あらすじ
飼い主に見捨てられ、行き場をなくした犬や猫が、保健所で悲惨な死をむかえる―。ペットブームにひそむ現状を「しかたがない」で終わらせず、「殺処分ゼロ」を目標に立ち上がった熊本市動物愛護センター。無責任な飼い主に対する職員たちの奮闘が始まった。決して夢物語ではないことを十年がかりで証明した、彼ら独自の取り組みとは? “闘う公務員”たちを追う、リアルストーリー。電子版には「熊本市動物愛護センター日々の風景」として写真を追加収録。
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書籍の評価と事象への評価と
熊本市の取組については、本当に素晴らしいことだなと思いました。愛護センターの職員さん、獣医師会の先生方、愛護団体の皆さん、良心あるペットショップ経営者さん、保護動物の新しい飼い主さん、市民ボランティアさん、ボランティアとかですらない、市民の皆さん。
生き物が相手ですから、一人一人が出来ることを全てやっても、諦めざるを得ない命はあるかもしれません。でも、結果的に落としたり奪ったりしてしまう命に対しても、最後まで向き合って努力する姿勢が大切だと改めて思います。
自分も犬が好きで、家庭の状況をみて飼いたい思いはあるので、その時にはペットショップではなく、保護犬を譲渡して頂くよう行動したいと思います。
書籍としては、ノンフィクションで色んな立場からのトピックを取り上げているため仕方無いのだと思いますが、ちょっと細切れな印象でした。
Posted by ブクログ
「北里大学獣医学部 犬部!」の
片野ゆかさんが素敵な一冊を届けてくれました。
「死」と隣り合わせにる
「犬」と「猫」の「命」を助けるために
奮闘されておられる人たちのドキュメンタリー
動物の殺処分をゼロにすることなど、
絶対に不可能だ。
その不可能を可能にした人たちのドキュメンタリー
その智慧の寄せ集め方
その人たちの結び方、
それも敵対関係にある
人たちの結びつき方が
とてつもなく素晴らしい。
Posted by ブクログ
しかし、この本を読むと、無責任な飼い主のなんと多いことか。
センターの職員や関係者の皆さんの御尽力には、本当に頭が下がります。
ウチのワンにも、もっと優しくしてやらねば。
Posted by ブクログ
殺処分0に向けて本気で取り組んだ熊本の動物愛護センターのドキュメント。
無責任に飼い主に手放されてしまった動物たちを一匹でも救いたいっていう職員やサポーターたちの本気が伝わる作品だった。
勿論、病気だったりでどうしても殺処分しなければならないケースもあるでしょうけれど、ただ世話ができなくなっただの、闘犬としては弱いからだの、本当に身勝手な理由で手放していく人間に憤りを覚えました。
新しく家族を迎え入れる全ての人に読んでもらいたい一冊です。
Posted by ブクログ
動物保護の現状について詳しく知りたいと考え、この本を手に取った。なぜなら地元で30年間動物保護ボランティアをしている女性に話を聞いたから。
★動物の引き取りを依頼する身勝手な飼い主の言い訳一覧
・歳をとって番犬として使えなくなった・かわいくなくなった
・吠える・噛む
・経済的に厳しくなった
・引っ越しで飼えなくなった
・世話が面倒臭い
・最期を看取るのが辛い etc..
