井村君江のレビュー一覧
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夏至が近いのでなんとなく選んでみました。
すっっごく面白かった。
妖精は明るい。それに関わる人間も明るい。
日本人は妖怪や幽霊に勝てないけれど、
アイルランド人は対等に渡り合って、知恵比べをして、勝ったり負けたりしながら、なんだろう、
賭けなんだけど動いた方が良い。
という感じ。
もちろん物語の力強さもあって、ちょうど好きな塩梅。
グリム童話は説教くさいし、アラビアンナイトは支離滅裂だし、アンデルセンは悲しいし。
わたしはアイルランドの民話が1番好き。
北の果てに住む人たちはもう少し暗いのかと思い込んでいました。そんなことなかった!
アイスランドもだけど、厳しい自然の中で明るく生きてゆけ -
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評価っていうのも難しい。良さ、と好き、は違うしな。分かる、分からない、今じゃない、今は好き、もあるし。好きじゃなくても良いもあるし。出版されててよかった、の評価もあるし。
さて。知ってるようで知らない円卓の騎士を知りたくてやっと読み出した。アーサーよりランスロットが主役みたいな。
映画「ラビリンス」でジェニファー・コネリー 演じる主人公サラ(なんと美しかったことか!)が大事にしているテディベアの名前がランスロットだった。多分それが円卓の騎士との最初の出会い。
その後赤毛のアンの中でのごっこ遊びでテニスンの「シャーロットの乙女」に触れ、少しずつ知りつつあっていつかはちゃんと、と思っていた。 -
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詩人イエイツの聞きまとめた、ケルトのおはなしたち。神話/民話と呼ぶほうが適当なのかもしれないが、(ケルトといえばこの方、という井村君江氏の翻訳もあってか)語り手として登場する老人たち――妖精たちなどを"見た"ものたち――の様子もなんとはなしに窺えて、こんな風に家々を訪ねて口碑を聞きまわりたいと思わされる力を感じるからやはりおはなし、と言いたい。一緒に炉端に座り、子どもみたいに「おばあちゃん(おじいちゃん)おはなしして」とねだりたいものである。イエイツもきっとそうだったろう、などと勝手に思ってしまうなどする。それほどに、語り手たちも魅力的なのだ。妖精たちはかれらの生活と分か
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井村君江さんの妖精やケルト思想関連の著書は、山田南平さんの『金色のマビノギオン』で参考文献にあがっているので前々から気になっていたが読めずにいた。最近ちょっとファンタジーづいていたので色々調べていたら、二〇二三年出版という新しいこの本を見つけた。『金マビ』の方も並行して既刊全七巻を読み直し、たいへん充実した妖精週間となった。(金マビの行方が気になりすぎる。)
正直飛ばし読みした箇所もあるのにこう言うのも恐れ多いが、とても素晴らしい本だった。妖精、妖怪への情熱は水木しげる大先生に決して引けをとらない。漫画家である水木サンとは当然表現形態が違って、井村さんのは地に足ついた学術研究なのだけど、目 -
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同著者の『妖精学入門』(講談社, 1998年)を改稿、「はじめに」として2017年に書かれた文章が同じく改稿のうえで加えられている。「I章 妖精はどこから生まれたのか」は、妖精というものが考えられるようになった理由を主にケルトとの関係性から考察。「Ⅱ章 妖精のエンサイクロペディア」ではたくさんの妖精たちが図版とともに紹介される。「Ⅲ章 創造された多彩な妖精像」は物語や絵画などフィクションのなかの妖精たちの紹介。最後にコティングリー妖精事件が紹介されていて、コナン・ドイルのことばを引きながら、目に見えない存在は時として不気味なものだが、「しかし、私たちの「生」に豊かなイマジネーションと活力を与え
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思いのほかするすると読み終わることができました。
(の割りには時間かかってるけど(汗))
十年近く前に、西洋における「ここは押さえておいた方が」っていう古典を知りたいなーと思って、友達のMさんに相談して勧められたのがこの本でした。
実際、読み始めるの遅すぎーで恐縮ですが、やっぱり読んでよかったな。
「アーサー王」に関わる伝説やエピソードを網羅する形で紹介してくれてます。
時に研究者の視点からいろいろな諸説学説を紹介してくれたり、時には物語のエピソードをそのまま読ませてくれたり…と、「アーサー王」「円卓の騎士」「聖杯伝説」に興味がある人は一読してみるといいと思います。
私などは、タイトルだけ -
