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安倍晋三政権に不利な情報が記載されている公文書の廃棄、官邸に居座る官僚の専横など、政治と行政の崩落は国民を失意のどん底に陥れている。一部の政治家や官僚の首をすげ替えても、事態は好転しそうもない。政と官の制度設計は事前に考えられたものか、制度作動は順調かの原則論に基づきつつ、戦後の歴代首相の政治手腕とその成果、小泉純一郎政権の成功、民主党政権の失敗から、現安倍政権の政治主導、行政崩壊の核心に迫る。
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Posted by ブクログ
制度の作動に焦点を当て、行政と政治の関係でこれまでの制度改革の成否を論じる。これは大学改革にも通じる点が多々あり、組織改革と制度の作動を現場を巻き込んで丁寧に行うことの重要性を改めて認識できた。
この書籍のすばらしさは「作動学」という観点から「改革学」の先を見据えていることです。改革する中身は注目を浴びがちですが、それがどう作動するかを予測して仕組みに織り込むという観点は改革をなじませる時間的猶予がなくなってきた現在では重要性を増しているという説得的な議論でした。政治史研究から来るすごみを感...続きを読むじさせてくれるすばらしい書籍です。 役人(官僚制)に「過度な」統制を掛けることが全ての失敗の原因だとよくわかります(「必要な」統制は当然掛けるべき)。全ての政治家は読むことをオススメします。あと行政改革が機能したり機能しなくなるのか不思議な方にも。
2023年の「骨太方針」の中に、「三位一体の労働市場改革」が織り込まれた。それは、①リスキリングの促進②職務給の導入③円滑な労働移動の促進からなるものである。人的資本の開発は、いずれにしても悪いことはないのであるが、その他の「職務給の導入」「円滑な労働移動の促進」というのは、あまり意味の分からないも...続きを読むのであったし、そもそも、それを行なえば、労働市場にとって、ひいては日本という国にとってどういう良いことが起こるかの説明が不十分(というか、ほとんどない)であること、これらは「賃上げ」のために行われるとの説明がなされているが、「職務給の導入」「円滑な労働移動の促進」がどのように賃上げに結びつくのかのメカニズムの説明、ロジックの説明がないし、根拠となるデータも十分なものではなく、私などは、「三位一体の労働市場改革」というのは、信じるに値しないもの、という風に考えていたし、今でもそう思う。 「三位一体の労働市場改革」自体への疑問もあるが、私の更なる疑問は、何故、このような不出来な(と私には思われる)政策提言が、ある意味で国の政策の骨格を示す「骨太方針」に織り込まれたのか、ということである。要するに、「政策」というのは、どのように提言され、議論され、アジェンダとなり、法案・政策となっていくのかのプロセスがどうなっていて、この「三位一体の労働市場改革」は、その中に、どのように「紛れ込んだ」のかを知りたいと思ったのである。 本書は、2018年の発行、ということは、第2次安倍政権の途中での発行となっている。日本の政治・政策決定が「政治主導」「官邸主導」、要するに内閣府なり内閣官房に権力を集中し、そこで決定をし、そういったトップダウンの決定を各省庁におろしていき、そこで実際の実行に落とし込んでいくという形のことである。本書は、その「政治主導」「官邸主導」がどのような経緯を経てきたものかを、丁寧に説明している。 1996年に「改革」を謳って首相の座に就いたのは、橋本龍太郎であった。橋本政権から、小渕・森と政権が渡っていく中で、「政治主導」「官邸主導」のための、「政治改革」の制度改正がなされた。しかし、彼らは拙速な実行を行わず、「政治改革」で設計した制度が、うまく「作動」するように、時間をかけて綿密な準備を行った。そして、その果実を受けることになったのが、小泉政権である。小泉政権は、「政治主導」「官邸主導」で政治が進んでいった最初の内閣であるが、それは、うまく機能していたと筆者は評価している。準備に時間をかけただけのことはあったということである。 ところが、第一次安倍政権は、それを壊してしまう。当時の(というか後年もそうだろうが)安倍首相は、官僚に対して強い対抗心・敵愾心を持っており、小泉政権時にうまく機能していた仕組み以上に、更に「政治主導」「官邸主導」の仕組みを作ろうとして、政治がうまく機能しなくなったと筆者は述べている。その後の、福田・麻生内閣で元の仕組みに戻そうという動きがあったのであるが、いずれも短命で終わってしまい、大きな効果を発揮できないまま、民主党政権への政権交代が起こる。民主党政権は、第一次安倍政権と同じ、あるいは、それ以上に、「政治主導」にこだわった政権である。しかしながら、民主党政治家の経験のなさ(だって初めて与党となり、初めて政権運営をすることになったのであるから)も相まって、再び、政治と官僚の間に対立が生れ、スムーズな政治の流れが断ち切られてしまう。 第二次安倍政権は、この民主党政権に輪をかけて「政治主導」「官邸主導」を謳った政権であり、官僚に対しての人事権を握る等によって、強権的に「政治主導」「官邸主導」を進めていっており、筆者の評価によれば、本書発行時点(2018年)では、日本の政治と行政は混乱状態にある。 残念ながら、その後の菅・岸田・石破政権が本件について、どういう政権であったのか、あるのかについては、発行時期からして、本書には記述がない。 話を「三位一体の労働市場改革」に戻すと、こういった「新自由主義的で革新的な」政策は、「漸進的改良主義者」である(はずの)官僚からは生まれてこないものだと、(私は)思う。 だから、本政策に対しての疑いは、この「三位一体の労働市場改革」政策は、官僚機構との調整がなされていないものではないか、というものだ。それが、内容が生煮えだったり、根拠がはっきりしなかったりする原因になっているのではないか、という疑いを私は持っているということだ(官僚の側のサボタージュを疑っているということ)。「三位一体の労働市場改革」は、2022年の「骨太の方針」には、影も形もない。2023年の「骨太脳方針」に、「忽然と」と言って良い感じで出て来た政策である。このことも、私の疑いの原因の1つとなっている。 労働政策に限らず、政策を議論し決定していくには、色々な会議や審議会等での議論を経て行われていく。2023年当時は、岸田首相政権であったが、岸田首相は「新しい資本主義実現本部」「新しい資本主義実現会議」というものを新設し、そこで、割合と新自由主義的な議論を行っている。そういった会議での議事録等は公開されており、私がざっと見た感じでは、「骨太の方針」の内容を議論する「経済財政諮問会議」では、「三位一体の労働市場改革」はほとんど議論された形跡がない。一方で、「新しい資本主義実現会議」の中で「三位一体の労働市場改革」は議論されており、それが、唐突に、実際の「骨太の方針」に織り込まれたという印象を受けた。それぞれのメンバー等の詳しいチェックはまだ行っていないが、これも「官邸主導」の実態の一例と言えるのかもしれない。 「三位一体の労働市場改革」は、しかし、まだおおまかな「政策方針」とでも呼ぶべきものであり、それらを実際に政策や法改正に落とし込んでいくには、「労働政策審議会」での議論を経る必要がある。まだチェックしていないが、こちらの議論がどうなっているかも調べておく必要がある。 ちょっと何を言いたいのか自分でも分からない感想になってしまった。 私たちが最終的に目にする政策案や法改正案は、実際には、それに関わる人間、政治側・官僚側・その他の人たちのせめぎ合いの産物なのだろう、ということを思った。
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