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彼女は、真実を撮っているつもりだった。
「不老因子」の発見で脚光を浴びるがん研究者・嘉山宗弘。
彼を追う人気ドキュメンタリー番組「十一時の肖像」の撮影を始めた三田紗矢子は、やがて嘉山の成果の根幹を揺るがす研究不正疑惑に辿り着く。
否定する大学と告発する医師で証言は食い違う。
それでもカメラを回し続けるなかで、疑いは次第に“真実”の輪郭を帯びていく。
疑いを抱いたまま切り取られた世界は、どこまで現実なのか。
記録と虚構の境界が静かに崩れていく――。
【著者略歴】
岩井圭也 いわい・けいや
1987年生まれ、大阪府出身。北海道大学大学院農学院修了。2018年『永遠についての証明』で第9回野性時代フロンティア文学賞を受賞してデビュー。多彩なジャンルの作品を発表しており、近著に『サバイブ!』『真珠配列』『あしたの肖像』『拳の声が聞こえるか』がある。
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Posted by ブクログ
- 嘘も百回言えば、真実になる。
「厄介なのは、本人にも噓をついている自覚がない場合だ。噓も百回言えば、真実になるんだよ。少なくとも当人にとってはな。」
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テレビ局の下請け制作会社で主に報道系を担当する三田紗矢子。入社七年目にして 人気ドキュメンタリー番組『十一時の肖像』に自分の企画書が通る。
三田が追うのは 母親が乳がんを患った時に見つけた、気鋭のがん研究者・嘉山宗弘教授。人間の老化を止め、がんの進行も抑制するとされる「不老因子」を発見し 脚光を浴びる嘉山教授の存在を広く知ってもらいたいと意気込む三田。
しかし、密着取材を続けるうちに 教授の言葉に違和感を覚え始める。
やがて、三田は「不老因子」の研究不正という噂にたどりつき…。
不正が事実であれば 番組は放送できない。はじめは嘉山教授の疑惑を払拭しようと動き始めた三田だったが、 不正の信憑性が増すにつれ 三田の作る「作品」は姿を変えていく。
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岩井さんもインタビューで仰られていたように、「不老因子」は「STAP細胞はあります!」の事件が根底にあるそうです。
誰が嘘をついている?
それともみな真実を語っている?
やばい!面白い!
研究の不正を暴くストーリーのようにみえて
次第に 三田の様子がおかしいことが気になり始めます…。
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「わたしは嘉山教授の不正の証拠を必ず見つける。だって、それが使命なのだから。」
「そこに至るルートが多少ねじ曲がっていても、ゴールさえ正しければ、悪を絶すことができる。」
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はぁぁ〜ずっと心臓がヒリヒリ ビリビリする読書でした。
人が誤った方向に進んでいく様子を読んでいくってさ、ヒリヒリよね。 そしてバクバクでもあるよね。その過程が すごく丁寧に描かれていてね。流石です! どんどん読み進めちゃいます。
で、タイトルの『風車と巨人』とは
セルバンテスの古典名作『ドン・キホーテ』の有名な一節に由来しています。
自分を正義の騎士だと思い込み、風車を巨人と勘違いして突撃していくドン・キホーテの姿は嘉山なのか、それとも…
(Google AIより)
あとね やっぱりね 人が判断を誤る時って その時の精神状態だな〜って改めて思った!
過度なプレッシャーと睡眠不足。そう!睡眠不足!これ本当そう。初めての出産で全然眠れなくなっちゃった時に本気で我が子をどこかに預けようって旦那さんに相談してたこと思い出した。今では不可解な考え! ちゃんと食べてちゃんと寝ろ!!
ってことを客観的に見てくれていた吉沢(突然の)。良い奴だったな。
そしてそして、肝心のラストですが
めっちゃ予想の斜め上!!
これを面白いと捉えるかは あなた次第!!(あたりまえ)
Posted by ブクログ
不老因子の発見者・嘉山宗弘のドキュメンタリー制作をする三田紗矢子が彼の研究不正について追いかける話
自分だけが知っている真実が誰にも信じてもらえなかったとして
それは妄想と何が違うんだろう
主人公が手に取ったのは振るうほど嘘つきになる諸刃の剣
私たちは普段
画面の向こうで起きる炎上や告発
悪意や暴走を
誰が正しくて誰が嘘をついているのか
分かりやすい物語にしてエンタメとして消費している
その向こう側に本人にしか見えていない真実があるかもしれないのに
真実のためについた嘘は真実そのものまで嘘にしてしまうんだろうか
「あれは風車だ」と笑う人間の目には見えない巨人が
本当はそこにいるのかもしれないのに
多分この感想はドン・キホーテ側に寄りすぎている
Posted by ブクログ
医学分野での研究不正疑惑を暴くというあらすじに飛びついた感じで手にしたものの、私の予想とはかけ離れた着地点で驚き!
本のテーマから、STAP細胞とその研究者をイメージした人が多いようだけれど、私はまた別の研究者のイメージだった。(誰とはいわないけど)
近年の様々な社会現象から医学研究そのものが、科学ではないな…と感じている私にとって、論文というものはやはりあてにならないシロモノだなと実感してしまった。
論文にさえしてしまえば、再現可能かどうかも問われないなんてなんでもありじゃないかと思う。
岩井圭也さんがそのあたりを見事に暴いてくれたのはさすが!
嘉山教授も三田も真実を追究したり証明することに夢中になりすぎて、何が真実か分からなくなってしまったのだろうけれど、こういうことは少なくないはず。
嘘がよくないことは当たり前だけど、大切なものを守るために時と場合によって人は嘘を使いこなして生きているわけで…
その嘘の重大性も大切なものの重大性も人によって受け止め方は様々なのだ。
研究者が夢を追いかけることは素晴らしいし、始めは世界を救うためにと思って研究するのだろう。けれど、きっと様々なしがらみで本来の意思が失われたり歪曲してしまうことは少なくないはず。
お金や名誉といったものに縛られずに研究できればよいのだろうけれど、なかなかそうはいかない。
医学というものが、こんなに崩れやすい論文を元に人の生命を握っている…
みんなもっと気づけばいいのに…と改めて思う読書でした。
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