【感想・ネタバレ】アーサー王ロマンスのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

思いのほかするすると読み終わることができました。
(の割りには時間かかってるけど(汗))
十年近く前に、西洋における「ここは押さえておいた方が」っていう古典を知りたいなーと思って、友達のMさんに相談して勧められたのがこの本でした。

実際、読み始めるの遅すぎーで恐縮ですが、やっぱり読んでよかったな。
「アーサー王」に関わる伝説やエピソードを網羅する形で紹介してくれてます。
時に研究者の視点からいろいろな諸説学説を紹介してくれたり、時には物語のエピソードをそのまま読ませてくれたり…と、「アーサー王」「円卓の騎士」「聖杯伝説」に興味がある人は一読してみるといいと思います。

私などは、タイトルだけならワーグナーで知っていた「トリスタンとイゾルデ」も一つのエピソードとしてアーサー王伝説に含められてることも、この本で改めて知ったわけだし(笑)。

それに、「アヴァロン」という島の意味、「リンゴ」の意味。
知ると知らないのとでは、雲泥の差だわ!
なぜ、聖書でイブが蛇にそそのかされて食べてしまった実が「リンゴ」の絵で描かれているのか?
「ナルニア国物語」でルーシー達が入っていった衣装ダンスに、なぜリンゴの木の彫り物がなされてるのか?
押井守監督の映画「アヴァロン」はなぜあのタイトルなのか?
そこには「アーサー王物語」にのみ出典があるのではなく、ケルトやフランス、ドイツその他いろいろな土地と時代の信仰、教訓が層のように積み重なってはいるけれども、その流れをかいま見ることができて、良かった。

この本で「アーサー王」の概略を知ることができて、かえって、あとがきで著者が翻訳にとりかかっているキャクストン版復刻本『アーサー王の死』を読んでみたくなっちゃったよ。
そういうものじゃない?
アウトラインを知った方が、こういう古典にトライしやすいよね。

0
2009年10月08日

Posted by ブクログ

実在定かならぬ伝説のブリテン王とその配下の騎士たちにまつわる様々なエピソードを、人物ごとにまとめた導入本。自由奔放な時代の英雄たちの事績がキリスト教的倫理観の行き渡った時代に再構成されたせいか、登場人物がみんな「立派」とされながらも破戒的なのが面白い。ケルト神話の著作もものした著者による巻末の分析は説得力がある。

0
2017年10月27日

Posted by ブクログ

系列順に物語と解説が入っているので、訳したものを並べてあるだけでは前提が分からなくて困惑するところも、分かるようになっている。初心者向きです。

0
2016年01月21日

Posted by ブクログ

マロリーの『アーサー王の死』を中心にアーサー王と円卓の騎士の主要エピソードを紹介しつつ、そこに描かれた中世騎士の価値観や下敷きになったケルト的な世界観を解き明かす。


再読。アーサー王伝説はたまにおさらいしないと結構忘れてる。
騎士たちはでかけた先でゆきずりの恋を繰り返し、「邪悪な魔法にかけられて」関係を持ってしまったと言い訳する。そして知らない間に生まれていた自分の子が大きくなって円卓に合流してくると喜んだりして、まったくいい気なもんだぜ(笑)。これは「色好みの王」を良しとする古代の価値観と、カトリックの禁欲的な理想像が騎士たちとアーサーに分裂したのだろうか。アーサーはキリスト教世界の王なので恋愛沙汰には絡まず、自然と影が薄くなる。
モルガン・ル・フェをはじめとする魔女たちは『変身物語』のメディアを連想させる。復讐に燃え奸智を働かせたり、夫である王を殺害しようとしたりもする。もちろん彼女たちは悪女として描かれてるんだけど、その激しさと騎士をも弄ぶ魔力の高さは、悲恋を嘆くイソウド(イゾルデ)やグィネヴィアより魅力的にみえる。彼女たちから魔法を奪うとマクベス夫人になるのかも。
トリスタン・イゾルデ・マーク王、ランスロット・グィネヴィア・アーサー王という二つの三角関係は、女性の意思が問われることなく婚姻関係が結ばれ、その弊害として王の疑心暗鬼が生まれるという家父長制の穴に嵌まり込んでいる。マーク王の疑心暗鬼にスポットを当て、トリスタンとイゾルデを現代的に語り直していたスティーヴン・ミルハウザーの「木に登る王」は上手かったなと改めて思った。
冒険の主軸が聖杯探求に移ると、ガラハッドとパーシヴァルの少年騎士が主役に躍りでる。聖杯は純潔な者にしか姿を現さない。そこで恋愛要素を弾くため、パーシヴァルは母親の助言通りに行動するマザコンっぽく書かれている。女性に注目して読むと、ホモソーシャルな物語で女性が取り扱われる際のパターンがこのアーサー王伝説にギュッと詰まっているようで面白い。

