井村君江のレビュー一覧

  • ケルト妖精物語

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    夏至が近いのでなんとなく選んでみました。

    すっっごく面白かった。
    妖精は明るい。それに関わる人間も明るい。
    日本人は妖怪や幽霊に勝てないけれど、
    アイルランド人は対等に渡り合って、知恵比べをして、勝ったり負けたりしながら、なんだろう、
    賭けなんだけど動いた方が良い。
    という感じ。

    もちろん物語の力強さもあって、ちょうど好きな塩梅。
    グリム童話は説教くさいし、アラビアンナイトは支離滅裂だし、アンデルセンは悲しいし。
    わたしはアイルランドの民話が1番好き。

    北の果てに住む人たちはもう少し暗いのかと思い込んでいました。そんなことなかった!
    アイスランドもだけど、厳しい自然の中で明るく生きてゆけ

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    2024年06月13日
  • アーサー王物語 1

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    評価っていうのも難しい。良さ、と好き、は違うしな。分かる、分からない、今じゃない、今は好き、もあるし。好きじゃなくても良いもあるし。出版されててよかった、の評価もあるし。

    さて。知ってるようで知らない円卓の騎士を知りたくてやっと読み出した。アーサーよりランスロットが主役みたいな。

    映画「ラビリンス」でジェニファー・コネリー 演じる主人公サラ(なんと美しかったことか!)が大事にしているテディベアの名前がランスロットだった。多分それが円卓の騎士との最初の出会い。

    その後赤毛のアンの中でのごっこ遊びでテニスンの「シャーロットの乙女」に触れ、少しずつ知りつつあっていつかはちゃんと、と思っていた。

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    2022年05月15日
  • ケルトの薄明

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     詩人イエイツの聞きまとめた、ケルトのおはなしたち。神話/民話と呼ぶほうが適当なのかもしれないが、(ケルトといえばこの方、という井村君江氏の翻訳もあってか)語り手として登場する老人たち――妖精たちなどを"見た"ものたち――の様子もなんとはなしに窺えて、こんな風に家々を訪ねて口碑を聞きまわりたいと思わされる力を感じるからやはりおはなし、と言いたい。一緒に炉端に座り、子どもみたいに「おばあちゃん(おじいちゃん)おはなしして」とねだりたいものである。イエイツもきっとそうだったろう、などと勝手に思ってしまうなどする。それほどに、語り手たちも魅力的なのだ。妖精たちはかれらの生活と分か

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    2018年05月08日
  • ケルト妖精物語

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    アイルランドの妖精のイメージが随分変わった。あまりにも知らなすぎた。
    これまでは、キャラクターとしてのおちゃらけた気のいい妖精のイメージを持っていたが、ゾッとするような不気味な世界にページを捲る手が止まらない。
    高圧的な態度や、死体を無理やり背負わされるなど…。
    アイルランドの人々にとって、恐怖の対象でもあったことに驚き。

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    2016年03月25日
  • 妖精教授 最後の授業 魔法の世界

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    「魔法」という言葉を聞くと、真っ先に思い浮かぶのはハリーポッター。
    でも魔法はもっと昔、紀元前にエジプト文明が栄えた時代から存在していたものだった。
    現在と太古の魔法、どのように各々扱われていて、どのようにして今に至るのかが素人でも分かりやすかった。

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    2025年06月29日
  • 妖精世界へのとびら ~新版・妖精学入門

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     井村君江さんの妖精やケルト思想関連の著書は、山田南平さんの『金色のマビノギオン』で参考文献にあがっているので前々から気になっていたが読めずにいた。最近ちょっとファンタジーづいていたので色々調べていたら、二〇二三年出版という新しいこの本を見つけた。『金マビ』の方も並行して既刊全七巻を読み直し、たいへん充実した妖精週間となった。(金マビの行方が気になりすぎる。)
     正直飛ばし読みした箇所もあるのにこう言うのも恐れ多いが、とても素晴らしい本だった。妖精、妖怪への情熱は水木しげる大先生に決して引けをとらない。漫画家である水木サンとは当然表現形態が違って、井村さんのは地に足ついた学術研究なのだけど、目

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    2024年08月01日
  • 妖精世界へのとびら ~新版・妖精学入門