★思いついた対策
・犬税。将来的には安易に動物飼育をする人は減るだろうが、現状捨て犬の増加が懸念される。
・マイナンバー制度とマイクロチップを連携させ、飼育歴に基づき動物倫理の有無を可視化する。経済状況、転居の可能性、動物倫理の有無を検討し、基準を満たしていれば飼育が可能になる。
・アニマルポリス
★概要
・現場の大変さとやりがい
・動物管理センターから動物愛護センターへ名称変更
・去勢不妊手術、迷子札
・闇のペットビジネス(ペットショップ、ブリーダー)
・保健所=殺処分イメージを払拭
・居住空間の衛生面向上
・殺処分の苦しみ軽減(ガス→注射)
・獣医師の矛盾、命を救うのではなく殺さねばならない仕事
・メディアの活用(写真、収容時期・場所、性格、特徴)
・安易な引き取りはしない
・安易な譲渡をしない
・動物を飼う事の責任や知識の周知徹底
・譲渡会の実施
・業界内の情報共有と連携、相互理解
(行政、動物愛護団体、ペットショップ、トリマー)
・野良猫問題
Posted by ブクログ
こんなかわいらしい表紙だけれども、内容はかなりハードなものだった。ショックだった。ただ可愛いから、流行っているからと、生き物を衝動買いする人間がいて、いらなくなった、面倒くさくなった、引っ越す、ペットが年を取った、かわいくなくなったからと簡単に捨てる鬼畜がいる。可愛そうだから避妊をしない。でも、生まれてきた新しいたくさんの命の面倒は見られないから、引き取って(代わりに殺して)っていう飼い主や動物愛護の人たち。かわいそうの基準は一体なんだろう。猫の子殺しでは、某女性の作家もたたかれたことあったね。かわいそうだから避妊しないけど、子猫は生まれてきたその場で殺すってしゃーしゃーと書いて。私もいずれ犬がほしいな、って思ってるけど、15年も生きる動物。Tierheim(動物保護センター)で貰い受けよう。この本に書かれていた状況よりもうちのまちの動物保護センターはずっと頭数は少なかったけど、大きな犬達は目がどよんとしていた。希望がないような顔だった。愛玩犬あるいはペットという存在を作るのならば、人間には大変な責任が生まれることになるのを絶対に忘れてはいけない。こちらのTierheimでもやっぱり老齢犬の貰い手をよく探している。施設ではみんなの面倒をみるのにも限りがあるからと、医療費がかかるからのようだ。
Posted by ブクログ
犬を処分する壮絶な仕事に疑問を持った保健所職員が殺される動物を減らすために改革をはじめる。殺処分ゼロを達成した熊本市動物愛護センターの奮闘。
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今では多くの自治体が犬猫の殺処分ゼロを目指した方向にシフトしていますが、その流れが起きたのはここ10年ほどにすぎません。熊本市の保健所では2000年ごろから方針が徐々に変わっていきます。それは殺処分ゼロを目指した保健所の走りといえるかと思います。
こうした動きというのは、他の地域では市民団体などが行政に働きかけることから始まるのが普通かと思いますが、熊本では内部の職員(公務員)から始まったというのはけっこう特筆すべきことではないかと思いました。大抵の公務員は現状維持を続けることが固定されたメンタリティのように感じます。その中で変革を起こしていこう、というのは大きなエネルギーが必要でしょう。しかも動物行政というはじっこの仕事では役所の中の注目度も低いでしょうから、成果を出して社会から注目され、ようやく役場内部から評価されるまでの道のりは長かったし、大変だったのではないかと想像しました。
この本ではその経緯を掘り起こしてまとめたものですが、内部の職員たちの心象が丁寧に語られていて、よく取材されたということがわかります。序盤のドリームボックスに犬を追い込む時の心情や、犬を持ち込む理不尽な飼い主への怒りなど、(今でも)本当にやるせない仕事なのだろうな、と思いますし、そこを支える人々にも尊敬の念を禁じえません。殺処分自体がなくなったわけではないですし、TNRを含む保護動物への活動はどこまでも人間の都合に沿ったものに過ぎません。いつか犬や猫たちの本当の意味での幸せと人間の暮らしが折り合う日は来るのでしょうか。
作者の片野さんは北里大学の犬部のドキュメントなども書いている、気鋭のライターですので、他にも色々読んでみようと思いました。
Posted by ブクログ
地方公共団体の職員が行う業務は、法令で定められている。
動物行政施設の職員も、法令に従い動物の処分を実行していた。
しかし、「とにかく動物を殺すのが、嫌でしかたがなかった」職員たちは、定められた法令の中で、動物たちを活かすために自分たちができることを最大限行うよう努力をした。
そして、やはり動物行政のあり方に問題があると感じていた、まわりの人間をどんどん巻き込んでいって、みんなを本気にさせた。
殺処分を実行する場所だった熊本市動物管理センターは、現在、熊本市動物愛護センターとして、熊本市動物愛護推進協議会とともに殺処分ゼロを目標に、活動している。
その2000年から2010年の記録。
本書は動物愛護活動の記録として、充分に参考になるし、動物たちのために闘った職員、そしてその周りで巻き込まれ渦を作っていった人々たちの活動には敬意を表したい。
また、現在なお劣悪な環境におかれている動物たちのために戦っている多くの人たちに勇気をあたえ、ひとつの指針となる本だとおもう。
また、あわせて、本書は決められた枠があるから、その枠の範囲内でしか活動できない。と諦めるのではなく、枠があるならその枠の中いっぱい全部埋め尽くすよう努力したか? 枠を押し広げるよう努力しているか?なんなら、枠を作り変えちゃっても良いんだと問いかける。
できることをする。と、考える時に、人が決めた制限ありきで動くのではなく、と。