幸田露伴のレビュー一覧
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今月の千年読書会・課題図書、ちょいとタイムオーバーになってしまいました。
ざっというと、谷中感応寺への「五重塔」の建立を司る大工の匠頭候補となった二名の腕利きの大工の、ちょっとしたボタンのかけ違いからくる群像劇、といった感じでしょうか。
一人は十兵衛、大工としての卓越した腕を持っていますが、気難しさ(不器用さ)ゆえに、社会的には不遇で、奥さんにも迷惑をかけているとの自覚もあります。
もう一人は、源太。大工の腕で十兵衛に劣るわけでもなく、人柄もよく、周囲を動かして大規模な建築もこなします。いわゆるマネジメント力も十二分に兼ね備えつつ、イマイチ社会になじめない十兵衛の面倒も見ている、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ幸田露伴原作作品。
話は明の太祖・洪武帝が皇太子を亡くし、皇太子の子、つまり洪武帝の孫を皇太孫として立て、その波乱に満ちた生涯を閉じようとするところから始まる。
洪武帝は貧農の末子として生まれ、疫病(あるいは餓死)によって家族が死に絶えたことから、僧となり托鉢で命をつなげていた。その生活も盗賊の紅巾軍によって寺を焼かれ、終わりを告げる。
盗賊に拾われた彼はやがて賊の中で頭角を現し、やがて治世に不満を持つ者たちを見方につけて中国を平定する。明の誕生である。
策に長け、器量もあった洪武帝だが、晩年となり後継者として立てていた長男が若くして病死すると、次の後継者を誰にするかで頭を悩ませる -
Posted by ブクログ
言葉と音がとても美しく、音読をするのにふさわしい物語だと思う。
紙芝居を聞かせてもらっているような、先が気になるような展開になっていて、シンプルで流れるようなリズムの良さがある。
この小説は、個人という枠を超えて、人はどこまで芸術に殉じることが出来るのだろうかということを問いかけている話しなのだと思った。
十兵衛の、立派な五重塔を自分の手で建てたいという思いの強さは、職人的でもあるけれど、それ以上に、この孤高さはやはり芸術家の精神なのだろうと思う。
芸術家の魂を持つものの常として、中途半端な処世とは相容れることがない。逆にいえば、現実的な処世を考えることがないからこそ、一念を貫いて、余人に