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    同著者の『妖精学入門』(講談社, 1998年)を改稿、「はじめに」として2017年に書かれた文章が同じく改稿のうえで加えられている。「I章 妖精はどこから生まれたのか」は、妖精というものが考えられるようになった理由を主にケルトとの関係性から考察。「Ⅱ章 妖精のエンサイクロペディア」ではたくさんの妖精たちが図版とともに紹介される。「Ⅲ章 創造された多彩な妖精像」は物語や絵画などフィクションのなかの妖精たちの紹介。最後にコティングリー妖精事件が紹介されていて、コナン・ドイルのことばを引きながら、目に見えない存在は時として不気味なものだが、「しかし、私たちの「生」に豊かなイマジネーションと活力を与え

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    2024年04月04日
  • コティングリー妖精事件 イギリス妖精写真の新事実

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    写真とは何かを改めて考える。少女たちの作品とも言うべき心象を描いた写真、近年のデコ盛り写真、「真を写す」とは果たして?

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    2022年01月01日
  • ケルト妖精物語

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    バンシーやメロウなど、今となっては定番の話が多く収録されているが、前後関係としてはこれに収録されたから定番になったんだよな、という。おそらく古来から伝わっていた話も少なくないだろうが、そこへキリスト教的な視線が含まれることで全体にどことなく違和感が生じているのは面白い。妖精とキリスト教の悪魔との関わりなど。
    今の妖精談の方が却ってそこを弁別していることで均整のとれたものになっているケースが見られるが、そうした混在に無自覚な当時の語りの方が不恰好だからこそ「語り」の生々しさを感じさせられる。

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    2011年10月14日
  • ケルト妖精物語

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    イギリスの妖精は、日本の昔話でいう鬼とか、擬人法で現れる生き物達、幽霊にあたるのかな。

    序章の解説はとても面白く読み通しました。もう一度反芻して頭のなかにいれていきたい。

    また一つネタを繰り出せそうです。

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    2011年01月08日
  • アーサー王ロマンス

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    思いのほかするすると読み終わることができました。
    (の割りには時間かかってるけど(汗))
    十年近く前に、西洋における「ここは押さえておいた方が」っていう古典を知りたいなーと思って、友達のMさんに相談して勧められたのがこの本でした。

    実際、読み始めるの遅すぎーで恐縮ですが、やっぱり読んでよかったな。
    「アーサー王」に関わる伝説やエピソードを網羅する形で紹介してくれてます。
    時に研究者の視点からいろいろな諸説学説を紹介してくれたり、時には物語のエピソードをそのまま読ませてくれたり…と、「アーサー王」「円卓の騎士」「聖杯伝説」に興味がある人は一読してみるといいと思います。

    私などは、タイトルだけ

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    2009年10月08日
  • ケルトの薄明

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    ネタバレ

    ケルトであるとか妖精であるとか、そういうものをしてファンタジーと認識したのは、遠い異国の幻想的な事物であるとか語感の耳触りであるとかから来ていたのかもしれない。
    圧倒的な経験不足がそうさせていたのかもしれない。

    アイルランドに伝わる民話・説話を拾い集めた本書に、日本の妖怪話が透けて見える。いわゆる昔話というものを比較したときに、ヨーロッパと日本ではおそらくキリスト教の影響の有無が最も大きいのではないかと思われるが、それを除去したならきっと、未知なるものを目の当たりにした時に説明を求める情動というものに人種などによる大きな違いはないのだと思えてくる。

    読み味は『夢の宇宙誌』を思わせる。まとま

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    2023年11月27日
  • アーサー王ロマンス

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    実在定かならぬ伝説のブリテン王とその配下の騎士たちにまつわる様々なエピソードを、人物ごとにまとめた導入本。自由奔放な時代の英雄たちの事績がキリスト教的倫理観の行き渡った時代に再構成されたせいか、登場人物がみんな「立派」とされながらも破戒的なのが面白い。ケルト神話の著作もものした著者による巻末の分析は説得力がある。

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    2017年10月27日
  • アーサー王ロマンス

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    系列順に物語と解説が入っているので、訳したものを並べてあるだけでは前提が分からなくて困惑するところも、分かるようになっている。初心者向きです。

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    2016年01月21日
  • アーサー王ロマンス

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    マロリーの『アーサー王の死』を中心にアーサー王と円卓の騎士の主要エピソードを紹介しつつ、そこに描かれた中世騎士の価値観や下敷きになったケルト的な世界観を解き明かす。


