Posted by ブクログ
2020年07月31日
一言で言えば、ラスと王蜜の妖主との、親子の心理的な葛藤を描いた本。
女皇に絶対的服従を示す父、王蜜の妖主の様子を見たラスは、そこに親子の情など感じられぬばかりか、父は女皇を選び、娘のラスを切り捨て、無能な者と断じたと思って心が折れかける―。という話です。
一場面に一冊かぁ…とぼやきたいところでは...続きを読むあります。肉親に対する極端なコンプレックスは、いい加減それだけで物語を引っ張るのは無理な題材なので、ここらでスッキリさせて欲しい。ですからそれができるなら、1冊使ったことは、後に引きずるより、まぁいいかなと甘く考えました。
スラヴィエーラさんが王蜜パパに啖呵切るところは、スッとした!ほんと、拘っててうだうだ言ってるラスもラス(笑)。もうそろそろ脱皮しようね、って感じだったし、あの場面でさっと空気が変わりましたね。ちょっと明るい光がさした感じ。女皇に対してだって、実は王蜜パパ、なにか思うところがあって戦うのを止めてる感じに読めるんですよね。ラス寄りの思惑が隠れてるんじゃないのかなあ。女皇にも義理は立てるけど、娘にも役に立ってあげるくらいのことはしそうな感じがします。この親娘対決にまず決着つけなくちゃね。
それと、外伝の紫紺の妖主様が麗しくて、彩糸さん絡みの物語、悲しくて綺麗で、すごくよかったです。でもね。外伝集みたいな感じで外伝だけ出して、本編を1冊にした方が読者は嬉しいのかな。それより外伝がセットでもいいから、早く次を出してくれる方がいいのかな。ちょっと複雑です。
このシリーズについては、どんな筋書きだったか忘れないために書いてる感じのレビューになってるのでこのシリーズをご存じない方の参考には、あまりならないかなぁ。