とっつきにくいところもありますが、好きな作品。ほぼ一気読み♪
ある事件がきっかけで、自分の住む団地の外へ出られなくなってしまった少年が,いっそ死ぬまで団地の中で生きる、と決意したところから始まる風変わりな物語は、他に類を見ないタイプの異色作、と言ってもいいような内容。
当時の団地というのは1つの町
...続きを読むを形成していて、スケールは小さいけれど、生活に必要なこと、必要なものは全て団地内でまかなうことが可能となっている。今で言うなら引きこもりに等しいだろうが、主人公の少年は明るい。破綻しているようでいて、自分にもこれからの人生にも常に前向きで、それでいてやっぱり、色んな経験やきっかけが起こる度に団地の外へと出ようとするが、出来ない。
どんなに出ようとしても、身体が拒否してしまう。
時代設定はけっこう昭和に近いけれども、まさに現代社会や現代の問題を色濃く反映している。
好きな点は、設定が突飛に感じられはしても、描写はリアルなところ♪
少年ならではというか、主人公は発想が突拍子もないw しかしそれをどんどん実行に移していくバイタリティに、その着眼や行動力に、読んでいて羨望しつつ惹き込まれていく。
子供っていうのは経験値が圧倒的に足りないからか、大人では到底思いつかないような考えや理屈で行動することがままある、というのは自分も経験上なんとなく分かるので、ナルホドと気付かされます。
何より、あんなにもムチャクチャな鍛え方をして筋肉隆々のマッチョマンになったクセに、やっぱりいざケンカになると弱い、というのが実にリアルで、痛々しくてイイ♪ どんなに体を鍛えていようと、腕力だけではケンカには勝てないのは当然ですが、それを無視して主人公が意味もなくやたら強すぎる、という漫画や小説はけっこう数多い。ぃゃ多すぎるかもw
そんな意味でも好感が持てました。思春期の少年がどんなことを考え、どんな行動をとるのか、といった視線でも読めるので、女性読者にしてみれば新鮮かも知れないw
ラストはちょっと唐突な感じもしましたが、主人公像がちゃんと見えていたので自分の中ではアリです。