作品一覧

  • パリ ――都市の記憶を探る
    3.0
    1巻660円 (税込)
    華やかな表情の内側に無数の集合的な記憶を包みこんだ都市、パリ。著者は濃密な象徴性を帯びた都市の身体に直接触れ、その息づかいにひたすら耳を傾けながら、埋もれた記憶を丹念にひとつひとつ掘りおこしていく。そこに立ち現れるのは、重層化した歴史の深みから発するこの都市ならではの稀有な輝きにほかならない。パリの魅力の源泉に迫る一冊。
  • フランス的思考 野生の思考者たちの系譜
    4.2
    「理に合ったもの」だけをすくい上げ、正確な判断を得ようとする、デカルト起源の合理主義。自国の言語・歴史の普遍性に対する信頼から根を広げた普遍主義。両者こそフランス的思考の根幹とされるが、一方には、反合理主義・反普遍主義の脈々たる流れがある。この地下水脈から養分を吸い上げ、豊饒な地平を切り開いたサド、フーリエ、ランボー、ブルトン、バタイユ、バルトらを読み解くことで、フランス的思考の本質に迫る。
  • 危機に立つ東大 ──入試制度改革をめぐる葛藤と迷走
    -
    1巻880円 (税込)
    大学という場が危機に直面している。日本のリーディング大学である東大においても、秋季入学への移行、英語民間試験の活用といった問題をめぐって目的と手段の逆転した議論が進行し、本来あるべき思考の筋道が見失われている。制度改革をめぐる混乱がここまで尾を曳いたのは、日本社会を透明な霧のように包む「諦念」や「忖度」の空気が、大学という学問の府にまで浸透してしまったせいではないだろうか。本書では、教育・入試制度改革の顚末と問題に至った経緯を見直し、大学のあるべき姿を提示する。
  • 東京大学の式辞―歴代総長の贈る言葉―(新潮新書)
    4.7
    1巻924円 (税込)
    明治十年の創立から東京大学は常に学問の中心としてあり続けた。大震災、戦争、大学紛争、国際化――その歩みはまさに日本の近現代史と重なり合う。時代の荒波の中で、歴代の総長たちは何を語ってきたのか。名式辞をめぐる伝説、ツッコミどころ満載の失言、時を超えて紡がれる「言葉」をひとつずつ紐解く。南原繁から矢内原忠雄、蓮實重彥まで、知の巨人たちが贈る、未来を生きる若者たちへの祝福と教訓!
  • 帝国大学の誕生
    5.0
    東京大学が「帝国大学」だった頃、すべては始まった―― 「東大」出生の秘密を暴き、その虚像と実像を抉り出す!  * 明治19年の帝国大学の誕生は、のちの東京大学をも貫く基本性格を確立した歴史的特異点であった。エリート官僚養成、アカデミズムの独占的権威、立身出世・受験競争の頂点――伊藤博文、森有礼、井上毅ら設計者たちの政策的意図を辿りつつ、今日まで続く東大の本質とイメージの淵源を明らかに! [目次] 第一章 帝国大学の出自――リヴァイアサンの生い立ち 第二章 帝国大学のモデル――ドイツの大学から学ばなかったこと 第三章 官庁エリートの供給源――工科系から法科系へ 第四章 出身と出世――上昇気流にのって 第五章 明治アカデミズムの体質――講座制と研究 第六章 もしも帝大がなかったら――批判的展望 あとがき 解説 科学史/大学史を超えた「学問の歴史」 石井洋二郎
  • 教養の鍛錬 日本の名著を読みなおす
    4.0
    西田幾多郎『善の研究』、阿部次郎『三太郎の日記』、倉田百三『愛と認識との出発』、九鬼周造『「いき」の構造』、和辻哲郎『風土』、吉野源三郎『君たちはどう生きるか』――中高生から大人まで、誰もが一度は聞いたことのある日本の教養書たち。しかし、名前だけ知っていてもページすら開いたことのない人がほとんどでは? そんな「読んだふり」をしてしまいがちな作品を、東京大学教養学部長を務めた著者が再読。自身も約半世紀ぶりに読む教養書たちは、現代を生きる私たちにどのような示唆を与えてくれるのか。名著の熱を味わいながら教養とはなにかを考える。
  • モイラ
    3.5
    1巻1,276円 (税込)
    「君ほどは白からず……」──ジョゼフは白い肌に赤毛の十八歳.人の心を騒がす美貌ながら,極度の潔癖さと信仰心ゆえに学生らしい気軽な会話を嫌悪し,好意を示す人たちと事あるたびに衝突する.孤独の中で,夢想にふける彼の前に運命の少女モイラが現れ…….一九二〇年のヴァージニアを舞台に,端正な文章で綴るグリーンの代表作.

