片野ゆかのレビュー一覧
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こんな人がいたのかと驚きながら読み進めた。自宅の庭で犬はもとより、キツネ、オオカミ、ジャッカル、ハイエナなどの動物とともに暮らし、深い愛情を持ってその生態を観察し、研究を続けるとともに、雑誌『動物文学』を立ち上げ、日本に真の意味での動物文学をつくろうと努力を続けた人物。晩年には「犬奇人」と呼ばれていたそうだが、犬の愛好家と言う人は結構いるとしても、普通の常識では考えられないという意味で、「奇人」という言葉に相応しい人だったのだろうと思う。
今でこそ犬の寿命は延びて10年以上生きるのは普通になっているが、平岩米吉の愛犬の多くは数年で亡くなってしまっていた。その大きな原因の一つが、蚊を媒介とする寄生虫フィラリアだった。多くの愛する犬を見送ることとなった米吉の悲しみ、それを詠んだ短歌が何首か収められている。どんなにか辛い別れだっただろう。
一匹くらいの犬ならともかく、何頭ものシェパードに加え馴染みのないオオカミやジャッカルの世話をするのは大変だったろうし、家のドアは傷だらけ、襖、障子は破れ放題という生活に耐えたというのはスゴイこと。もちろん本書の主人公は米吉であるが、その研究を支えた妻、そして長女の献身振りもしっかりと描かれている。
現代では、ペットは家族の一員として大事にされるようになってきた。それもこのような先人の努力があったこそなのかと、本当に頭が下がる思いがした。庭で遊ぶ愛犬たちと米吉ら家族の写った写真や、懐いているオオカミやハイエナと一緒のところ、愛犬との散歩風景などは微笑ましいが、最も愛した愛犬の死に顔のスケッチ、見ていて切なくなる。 -
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競走馬を引退したサラブレッドたちのその後をサポートする様々な取り組みについて、丁寧な取材で描き出していて、良い本だったと思う。
引退後、種牡馬になれるのは5%以下、繁殖牝馬は3割程度と推測されるが、それ以外の馬は行き先不明とされている。引退した競争馬について語ることはタブー視されていると本書で何度か書かれているが、そのタブーの中身は正面切っては描かれていない。少しだけ書かれているか、現在それに関わる人々もいて、大っぴらにはしにくい様子が伝わってくる。競走馬は経済動物なので、まあ察してください、ということか。(個人的な興味はこっちだったので、もう少しページを割いてもらいたかったが。)
本書のメインは、引退馬のセカンドキャリアとして、一般的な乗馬馬になるためのリトレーニングの様子や、ホースセラピーやマッシュルーム栽培の堆肥づくりなど、新しい取り組みを紹介するパート。馬に関わる人々の馬愛が伝わってくる。
ただ、毎年6,000頭の競走馬が引退している状況で、本書で紹介される取り組みがもっと広がったとしても、それだけのキャパが出来るとは到底思えない。ただ、現状を少しずつでも変えようとする関係者の努力には、それなりの意義があるのではなかろうか。 -
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「環境エンリッチメント」をテーマに、飼育員の話を4つ収録。流れとしては、ある飼育員が新しい動物の担当になり、どうすれば動物がより快適に過ごせるかと、試行錯誤してそれなりの成果を出す、というもの。動物園中で行われたプロジェクトX的な。
現代の動物園はいかに自然環境に近づけた飼育を行うかということを頑張っている。この本に登場するところはどこも工夫しているのだけれど、中でも山口県の秋吉台自然動物公園サファリランドではアフリカハゲコウのフリーフライトを行っていて感心した。家畜ではない鳥を自由に飛ばして大丈夫なのかと。そしたら2回もロストしていた。良く続けているものだとあらためて感心。 -
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地方公共団体の職員が行う業務は、法令で定められている。
動物行政施設の職員も、法令に従い動物の処分を実行していた。
しかし、「とにかく動物を殺すのが、嫌でしかたがなかった」職員たちは、定められた法令の中で、動物たちを活かすために自分たちができることを最大限行うよう努力をした。
そして、やはり動物行政のあり方に問題があると感じていた、まわりの人間をどんどん巻き込んでいって、みんなを本気にさせた。
殺処分を実行する場所だった熊本市動物管理センターは、現在、熊本市動物愛護センターとして、熊本市動物愛護推進協議会とともに殺処分ゼロを目標に、活動している。
その2000年から2010年の記録。
本書は動物愛護活動の記録として、充分に参考になるし、動物たちのために闘った職員、そしてその周りで巻き込まれ渦を作っていった人々たちの活動には敬意を表したい。
また、現在なお劣悪な環境におかれている動物たちのために戦っている多くの人たちに勇気をあたえ、ひとつの指針となる本だとおもう。
また、あわせて、本書は決められた枠があるから、その枠の範囲内でしか活動できない。と諦めるのではなく、枠があるならその枠の中いっぱい全部埋め尽くすよう努力したか? 枠を押し広げるよう努力しているか?なんなら、枠を作り変えちゃっても良いんだと問いかける。
できることをする。と、考える時に、人が決めた制限ありきで動くのではなく、と。 -
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犬と出会う場所はペットショップだけではない。
新しい選択肢として、保護犬を引き取るという方法が今増えてきている。
いつかまた犬を迎える時はそういう子を、と思っていたので手に取った本。
行政施設から譲渡してもらう場合、動物愛護団体から譲渡してもらう場合など具体的なことがたくさん書かれてある。
どちらにも共通しているのは、一度辛い経験をしてきた子、だからこそ二度とこんな目には合わせない、そういう強い思いをもって譲られることだ。
だから、誰でも飼い主になれるわけではない。
でも、だからこそ、たくさん考えるし、家族での話し合いも必要になる。
大事な大事な命。
そういうストッパーは絶対に必要だと思った。