片野ゆかのレビュー一覧
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動物園版<プロジェクトX>、<仕事の流儀>といった雰囲気(おそらく意識している)のノンフィクション。四つの動物園における、4動物(ペンギン、チンパンジー、アフリカハゲコウ、麒麟)と奮闘する飼育員達の奮闘記といったところ。最近、動物園が面白いなぁと思っていたら、動物園の裏側でこのようなことが進展しているとは。動物園でも動物たちができるだけ本来の姿で生き生きと生活できるように飼育員の人たちが手探るで奮闘している姿が垣間見られます。動物園における環境エンリッチメントと言うらしい。行ったことのある京都市岡崎動物園にもう一度行ってみたくなったし、機会があれば埼玉の緑のペンギン島も一度訪れてみたい。
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動物ものってどうも苦手だ。安易な擬人化がされていたり、予定調和的に感動方面に持って行ったり、勘弁してよ~っていうのが多いように思う。しかし、これはそういうものではなかった。動物園の飼育員に密着した、まさに「リアルストーリー」で、面白さに一気読み。
動物園って矛盾や葛藤に満ちた存在だ。飼育員さんが、少しでもその動物本来の生息環境に近づけ、動物のストレスを減らしたいと願うのも自然な成り行きだろう。現実には公立・民間問わず、予算をはじめとする制約は大きい。その中で奮闘する四例がとりあげられている。きれいごとで終わらず、厳しい現実がきっちり書き込まれているところが良かった。これは片野ゆかさんの著作に -
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こんなかわいらしい表紙だけれども、内容はかなりハードなものだった。ショックだった。ただ可愛いから、流行っているからと、生き物を衝動買いする人間がいて、いらなくなった、面倒くさくなった、引っ越す、ペットが年を取った、かわいくなくなったからと簡単に捨てる鬼畜がいる。可愛そうだから避妊をしない。でも、生まれてきた新しいたくさんの命の面倒は見られないから、引き取って(代わりに殺して)っていう飼い主や動物愛護の人たち。かわいそうの基準は一体なんだろう。猫の子殺しでは、某女性の作家もたたかれたことあったね。かわいそうだから避妊しないけど、子猫は生まれてきたその場で殺すってしゃーしゃーと書いて。私もいずれ犬
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犬を処分する壮絶な仕事に疑問を持った保健所職員が殺される動物を減らすために改革をはじめる。殺処分ゼロを達成した熊本市動物愛護センターの奮闘。
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今では多くの自治体が犬猫の殺処分ゼロを目指した方向にシフトしていますが、その流れが起きたのはここ10年ほどにすぎません。熊本市の保健所では2000年ごろから方針が徐々に変わっていきます。それは殺処分ゼロを目指した保健所の走りといえるかと思います。
こうした動きというのは、他の地域では市民団体などが行政に働きかけることから始まるのが普通かと思いますが、熊本では内部の職員(公務員)から始まったというのはけっこう特筆すべき -
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ネタバレダ・ヴィンチで紹介されていたのをきっかけに。
競走馬のうち、引退後も種牡馬などとして競馬業界に残れるのは僅かで、多くは「行方不明」になっているという現状があった。このことは国際的にも問題となっており、近年、引退競走馬が活躍できるセカンドキャリアを整備していこうという活動が拡大してきている。確かに、最近はJRAのCMなどでも、競馬以外の色々な馬事文化を紹介しているのを見かける。
セカンドキャリアとして色々な道があり得るのだろうが、本書ではセラピーホースに重点を置いて紹介されている。支援が必要な子供などに、馬との触れ合いの機会を提供する事業。犬や猫などとは違う、馬ならではの効果があるという。
馬の -
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著者片野さんが、着物を着始めてから浮かぶ、さまざまな疑問を専門家の方に伺ってひとつひとつ解決していくエッセイ。
なぜ着物を着ると老ける?着物警察を撃退するには?無料着付け教室の謎•••など、着物初心者が思ういろんな謎を解き明かしていく。
かと言って初心者用かと思えばそうでもなく、なるほどー!と思うこともたくさんあった。
そして着物の奥深さについても、改めて勉強になった。教わった一辺倒の着付けを卒業し、楽しめるところまで進めたら楽しいだろうなーと思う。
犬の散歩に着物ででかけるという片野さん。
そんな風に普通に着物を着ることができる人が増えたらいいと思う。
難しいとか敷居が高いと思わせてしまっ -
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『優駿』に毎号紹介されており、気になったので読んでみました
映画『今日もどこかで馬は生まれる』が問題提起メインの作品とすれば、本書は問題解決の糸口になる活動の紹介が中心です
今年から競馬を見始めた者なので引退競走馬事業のことは多少知っていましたが、本書が執筆、刊行された当時はまだまだメジャーでは(もちろん今も大多数の人は知らないでしょうが)なかったんだろうなと感じました
著者が取材した活動内容がわかりやすく書かれていて読みやすい反面、文体が平易すぎて大学生の課題レポートのような印象を受けるのが残念かも
競馬に楽しみを与えてもらった者として、これからは少しでも引退競走馬の力になることができれば -
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こんな人がいたのかと驚きながら読み進めた。自宅の庭で犬はもとより、キツネ、オオカミ、ジャッカル、ハイエナなどの動物とともに暮らし、深い愛情を持ってその生態を観察し、研究を続けるとともに、雑誌『動物文学』を立ち上げ、日本に真の意味での動物文学をつくろうと努力を続けた人物。晩年には「犬奇人」と呼ばれていたそうだが、犬の愛好家と言う人は結構いるとしても、普通の常識では考えられないという意味で、「奇人」という言葉に相応しい人だったのだろうと思う。
今でこそ犬の寿命は延びて10年以上生きるのは普通になっているが、平岩米吉の愛犬の多くは数年で亡くなってしまっていた。その大きな原因の一つが、蚊を媒介と -
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競走馬を引退したサラブレッドたちのその後をサポートする様々な取り組みについて、丁寧な取材で描き出していて、良い本だったと思う。
引退後、種牡馬になれるのは5%以下、繁殖牝馬は3割程度と推測されるが、それ以外の馬は行き先不明とされている。引退した競争馬について語ることはタブー視されていると本書で何度か書かれているが、そのタブーの中身は正面切っては描かれていない。少しだけ書かれているか、現在それに関わる人々もいて、大っぴらにはしにくい様子が伝わってくる。競走馬は経済動物なので、まあ察してください、ということか。(個人的な興味はこっちだったので、もう少しページを割いてもらいたかったが。)
本書の