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技量はありながらも小才の利かぬ性格ゆえに、「のっそり」とあだ名で呼ばれる大工十兵衛。その十兵衛が、義理も人情も捨てて、谷中感応寺の五重塔建立に一身を捧げる。エゴイズムや作為を超えた魔性のものに憑かれ、翻弄される職人の姿を、求心的な文体で浮き彫りにする文豪露伴(一八六七―一九四七)の傑作。 (解説 桶谷秀昭)
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Posted by ブクログ
古本市で2005年発行のものを読みましたが、読みやすかったです。
いや文章芸術がすぎる、読み始めからわかる七五調のリズムにこれが日本文学かとその力に圧倒されました。感情的にではなくもはや物理的にその美しさを証明してくださいましたね。そして何より鍵かっこがなくても人って描けるのかと、そもそも小説自体書けるんだなと思い、このような文章にはもう二度と出会えないだろうなと思います。いやー日本人で良かった、母国語でこれが読める日本人ほんと贅沢でしょ笑
もちろん内容も素晴らしいですよ、個人的にはタイトルの五重塔が人の誇りだったり欲だったり大義名分だったりいろんな解釈で見れるようになり、これから五重塔を見るたびに職人の魂を感じるのでしょう。そんな思い出に残る作品になりました。エゴイズムで解釈するのもあると思いますが個人的には名誉だと思います。いわゆる人からの承認欲求に近いものだと思います、ありますよね、今まで私生活で蔑まれてきた分、あるいはパッとしない自身の名誉を挽回したいと言わんばかりにSNSにいい写真載っけたりすご技動画投稿したりするのと、あの感覚よりかはもっと高いものだと思いますが、おそらく読んでて気持ちわかるなって現代人なるのではと思います。
主人公の十兵衛ってまさに自分の凄みを出せるそんな機会が欲しかったんだという気がします。今ならYouTubeでいくらでも叶えられそうなので、もし現代に十兵衛がいたらYouTubeでの作品投稿でバスってそうですね笑
Posted by ブクログ
506円
103p
やや難
再読
2026/08/18
文体が難しい
幸田 露伴
(こうだ ろはん、1867年8月22日(慶応3年7月23日) - 1947年(昭和22年)7月30日)は、日本の小説家、考証家。本名は成行(しげゆき)。別号に蝸牛庵(かぎゅうあん[注 1])、笹のつゆ、雷音洞主、脱天子など多数。江戸(現東京都)下谷生れ。帝国学士院会員。帝国芸術院会員。第1回文化勲章受章。娘の幸田文も随筆家・小説家。高木卓の伯父。『風流仏』で評価され『五重塔』『運命』などの文語体作品で文壇での地位を確立。尾崎紅葉とともに紅露時代と呼ばれる時代を築いた。擬古典主義の代表的作家で、また漢文学、日本古典や諸宗教にも通じ、多くの随筆や史伝のほか『芭蕉七部集評釈』などの古典研究などを残した。旧来「露伴、漱石、鷗外」と並び称され[1]、日本の近代文学を代表する作家の一人である。
「幸田露伴は、明治二十二年から二十四年にかけて、求心的な文体をつよめていって、そういう求心性のつよい文体と釣り合う構成の佳作、秀作をのこした。 『五重塔』はその頂点に達した秀作である。 のっそり十兵衛という、狷介で頑固、世渡り下手の寺社建築の大工が主人公である。腕はあるのに小才が利かぬ性格の故に、職人仲間からややもすればさげすまれ、「年が年中長屋の羽目板の繕ひやら馬小屋箱溝の数仕事」に明け暮れ、貧乏暮しをしている。 この大工が、谷中の感応寺に次いで五重塔が建てられるという を耳にする。谷中感応寺の建築を請け負ったのは、川越の源太という、日頃ひとかたならぬ世話になっている大工で、感応寺の出来栄えが見事だったので、自然、五重塔も源太にやらせようと寺の上人は考えている。」
—『五重塔 (岩波文庫)』幸田 露伴著
「 十兵衛という人物は、魔性の存在、と私はいったが、言葉をかえれば 英雄 である。彼は他人の指図を受けてはたらく「寄生木」になることも、自分の仕事に「寄生木」を受け容れることも拒む。むしろ、何もしない方がましなのである。分業を前提とする近代社会に、こういう人物ほど似合わないものはない。 英雄はその壮大な事業によって一世を風靡するとともに、取るに足らぬ卑小な敵に敗れて没落する運命をたどる。十兵衛は世の破局を思わせるような嵐にも耐える五重塔を見事に建てた。が、源太の弟子で、おっちょこちょいの清吉という男に片耳を斬られて不具になる。 この小説は、むかしから、嵐の吹きすさぶ場面の一種凄絶な文章によって人びとにいいつたえられてきた。見事な文章にはちがいないが、この嵐の描写は、ぜんたいの叙述の中の位置としては、十兵衛の魔性を証しするための手段である。嵐という人為を超えた自然の力に、十兵衛の人為による五重塔が打ち克ったというのである。」
—『五重塔 (岩波文庫)』幸田 露伴著
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