0
2022年02月14日

Posted by ブクログ

イギリスの超有名な英雄譚、アーサー王物語のダイジェスト版。

中世の騎士道文学や叙事詩というのは、格調高い風合いを楽しむことができればいいのだが、話としては現代人の感覚からするとやや単調すぎるきらいがあり、なかなか手が伸びないものである。
(『ニーベルンゲンの指輪』は面白かったけど)

でも有名なアーサー王の伝説を知りたい、という人にうってつけな一冊。
有名な挿話や騎士たちの活躍を整理して書いてある。

ただ、本当にダイジェストしているだけなのが惜しいところ。
ここにもう少し、たとえば異伝の紹介だとか、歴史学的な考証だとか、著者なりの見解だとか、そういったものが織り交ぜられていたら、より入門書として素晴らしいものに仕上がったに違いないと思う。

0
2014年02月20日

Posted by ブクログ

 アーサー王に興味のかけらもなかったのに、こんな本を読みだしたのは、この夏にバーン・ジョーンズ展を観に行ったから。
 アーサー王の臨終の絵にとても感動したけれど、物語を知らなかったので、絵の中の誰もが悲しんでいる理由がわからないのが、もどかしかった。
 
 これを読んだからといって、アーサー王の全貌がわかるというものではない。架空の人物?だから、バリエーションがいろいろあるらしい。でも大筋でなんとなくわかった。
 
 魔術師マーリンとか騎士ランスロットとか、ジョーンズの絵に出てきた主要人物たち物語がわかったので絵に対する共感度が上がったと思う。

 しかしアーサー王の有名な逸話で、王となるべきものしか抜けないという岩に刺さった剣、あれはエクスカリバーじゃないという話はびっくり。みんな絶対勘違いしているはず。実は湖で手に入る。
 円卓の騎士が150人以上いるという話も驚いた。どんだけ大きい円卓なんだ。真ん中が空きすぎてるのが想像できる。反対側の声が聞こえないだろうし。渦巻き型だったんじゃなかろうか、もしかして。

 イギリス人の間では、たぶんポピュラーで面白い冒険活劇なんだろうと思う。

 
 

0
2017年08月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

昔読んだ本の再登録の1つ
ダイジェスト版な形なので、すごくはしょっている。
岩波少年文庫の「アーサー王物語」グリーン著の中でも「ガウェイン卿とラグネル姫」の物語が好き。
この本にもありましたが、訳がジュニア向けから大人向け?に。

ガウェイン卿が、騎士より生身の男の人になっています。
そんなガッカリ度もあるけど、面白いセリフもありました。
ラグネル姫との婚礼の夜にガウェインはため息をつきそのわけを尋ねると
「~おまえの年と、醜さ、おまえの生まれのいやしさのせいだ」と答えるわけですね。
でもラグネル姫は全然負けていません。
「年齢の多い者には分別が、醜ければ他の男に襲われる心配がありません。また生まれの上下でその人の気品は左右されるものでなく、その人の性質によるのです。」

0
2011年11月10日

Posted by ブクログ

アーサー王伝説をささっと概観する入門編としては便利。

ただし、アーサー王伝説そのものがそれほど面白いものではないということが分かった…。

0
2009年10月04日

「小説」ランキング