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ユーザーレビュー

  • 帝国大学の誕生

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ・帝国大学のモデルはドイツではない。ドイツは「学問の自由ー修学の自由、教授の自由」(学年制ではなく試験はなく卒業資格もない。)。帝国大学成立までは、大学南校ー東京大学、大学東校ー医学校(独)工部大学校(英仏蘭独)、司法省法学校(仏)が並び立ち、当初は工科が優勢。
    ・帝国大学は官僚養成だが、ドイツ・オーストリアの官房学ではなく法科中心。立法による近代国家育成が目的であり、工科をしのぐ。法科は、司法省法学校、東京大学法学部・文学部政治及理財学科がまとまる。
    ・官僚養成は、フランスを除くヨーロッパの古典学重視ではなく法学重視ではあったが、法学といっても実学・技術法学ではなく虚学法学。高級官僚の権威付

    0
    2025年08月30日
  • 東京大学の式辞―歴代総長の贈る言葉―(新潮新書)

    Posted by ブクログ

    常に世の注目を浴びる東京大学の式辞集です。

    「今年はどんな内容を語ったのか」とニュー
    スになることは多いです。

    そんな過去の式辞が一冊の本としてまとめら
    れています。「東京大学歴代総長式辞告辞集」
    です。

    東京大学創立120周年を記念して刊行され(
    1997年)、それまでの式辞をまとめたもので
    す。

    そこでは19世紀末から20世紀末までの内容
    に限定されますが、時代背景を密接に関わる
    式辞内容に驚かされます。

    この本ではそれらの式辞を紹介して、時代と
    共に移り変わる式辞内容を紹介しています。

    日本の頭脳の頂点でもある東京大学の総長で
    あっても、戦前戦中はこういう考えだったの
    か、と

    0
    2025年01月20日
  • 東京大学の式辞―歴代総長の贈る言葉―(新潮新書)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    第二次世界大戦中、東京大学の総長であっても自由に発言することが許されず、戦争を賛美するような式辞しかできなかったというのが、まず驚いた。それもあってか、戦後の総長の「軍閥・超国家主義者等少数者の無知と無謀と野望」によって推進された物であったと戦争を一刀両断しているのは気持ちよかった。
    矢内原総長の旧制の学生と新制の学生の対比も面白かった。どちらも、東大生という日本のトップレベルの学生たちに対し、一長一短を言っているところがとくに。また、寛容の精神にも触れており、現代にも通じる話もあったが、筆者が言うように寛容の精神が大切ではあるものの、寛容しすぎのいまの社会もどうなのかと思ってしまった。

    0
    2023年05月13日
  • フランス的思考 野生の思考者たちの系譜

    Posted by ブクログ

    おもしろかった!
    特に、バタイユとバルトの章は秀逸!
    内田先生の『寝な構』以来、久しぶりに思想関係の本を読んで興奮した!

    0
    2011年01月27日
  • 教養の鍛錬 日本の名著を読みなおす

    Posted by ブクログ

    その時代の知識人や学生には必読の書とよばれるものを多く取り扱ったらしい。題材が傾向として京大文学部界隈、という気もしたが、必ずしも全てがそうではない。ただ、西田幾多郎『善の研究』 が軸になって展開されている所もあり、そういう印象を受けた。尚、恥ずかしながら紹介される書を殆ど私は読んでいない。解説を見ながら、何だか疲れそうだなと思ったが、この疲労感こそ読書の神髄だという事は実感として分かっている。ただ半端な気持ちで手に取れないという逡巡もある。教養の鍛錬とは、それなりに覚悟を有するもので、複雑だ。

    著者の考える教養とは。以下に文章を抜粋しながら考える。そして、本著で紹介される本の内容や順番にも

    0
    2024年12月26日

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