服部龍二のレビュー一覧

  • 広田弘毅 「悲劇の宰相」の実像

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    戦前、戦中期に宰相や外相を務めた広田弘毅の伝記。
    読みやすくまとまっており、内容も理解しやすい。
    広田弘毅のとった行動や政策を通して彼の人となり、
    ひいては極東裁判の判決を考える一冊となっている。
    「執念」、「ポピュリズムへの迎合」などといった言葉が
    複数回登場するのが印象的。単純な同情論ではなく、
    彼のようなある意味で非常に人間らしい弱さを持つ人物が、
    揺れ動きながら政策に参加した結果、極東裁判で極刑を受けたこと。
    そしてその極東裁判を軍国主義・戦争犯罪の過去の清算として
    受け入れることの難しさを感じた。

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    2013年08月30日
  • 日中国交正常化 田中角栄、大平正芳、官僚たちの挑戦

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    現在日中関係は冷え込んでいるが、日中国交正常化における先人達の苦労を知ると、日中共にもっと努力する余地があるのではないかと思ってしまいます。

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    2013年08月16日
  • 日中国交正常化 田中角栄、大平正芳、官僚たちの挑戦

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    田中、大平両氏を見直すことになろうとは思ってもみなかった。現在このような政治家が日本にいるのであろうか。
    また、中華人民共和国にしろ、中華民国にしろ、当時の指導者にはとても立派な人物が存在していたのだ。
    中華思想に寛容という言葉があるのであれば、きっとこのときの両国の指導者が取った態度なのであろう。

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    2013年02月25日
  • 日中国交正常化 田中角栄、大平正芳、官僚たちの挑戦

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    新書は読みづらくてあまり好きじゃないけど、この本はわりと読みやすかった。
    歴史の瞬間に立ち合った人は本当にすごい。
    後世には首相と外相の名前しか残ってないかもしれないけど、官僚の力あっての外交だったことがわかる。

    正直田中角栄とか、はっ って(鼻で笑いたくなる)感じだけど、それでもリーダーとしての素質は群を抜いていたのも伝わりました。

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    2012年11月23日
  • 広田弘毅 「悲劇の宰相」の実像

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     1945年の日本の敗戦は270万人とも310万人とも言われる膨大な日本人の死者をもたらした「失敗の歴史」であると思う。1930年代以降の日本の歴史の中のどこから過ちを犯したのかとの疑問を常々思っていたが、その答えを知る上で本書は高く評価出来ると思えた。
     「広田弘毅」は、東京裁判で文民指導者として唯一絞首刑となった「悲劇の宰相」としてよく知られているが、歴史的人物としては2線級と言っては失礼だろうが現在一般的に、詳細に知られているとはいえないと思う。
     しかし、本書で語られる「広田弘毅」の足跡は、激動の日本における主要人物として、重要な歴史の分岐を采配できる位置と立場にあったことがよくわかる

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    2012年10月08日
  • 日中国交正常化 田中角栄、大平正芳、官僚たちの挑戦

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    日中国交正常化は1972年、私の生まれる3年前。そのころの政治家は強いリーダーシップを発揮していたのだということが分かる一冊。田中角栄を例に挙げるまでもなく、政治家には功罪が伴うのだろうが、少なくとも存在感は今の人と比べて格段に違う。

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    2012年07月28日
  • 日中国交正常化 田中角栄、大平正芳、官僚たちの挑戦

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    日台断交から日中国交正常化へ向かう情景をスリリングに描いた外交史.外務省公開文書や国会議事録などの一次史料を駆使した力作。学者の著作だが、会話が多用され、新書好き読者にやさしい。

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    2012年05月11日
  • 日中国交正常化 田中角栄、大平正芳、官僚たちの挑戦

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    田中角栄、大平正芳と、あのころの日本は存在感のある政治家がいたんだなと、痛感。あのころのはなたれ小僧に将来の夢は、と問えば、野球選手とともに総理大臣っていう声があったような気がする。政治に政治家にまだ希望のあった時代なのかもしれない。

