眠れる美女

眠れる美女

484円 (税込)

2pt

波の音高い海辺の宿は、すでに男ではなくなった老人たちのための逸楽の館であった。真紅のビロードのカーテンをめぐらせた一室に、前後不覚に眠らされた裸形の若い女――その傍らで一夜を過す老人の眼は、みずみずしい娘の肉体を透して、訪れつつある死の相を凝視している。熟れすぎた果実の腐臭に似た芳香を放つデカダンス文学の名作「眠れる美女」のほか「片腕」「散りぬるを」。

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眠れる美女 のユーザーレビュー

川端康成と言えば、「トンネルを抜けると~」から始まる、静謐で美しい文章を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。なんか難しそう、とか、堅苦しそうとか思ってる人もいるのでは?
ところが、この川端康成という人、実はかなりの変態です。フェティシズムの塊です。それが端的に表れているのが、この『眠れる美女』という小説ではないかと。
薬で眠らされた美少女と添い寝できる秘密の宿──この設定からしてフェチ全開。訪れるのは、すべて「安心できるお客様」である老人ばかり。彼らは美少女の隣に横たわり、肌の温度や匂いを堪能しつつ、過去に通り過ぎていった女のことを夢見るのです。なんともメニアック!
この作品を読むと、凡百の官能小説が健全に思えてくるから不思議です。
元祖ストーカー小説とも言える『みずうみ』も併せてどうぞ。

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2023年08月27日

    「生」も「正」も「性」も超越してしまった。生命も正義も道徳も美も、すべては尊いのだろう。それでも、全てを取り払いむき出しにされた、性(さが)は、ヒトと言わずケモノと言わず、老人も赤子も男も女も等しい気がする。愚かでちっぽけでおぞましくも美しい。行き着く先は全て平等で、白骨をみても、男か女かくらいしか...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年06月05日

     「伊豆の踊り子」を読んで生意気にも川端康成を見くびったのが中学生の頃。思えば小学生の時も「吾輩は猫である」を読まされて夏目漱石を投げ出した。ホント、子供に本を薦める時は気をつけて欲しい。あれは子供には無理だろう。
     中学生の頃の僕が「眠れる美女」を読んでいたらどう思ったかは分からないが、作家「川端...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2020年10月29日

    理解しようとしても、今は無理だろう...
    江口老人が、夜毎娘たちの元へ訪れる所業にである。彼は「生の交流、生の誘惑、生の回復」だと言う。恥も外聞もなく、その枕元に立つ事が死を目前にした者たちの死生観なのか...若い柔肌への関心は「生の執着」ではなかったか...

    0

    Posted by ブクログ 2021年11月27日

    オトラジシリーズ。
    なんてセクシーな一冊。
    直接的な表現はないのにエロ過ぎる。
    それで居て嫌な感じのエロさじゃない。
    川端さんも本当に粋だな~

    1

    Posted by ブクログ 2024年04月28日

    老人が隠れて利用する秘密のくらぶは、薬で眠る美少女と同衾するもの(ただし本当に、寝るだけ)である。三島由紀夫の称賛する「デカダンス」は読み進めるにつれて立ち現れてくるが、最初の方は「なんだこのド変態小説は…」と驚いた。
    この中編は、ほとんどが裸で眠る少女の肉体のパーツに関する描写と、そこから想起され...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2024年02月17日

    初めて読んだ川端康成の小説が、この『眠れる美女』だったのか『山の音』だったのかが定かではない。ただ、好きな小説だった。一緒に収録されている「片腕」もよかった。

    0

    Posted by ブクログ 2023年12月26日

    目次
    ・眠れる美女
    ・片腕
    ・散りぬるを

    読む前に耳にした話では「気持ち悪い」というような話を聞いていたのだけど、実際に読んでみたらちょっと違った。
    確かに気持ち悪くは、ある。
    全裸で眠っているうら若い美女に添い寝するだけの高齢男性。

    金にあかせて、若い美女を貸し切って添い寝するだけっていうのは...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2021年10月17日

    「眠れる美女」
    男性として使い物にならなくなった老人たちには
    自らを恥じる部分がある
    そんな老人たちを相手に、眠らせた若い生娘を用意して
    まるで人形を愛でるように好き放題なで回し
    楽しんでいただこうという
    そういう業態の店があるらしい
    老いたりとはいえ、まだ男性であることを捨てていない主人公は
    店の...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2021年08月22日

    「片腕を一晩お貸ししてもいいわ。」


    川端康成も美しい文を書くのね。
    三島由紀夫が師と仰いだのも納得。
    そして幻想的な短編で編まれた作品でした。

    三島は女という性質を美しく描くのに対し、
    川端は女体を美しく描く、ある種のフェティシズムを感じた。

    0

    Posted by ブクログ 2021年08月07日

    どの作品も発想がド変態

    眠れる美女
    「動」のはずの若さが「静」であるところに
    死に対する表現や物寂しさが感じられた

    片腕
    やばすぎる、腕を入れかえるシーンとか変態すぎて好き

    0

眠れる美女 の詳細情報

  • 映画化

    「桃源郷的娘」

    2022年1月21日公開
    出演:小宮孝泰、川越ゆい

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