服部龍二のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
高坂の伝記。それ以上でもそれ以下でもない。高坂が好きな人にはこれで良いのかもしれないが、高坂が社会で果たした役割について少し詳しく知りたいと思って読んだ自分には物足りなかった。高坂の発言についても、またその発言の時代背景についても、記述は十分でない。彼がほぼ一貫して「現実主義」の立場であったこと、あるいは、国際政治を力だけでなく経済や価値の観点も含めて考えなければならないと考えていたことはわかる。ただ本書では、それを繰り返し述べるだけで、その時代時代の具体的な議論にはほぼ踏み込まない。それならば400頁近い紙幅は不要だったのではないか。高坂の人物評もほとんどが内輪のもので物足りない。
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Posted by ブクログ
中曽根康弘はもともと海軍の主計係だった
前線の物資調達にあたる任務で、命の危険にさらされた経験もある
戦後は、反米・自主独立路線をとり
日米安保や新憲法に対する批判の急先鋒となった
ところが、国際社会が冷戦構造を形成していくにともない
むしろ親米傾向を強めていく
初入閣が科学技術庁長官だった中曽根の、原発・ロケット開発には
アメリカの協力が不可欠という事情もあった
しかしそうかと思えば
台湾承認に反対して中国との関係改善を唱えたり…
また翻って佐藤栄作と和解したことを機に
世論には、中曽根を「風見鶏」と揶揄する向きもあった
もっとも、本人からすれば
師と仰ぐ徳富蘇峰の教えに忠実だっただけかもし