セーレン・キルケゴールのレビュー一覧

  • 死に至る病
    市民革命・産業革命が進む中、人々は自覚のあるなしに関わらず、人間中心の近代的なものの見方を身につけつつあった。キルケゴールは、そうした近代のものの見方にとらわれることなく、信仰へ飛躍しなければ、自らが本当に生きるということにはならないと説き、それに対してニーチェは、信仰にも近代的なものの見方にもとら...続きを読む
  • 死にいたる病 現代の批判
     哲学は、時代や場所・人種の区別を超えて、言葉のみを用いて「死」を解き明かそうとする試み。そう定義するのなら、キルケゴールは間違いなく哲学をしている。見た目は、気弱な文学青年のような容姿と雰囲気だが、この著書で書いたものには、それとは真逆の力強さと潔癖さがあった。
     保証や予測もつかない未来に、自分...続きを読む
  • 死に至る病
    死に至る病とは絶望であるとキルケゴールは言う。

    しかも、絶望しない人間はいないとも言う。

    世間一般に言われる、願いが叶ったとか、よい人生だったとかの幸福を彼はことごとく否定する。

    その追い詰められた状態から、何が幸福かを見いだせるのか。

    その答えは、読み取ることができなかった。

    ただ、自分...続きを読む
  • 死に至る病
     絶望とは、死に至る病である。ここでいう「絶望」とは、神の存在を確信していない自己を認めている状態のことである。キリスト教圏内ではない読者には違和感があるだろうから、自己疎外状態と置き換えて読むといいかもしれない。
  • 死に至る病
    斎藤信治先生が一番よく取り上げておられた本だと思う。病気になった友人にこの本をお見舞いにあげたのは、上梓されたばかりの頃だったからだろうが、「死に至る病」は決して死ぬことはないのだから縁起がいいのだ、と強弁したという話は何度聞いても笑えたものである。

    しかし、この本の本質をよく表しているし深いので...続きを読む
  • 死にいたる病 現代の批判
    キルケゴール。高校の倫理の時間に軽く学んで以来とっても興味があったけど、なかなか手を出せずにいました。このたびいよいよその著作に目を通しとても感銘を受けました。あらゆるシチュエーションでの『絶望』というところから、神と出会うことの重要性を説きます。明らかな教化的著作だけども、哲学書としても一流だと感...続きを読む
  • 死に至る病
    宗教観を前提にしているところは宗教だなあと思うだけなのだけれど、自身らをまさに擁護するために対比せられる世間や異教徒への眼差しがなんというか思いのほか俗っぽくて、それのほかにもたとえば自己喪失のくだりなんかも書かれていることがあまりにも当たり前で、まあそのあたりはエッセイでも読むような気で読み進めた...続きを読む
  • 死に至る病
    翻訳されたものとはいえど、哲学者の書いた哲学書そのものである為、読み進めるにはそれなりの時間を要すると思った方がいい。哲学研究者などの専門家でもない限りは、キルケゴール哲学の解説書または入門書を読んでおけば十分なように思う。
  • 死に至る病
    ・絶望とは自己を見失うこと
    ・誰にでも絶望はある
    ・絶望を超えるには、信仰すること。
    ・信仰→ 自分を信じて、自分の責任で選択していくこと。
    ・自己は人との関係の関係にある。
    ・人の生きかたは、感性的に生きるか、倫理的に生きるか
    ・感性的に生きることは外部からの影響を受けて流されるので自分を見失う
    ...続きを読む
  • 死にいたる病
    古典を読み切った以上の感情がない
    何が言いたいのか分からなかった
    キリスト教徒の向き合い方なのか
  • 死に至る病
    キェルケゴール 「死に至る病」

    絶望について論じた本。死に至る病=絶望=地獄 として、キリスト教による救済につなぐ構成


    絶望から解放されるにはキリスト教による救済しかないという結論だと偏狭さや他人任せを感じるが、フォイエルバッハ 「キリスト教の本質」のように「神が人間であり、人間が神である」と...続きを読む
  • 新訳 不安の概念
     読み進めるのが難しい哲学書でした:創世記におけるアダムを通して考察を進める。アダムはもともと無垢であり無知であったため、無限の可能性をもっていた。禁断によってひとつの自由の可能性を目覚めさせ、アダムを不安がらせた。そしてアダムの最初の罪を通して、罪性がアダムの中に入ってきた。罪によって感性は罪性と...続きを読む
  • 死に至る病
    死に至る病とは何か、1ページ目をめくった瞬間に答えが出た、と思ったのにそこからが遠かった。
    最初が論文口調でいて自分の意見を世の中全てに当てはまるように話しているだけなのか、「自己自身とは自身の自己に関する関係である」云々のようにトートロジーっぽくて抽象的で何を言っているのかわからない。結論から言う...続きを読む
  • 死に至る病
    正直な話、もう一人翻訳者を挟みたいくらい何言ってるのかよくわからない所が多かった。
    絶望していると思っているが筆者のいう絶望に全く当てはまらないどころか絶望状態に酔ってるだけの人に対する皮肉っぷりはぶっ飛ばしててすがすがしくもある。
    要は敬虔なクリスチャンが、真に神を信じていないようなファッションク...続きを読む
  • 死に至る病
    現代人にも通じるものがあるし、自分自身に通じるものがあって面白かった。(第一章までは辛うじて理解できた)
    筆者は人より頭が良かった分きっと生きづらかっただろうなと思う。
  • 死に至る病
    自己とは何であるか、人間の精神世界の細かくも絶望的な考察。
    全編を通してキリスト教色が濃いが、特に第二編においては顕著である。
  • 死に至る病
    はっきり言ってものすごく難解。
    これ研究してる人は骨が折れるだろうな・・・。
    新約聖書の”ラザロの死”について冒頭で触れ、人間の3種類の絶望とその変容、神の前における在り方を説く。
    どことなく心理学っぽい側面もあったり。
  • 死に至る病
    10年ぶりの再読。
    冒頭わけわかんないけど、気にせず読み進めるとほんとおもしろい。
    死に至る病=絶望(=罪)に対して、人が取りうるのは延々と続く撤退戦。この不可避的な撤退戦それ自体が絶望でもあり、この先に信仰が存在する。
    続編的な「キリスト教の修練」では、「死に至る病」をさらに推し進めて、キリスト者...続きを読む
  • 死に至る病
    とにかく難解だった。
    有限性と無限性、可能性と必然性をもとに絶望を定義しありするアプローチは面白いと感じたし、論理的に説明されていて読み込めば分からないことはなかった。
    ただ、言葉遊びみたいに持論を述べたりするのでとにかく厄介。
    最初に読んだときは絶望を禁じ得なかった。
    あくまでキリスト教が基盤にな...続きを読む
  • 死にいたる病
    牧師たるものは、もちろん信仰者でなくてはなるまい。
    では、信仰者とは!信仰者とは、もちろん、恋する者である。
    ・・・・・・『死に至る病』190頁

    彼、キルケゴールの指す「死に至る病」とは、絶望のことである。
    この書では、様々な絶望の形を弁証法的に解説しているのだが、普段、私たちが使う「絶望」とは違...続きを読む