久保寺健彦のレビュー一覧
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とっつきにくいところもありますが、好きな作品。ほぼ一気読み♪
ある事件がきっかけで、自分の住む団地の外へ出られなくなってしまった少年が,いっそ死ぬまで団地の中で生きる、と決意したところから始まる風変わりな物語は、他に類を見ないタイプの異色作、と言ってもいいような内容。
当時の団地というのは1つの町を形成していて、スケールは小さいけれど、生活に必要なこと、必要なものは全て団地内でまかなうことが可能となっている。今で言うなら引きこもりに等しいだろうが、主人公の少年は明るい。破綻しているようでいて、自分にもこれからの人生にも常に前向きで、それでいてやっぱり、色んな経験やきっかけが起こる度に団地の外 -
Posted by ブクログ
意外とヘビーな話でした。
傑作青春小説との触れ込みにちょっと騙されたかな。
生きることは簡単だと思っていたけど。
意外と難しいことだったのかもしれない。
両親の努力があったから。
自分が何一つ不自由なく今まで生きてこられた。
最初から与えられなかった少年は。
それでもまっすぐに生きてきた。
不幸だという人もいるかもしれないが。
それは本人が決めることなんだと思う。
他人から見れば恵まれた環境だったとしても。
本人にとっては不幸な場合は往々にして起こりうる。
今、自分がいる環境を精一杯生きることで。
何かが変わるのかもしれない。そう思えた。 -
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昨日今日と娘達と旅に出てまして。
移動のお供に持って行ったのですよ。
青春小説って書いてあるから軽く読めるかと思ったんだよねー。
そしたら結構ベビーモードでびっくりしちゃった。
記憶のある限りホームレスで(生まれた時からほとんどホームレスなんじゃないのか?)、お父さん亡くなったの6歳じゃない!
そのあとも子供が一人で(犬もいたけど)ホームレスでよく生きてこられたわよ!
そこは褒めてあげるわよ!
いや…生き延びたことは褒めるけど、そこは大人しく施設に入ろうよ…周りのホームレスの大人だって勧めてたじゃないか…
まぁ済んでしまったから仕方ないけども…
そのあともなかなかハードモードな人生ねぇ
最 -
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ネタバレ兄弟への就職活動アドバイスとして読んでみた
逆にアドバイスする側が主人公だけれど。
学生の学校に、恋愛に、友人関係に、部活に、と盛り沢山展開あるけれど
社会人だって仕事だけでなく友人や恋愛関係も当然あるんだよなぁ、と。
電子書籍、紙媒体との差別化として
その時主人公が聞いている音楽が流れる、とか設定とかできないのだろうか。。
自分もその時の気分で選曲するタイプなのでどんな音楽なのか気になった。
アイドルや女性営業の人も仕事上の好意の延長線上を勘違いされて大変だとは思うが
男性でもあり得るのか…。
人を相手にする職業は何をもって終わりとするのか不透明だけれど
主人公はこの先も変わらぬスタ -
Posted by ブクログ
(*01)
廃墟文学とも呼べるのかもしれない。人に住まわれなくなる建物は、廃墟化によりそこに潜在させているモノ性を現すこととなる。家や店が持続的には更新されえない(*02)ことは歴史を紡ぐことの困難を示し、この困難の代償として主人公らの警邏の意味をとらえうる。主人公は終盤に網羅的な団地史の困難に気付き、住人の数だけの個人史が集団し、編集される場所としての団地を悟る。
(*02)
後半には、団地という住むための機械の機能を継続させるために、既存ストックの活用として単身者や外国人労働者の受け入れを始められる。20世紀末からの日本という国、団地の集団の様な国の政策を反映してのことと思う。ゲーティッ -
Posted by ブクログ
ネタバレハロワの窓口で、様々な求職者と関わる中で生まれるいくつもの物語。求職者もいろいろな事情を抱えているけど、相談員も求職者の知らない様々な事情を抱えているということに気付かされる。ただ、就活する側の私の立場だと、どうしても求職者側に感情移入してしまった。特に、とても真面目にストイックに就活に取り組んでいるにも関わらず、ことごとく不採用になって病んでいく男性の求職者に対しては、心が締め付けられる思いを抱いた。
ただ、単純にハロワで働く側の人々の裏事情に興味がある人にとっては、沢田が求職者一人一人と向き合いながら日々奮闘する様子は楽しめる内容になっていると思った。