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ネタバレケルトであるとか妖精であるとか、そういうものをしてファンタジーと認識したのは、遠い異国の幻想的な事物であるとか語感の耳触りであるとかから来ていたのかもしれない。
圧倒的な経験不足がそうさせていたのかもしれない。
アイルランドに伝わる民話・説話を拾い集めた本書に、日本の妖怪話が透けて見える。いわゆる昔話というものを比較したときに、ヨーロッパと日本ではおそらくキリスト教の影響の有無が最も大きいのではないかと思われるが、それを除去したならきっと、未知なるものを目の当たりにした時に説明を求める情動というものに人種などによる大きな違いはないのだと思えてくる。
読み味は『夢の宇宙誌』を思わせる。まとま -
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マロリーの『アーサー王の死』を中心にアーサー王と円卓の騎士の主要エピソードを紹介しつつ、そこに描かれた中世騎士の価値観や下敷きになったケルト的な世界観を解き明かす。
再読。アーサー王伝説はたまにおさらいしないと結構忘れてる。
騎士たちはでかけた先でゆきずりの恋を繰り返し、「邪悪な魔法にかけられて」関係を持ってしまったと言い訳する。そして知らない間に生まれていた自分の子が大きくなって円卓に合流してくると喜んだりして、まったくいい気なもんだぜ(笑)。これは「色好みの王」を良しとする古代の価値観と、カトリックの禁欲的な理想像が騎士たちとアーサーに分裂したのだろうか。アーサーはキリスト教世界の王な -
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イギリスの超有名な英雄譚、アーサー王物語のダイジェスト版。
中世の騎士道文学や叙事詩というのは、格調高い風合いを楽しむことができればいいのだが、話としては現代人の感覚からするとやや単調すぎるきらいがあり、なかなか手が伸びないものである。
(『ニーベルンゲンの指輪』は面白かったけど)
でも有名なアーサー王の伝説を知りたい、という人にうってつけな一冊。
有名な挿話や騎士たちの活躍を整理して書いてある。
ただ、本当にダイジェストしているだけなのが惜しいところ。
ここにもう少し、たとえば異伝の紹介だとか、歴史学的な考証だとか、著者なりの見解だとか、そういったものが織り交ぜられていたら、より入門書 -
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アーサー王に興味のかけらもなかったのに、こんな本を読みだしたのは、この夏にバーン・ジョーンズ展を観に行ったから。
アーサー王の臨終の絵にとても感動したけれど、物語を知らなかったので、絵の中の誰もが悲しんでいる理由がわからないのが、もどかしかった。
これを読んだからといって、アーサー王の全貌がわかるというものではない。架空の人物?だから、バリエーションがいろいろあるらしい。でも大筋でなんとなくわかった。
魔術師マーリンとか騎士ランスロットとか、ジョーンズの絵に出てきた主要人物たち物語がわかったので絵に対する共感度が上がったと思う。
しかしアーサー王の有名な逸話で、王となるべき -
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ネタバレ昔読んだ本の再登録の1つ
ダイジェスト版な形なので、すごくはしょっている。
岩波少年文庫の「アーサー王物語」グリーン著の中でも「ガウェイン卿とラグネル姫」の物語が好き。
この本にもありましたが、訳がジュニア向けから大人向け?に。
ガウェイン卿が、騎士より生身の男の人になっています。
そんなガッカリ度もあるけど、面白いセリフもありました。
ラグネル姫との婚礼の夜にガウェインはため息をつきそのわけを尋ねると
「~おまえの年と、醜さ、おまえの生まれのいやしさのせいだ」と答えるわけですね。
でもラグネル姫は全然負けていません。
「年齢の多い者には分別が、醜ければ他の男に襲われる心配がありません。また -
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イェイツが各地で収集したケルト民話。
神話ではなくあくまで地元の妖精目撃談の類なので地味なこと極まりない。
ケルト版「遠野物語」といったところだろうか?
違うのは、イェイツの行動や主観が多く記されている(相対的に語り手が語った部分は少ない)ことと、イェイツが柳田に比べてかなり体を張ってフィールドワークに挑んでいることだろうか。
何せ悪魔の儀式に参加するくらいである。大分がんばっている。
ただ、多少悪魔召喚じみたものもありつつも、本来ケルトの妖精とは善悪とは結びつかないものであり、「正しく扱えば無害(もしくは利益を与えてくれる)だが、正しく扱わなければ害をなす」なものなのだと言う。 -