
それにしてもイギリスとオランダが同盟国だったとかインド洋でオランダがブイブイいわせてたとか、全然知らなかったよ。
オランダは鎖国時代の日本と唯一国交のあった国なのに今では関係が薄くなってしまったのはなんでかな、とか英仏蘭が世界の中心になれなかったのは