久保寺健彦のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
中学の入江一真は、不良の同級生に強制され、ヤクザのいる駄菓子屋で万引を命じられ、田口登に捕まる。やくざ者の田口は一真から事情を聞き、一真に命じたのは、本の朗読をすることだった。実は田口はディスレクシアで、文字の読み書きができない。しかし、幼少時から物語や小説が好きで、祖母から読み聞かせで一度聞くと、話を完全に覚えつぃ舞うほどだった。そして田口から一真へ提案される。「小説を書かないか?」
すごい。550ページで文字もさほど大きい文庫ではないが、一気に読んでしまった。導入から出会いまでの50ページは、言ってしまえばベタなんだが、そこだけで、この本は面白いぞという雰囲気を感じ、読みすすめるごとにそ -
Posted by ブクログ
☆4.5
ディスレクシアの不良青年と、受験失敗して余計に弱気になった少年の二人が、一緒に小説をつくりデビューを目指す青春小説。
青春のヴィヴィッドな瞬間と、青年が属する暴力的な世界がある。
こんなに熱と力のある作品はなかなか出会えない。
ただ口だけで作家になりたいと言っているだけではない二人。
はじめこそ強引さと戸惑いしかなかったはずだけど、すぐに同じ熱量を持つコンビになり、わかり合える相棒となった。
二人の研究の姿勢がとにかくすごい。
本当に作家になりたい人の小説家入門としても優秀だし、読みたい人のガイドブックとしても最高で、たくさん出てきた作品たちのことも読みたくなった。
二人が目指し -
Posted by ブクログ
ディスレクシアのヤンキーと中学受験に失敗した少年がコンビで小説家を目指すお話
公式のあらすじは以下の通り
-----------------------
「すげえの書いて、デビューしようぜ」
落ちこぼれヤンキーといじめられっ子中学生が、小説界に殴り込み! ?
小説家を目指すデコボココンビの奮闘を描く、渾身の青春長編小説。
小説家となった入江一真(かずま)のもとに、一枚の葉書が届く。とぎれとぎれの字で「インチキじゃなかったぜ」とだけ書かれたその手紙は、もう20年ほど会っていない「元相棒」から送られてきたものだった――。
1982年4月、中学2年だった一真は、万引きを強要された現場で、ヤンキ -
Posted by ブクログ
良作でした。
また素敵な本に出会ってしまった。
ディスレクシア(学習障害の1つ)の不良・登といじめにあってる中学生・一真が出会い小説家を目指す物語。
発端は登が店番をする駄菓子屋「たぐち」で一真がいじめで万引きをさせられたこと。妙な縁で始まった2人の関係が、ともに小説を創りあげる過程で変化し友情が育まれてゆく。
2人が小説を書くための研究の様子はなかなか興味深い。
小説を生みだすために注ぐ熱量、友情、家族、恋、ままならない現実。すべてに心を動かされ夢中で読みました。
全編を通しておばあちゃんの登への深い愛情をひしひしと感じる。
エピローグを読んでしんみり…。
展開も人と人との関わりも、登場 -
Posted by ブクログ
ネタバレある事情により団地から外に出られなくなった少年が、
ミクロな世界で日々を生き抜く姿を描いた青春小説。
…と書くと、どんより暗いネガティブな物語を想像しがちだが、
物語の語り口調はむしろ明るくポジティブに近い。
関わる人間も起こる出来事も全て団地内に限定されるため、
主人公を取り巻く世界は確実に狭いのだが、
そこでの様々な経験は、広い世界で日々をぼんやり
生きているよりも、よほど濃密である様に感じた。
主人公は「引きこもり」であるが「リア充」でもあるのだ。
(世間一般の「引きこもり」、「リア充」とは性質が異なっているが)
物語の後半、主人公が団地で培ってきた技術を使って、
男としての勝負に挑