あらすじ
第二次大戦末期にフランスからドイツへ脱出する列車で出会った日本人少年と少女の淡い恋心を描いた表題作、主婦の足下に忍び寄る謎の女を追う「マリア観音」、清水の次郎長の三人目の妻、お蝶が男女のもつれから死に至るまでを描いた「お蝶ごろし」など、魅力の五篇を収録。予想を快く裏切る、情感豊かな作品を厳選した傑作短篇集。「マリア観音」「預け物」「追憶列車」「虜囚の寺」「お蝶ごろし」収録。
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Posted by ブクログ
100円コーナーでゲットした、軽く読める短編集。
多島氏の創作の傾向がなんとなく窺い知れる。
「追憶列車」切なさ瑞々しさと、ミステリ的反転、叙情に富む幕切れ。傑作「黒由合」の原型を見た。
Posted by ブクログ
2014/8/17
症例Aを読んでよかったので、短編集も読んでみた。
意外といろんなタイプの話があり、どれも読みやすかった。オチもすっきりとしていた。お蝶ごろしは特によかった。
Posted by ブクログ
5つの短編は時代や設定は様々だが,
共通点は人の情念にスポットを当てていることである。
やはり,著者の心理描写は秀逸である。短編の完成度は高い。
また,ミステリー要素も含まれており,その点も楽しめる。
個人的には「お蝶ごろし」が良かった。
Posted by ブクログ
多島斗志之の短編集。以前に読んだ本もレポートを脚本化したような話だったので、ミステリではないだろうと思ってはいたが、結構多彩なのね。
最初の2作は、現代もので、うち1作はブラックユーモアっぽく軽くて読みやすい。表題作を含む後半2作は時代物というか、そういう背景での文学。
日本人の幼妻を貰った、裏切り者でドイツには入国できないのユダヤ人を眺める日本人からの視点や、幕末の斬り斬られる時代における、復讐で追われている者を逃したい視点など、それぞれの葛藤をうまく描いている。
ただまあ、読みづらいんよね。特に幕末。敵味方が解りづらいというのは、侍ものの宿命なので仕方のないところで、そこをそれなりに読みやすくはかかれている。結局は、個人的に苦手というだけのことなのだが。