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    2012年01月31日
  • 日中国交正常化 田中角栄、大平正芳、官僚たちの挑戦

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    日中国交正常化を膨大な史料を基に、新書ながらドキュメンタリー風に描いた労作。
    田中角栄首相、大平正芳外相の「大角コンビ」を中心にして、官僚と協力しながら国交正常化の道を拓いたことがよくわかる。
    決断し責任を取って実行する田中、準備の周到さと思慮深い思考の大平。筆者はふたりをそれぞれ「決断実行型リーダーシップ」「熟慮調整型リーダーシップ」とし、優れた指導力を評価している。また知識を持ち下支えをした官僚たちの大切さも忘れない。「田中と大平の指導がなければ、いつ中国と国交正常化できたかわからない。二つのリーダーシップが共振して官僚たちを使いこなしたとき、ようやく国交は樹立されたのである」(p.217

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    2012年01月02日
  • 広田弘毅 「悲劇の宰相」の実像

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    広田を主人公とした歴史小説に城山三郎の「落日燃ゆ」という本がある。非常に感動的な小説であるが、歴史を調べてみると正確に欠くところがる。本書は、極力公平に史実を記そうとしている姿勢は評価できる。内容は広田に辛くいくつか気になる点もあり広田贔屓の自分としては、心情的には残念であるが本書は力作である。
    なお大半の人が何故、戦争を止められなかったのか?という視点で論じる人ことが多いが、戦争を望む人達の視点から歴史を論じる本があってもよいと思う。

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    2011年12月17日
  • 日中国交正常化 田中角栄、大平正芳、官僚たちの挑戦

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    ネタバレ

    【54冊目】前々からちゃんと知りたいと思っていた日中国交正常化。その過程を追った本。歴史の今日的な意味・教訓を得ることに主眼を置いた構成となっており、かなり勉強になる。中国に関するニュースの見方が変わった。
    メモ:日中米における台湾問題の重要性//ご迷惑スピーチ//自民党内の親中派と親台派の対立。何かを成そうとするとき、敵は外にだけいるわけではない。//田中首相と大平外相の役割分担。特に、田中の大平への任せっぷり。//日米関係を主軸とする日本外交←アメリカの影
    本当に勉強になる良書!新書だから、「深く知りたい」「もっと知りたい」という欲求には応えられないという短所はあるけれど。
    だけど、大体の

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    2011年10月22日
  • 日中国交正常化 田中角栄、大平正芳、官僚たちの挑戦

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     大変勉強になった。学者の著作としては,すこし劇画調なきもするが,であるが故に読みやすかった。
     外務省の中で誰がどのような役割を担ったのかについて,また,国際的な交渉での交渉当事者の胆力と事前の準備の必要性についてが伺える作品。

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    2011年08月26日
  • 広田弘毅 「悲劇の宰相」の実像

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    中央大学総合政策学部准教授・服部龍二による1930年代に首相・外相を務めた広田弘毅
    の批判的評伝。

    【構成】
    序 章 二つの顔
    第1章 青年期-福岡から霞ヶ関へ
    第2章 中国と欧米の間-北京・ワシントン・モスクワ
    第3章 外相就任と協和外交-対中国政策の理念と迷走
    第4章 首相の10ヶ月半-陸軍との葛藤
    第5章 「国民政府を対手とせず」-日中戦争初期の外相
    第6章 帝国日本の瓦解-一重臣として
    第7章 東京裁判-積極的な追随者の烙印
    終 章 訣別

     皆が皆ではないだろうが、本書を手に取るような人の多くは城山三郎の『落日燃ゆ』を読んだことがある人ではないだろうか?そして、小説の主人公である「

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    2013年10月12日
  • 広田弘毅 「悲劇の宰相」の実像