    再読。アーサー王伝説はたまにおさらいしないと結構忘れてる。
    騎士たちはでかけた先でゆきずりの恋を繰り返し、「邪悪な魔法にかけられて」関係を持ってしまったと言い訳する。そして知らない間に生まれていた自分の子が大きくなって円卓に合流してくると喜んだりして、まったくいい気なもんだぜ(笑)。これは「色好みの王」を良しとする古代の価値観と、カトリックの禁欲的な理想像が騎士たちとアーサーに分裂したのだろうか。アーサーはキリスト教世界の王な

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    2022年02月14日
  • アーサー王ロマンス

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    イギリスの超有名な英雄譚、アーサー王物語のダイジェスト版。

    中世の騎士道文学や叙事詩というのは、格調高い風合いを楽しむことができればいいのだが、話としては現代人の感覚からするとやや単調すぎるきらいがあり、なかなか手が伸びないものである。
    (『ニーベルンゲンの指輪』は面白かったけど)

    でも有名なアーサー王の伝説を知りたい、という人にうってつけな一冊。
    有名な挿話や騎士たちの活躍を整理して書いてある。

    ただ、本当にダイジェストしているだけなのが惜しいところ。
    ここにもう少し、たとえば異伝の紹介だとか、歴史学的な考証だとか、著者なりの見解だとか、そういったものが織り交ぜられていたら、より入門書

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    2014年02月20日
  • アーサー王ロマンス

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     アーサー王に興味のかけらもなかったのに、こんな本を読みだしたのは、この夏にバーン・ジョーンズ展を観に行ったから。
     アーサー王の臨終の絵にとても感動したけれど、物語を知らなかったので、絵の中の誰もが悲しんでいる理由がわからないのが、もどかしかった。
     
     これを読んだからといって、アーサー王の全貌がわかるというものではない。架空の人物?だから、バリエーションがいろいろあるらしい。でも大筋でなんとなくわかった。
     
     魔術師マーリンとか騎士ランスロットとか、ジョーンズの絵に出てきた主要人物たち物語がわかったので絵に対する共感度が上がったと思う。

     しかしアーサー王の有名な逸話で、王となるべき

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    2017年08月15日
  • アーサー王ロマンス

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    ネタバレ

    昔読んだ本の再登録の1つ
    ダイジェスト版な形なので、すごくはしょっている。
    岩波少年文庫の「アーサー王物語」グリーン著の中でも「ガウェイン卿とラグネル姫」の物語が好き。
    この本にもありましたが、訳がジュニア向けから大人向け?に。

    ガウェイン卿が、騎士より生身の男の人になっています。
    そんなガッカリ度もあるけど、面白いセリフもありました。
    ラグネル姫との婚礼の夜にガウェインはため息をつきそのわけを尋ねると
    「~おまえの年と、醜さ、おまえの生まれのいやしさのせいだ」と答えるわけですね。
    でもラグネル姫は全然負けていません。
    「年齢の多い者には分別が、醜ければ他の男に襲われる心配がありません。また

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    2011年11月10日
  • ケルトの薄明

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    イェイツが各地で収集したケルト民話。
    神話ではなくあくまで地元の妖精目撃談の類なので地味なこと極まりない。
    ケルト版「遠野物語」といったところだろうか?
    違うのは、イェイツの行動や主観が多く記されている(相対的に語り手が語った部分は少ない)ことと、イェイツが柳田に比べてかなり体を張ってフィールドワークに挑んでいることだろうか。
    何せ悪魔の儀式に参加するくらいである。大分がんばっている。
    ただ、多少悪魔召喚じみたものもありつつも、本来ケルトの妖精とは善悪とは結びつかないものであり、「正しく扱えば無害(もしくは利益を与えてくれる)だが、正しく扱わなければ害をなす」なものなのだと言う。

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    2011年01月18日
  • アーサー王物語 1

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    王と王妃と騎士と魔法使い、魔女だけではなく巨人までもが出てくるというファンタジーぶり、それから騎士が冒険を求めて旅に出るというパターンはRPGの元祖であるとも考えられます。イギリス版諸葛亮孔明のような魔法使いマーリン、冒険好きの騎士ラーンスロットなど、面白いキャラクターが次々に出てくる。イギリス文化や文学などを学ぶ上で外せない物語です。特にこの版は挿絵がオーブリー・ビアズリーなので大人でも、むしろ大人だからこそ楽しめるのでおすすめ。

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    2009年10月04日