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    日露戦争後、職業外交官の道を歩み始め、欧米局長・駐ソ大使など要職を歴任した広田弘毅。
    満州事変以降、混迷を深める一九三〇年代の日本で、外相・首相として、欧米との協調、中国との「提携」を模索する。
    しかし、二・二六事件以降、高圧的な陸軍と妥協を重ね、また国民に広がる対中国強硬論に流され、泥沼の戦争への道を開いた。
    東京裁判で唯一文官として死刑に処せられ、同情論が多い政治家・広田の実像に迫る。

    [ 目次 ]
    序章 二つの顔
    第1章 青年期―福岡から霞ヶ関へ
    第2章 中国と欧米の間―北京・ワシントン・モスクワ
    第3章 外相就任と協和外交―対中国政策の理想と迷走
    第4章 首相の一〇ヵ月

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    2011年04月01日
  • 広田弘毅 「悲劇の宰相」の実像

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    「外政家は、うつろいやすい状況下でこそ、ポピュリズムと世論から距離をおいて冷徹な判断を下さねばならない。」

    悲劇の宰相、広田弘毅の実際をあぶり出そうとする好著。
    主に日中戦争開戦に至る経緯をおさらいするのにも役立つだろう。

    他レビューで歴史研究としてナンセンスなどの記述があるが、
    本書は「広田弘毅の実像」に焦点を当てたものであり、
    その「目的」に沿って十分に描かれていると感じることができる点からも、
    その批判には当たらないと考える。

    そのような批判が本著を貶めるものには値しないと思う。

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    2011年02月26日
  • 広田弘毅 「悲劇の宰相」の実像

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    高校の日本史でこの人のことを習ったとき、「悲劇の宰相」とはとても思えなかったなあ。
    そんな20年前のことを思い出しつつ、この本を読んで納得。

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    2010年10月30日
  • 高坂正堯―戦後日本と現実主義

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    戦後の国際政治学者、高坂正堯の評伝。
    思った以上に政治に首を突っ込んでいたことは初めて知ったが、予想外の話は少なかった。現実的な保守派として風当たりは強かったと思うが、そのあたりも記述は少なく、淡々と著作権をもとに生涯を追いかけたもの。晩年の改憲論への転向などもう少し深掘りすれば面白かったと思う。

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    2025年01月01日
  • 高坂正堯―戦後日本と現実主義

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    経済中心主義としての吉田を高く評価する一方、後年の田中には批判的で「吉田体制」にまで高めることはあってはならないとしていたことは興味深い。また、湾岸戦争を受けて日本外交の主体性の欠如に対する危機感を高めており憲法9条は思考停止の悪弊があり集団的自衛権を容認すべきとの立場であったこともその後の展開に示唆的だろう。

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    2023年06月02日
  • 日中国交正常化 田中角栄、大平正芳、官僚たちの挑戦

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    読み進めるのに、少し時間がかかった。

    戦後の日本、世界の情勢を知らなかったので、細かな交渉駆け引きなどは、正確に理解出来てないと思う。
    当時の政治指導に長けた人物の描写はわかりやすく面白かった。
    こんな政治家が、今いないのが残念。

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    2021年05月23日
  • 増補版 大平正芳 理念と外交

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    戦時中の大平正芳は大蔵省の官僚だった
    やや四角四面というか
    目先の手柄よりも道理を優先するところがある
    戦後、政治家に転身したものの
    そういう性格が池田勇人や佐藤栄作に煙たがられ
    出世レースで田中角栄に遅れを取った
    その角栄に後押しされる形で上り詰めていったのだが
    ロッキード事件の影響があって
    傀儡の印象をも強めることになり
    また総理になってからは慎重な言葉使いをマスコミにつつかれ
    凡愚のイメージで揶揄されることが多かった
    田中角栄の「日本列島改造論」を補完するものとして
    「田園都市計画」を掲げたが
    池田内閣からの流れで
    インフレと歳入減に悩まされてたとはいえ
    経済成長にブレーキをかけるような

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    2020年10月20日