石井洋二郎のレビュー一覧

  • 帝国大学の誕生

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    ・帝国大学のモデルはドイツではない。ドイツは「学問の自由ー修学の自由、教授の自由」(学年制ではなく試験はなく卒業資格もない。)。帝国大学成立までは、大学南校ー東京大学、大学東校ー医学校(独)工部大学校(英仏蘭独)、司法省法学校(仏)が並び立ち、当初は工科が優勢。
    ・帝国大学は官僚養成だが、ドイツ・オーストリアの官房学ではなく法科中心。立法による近代国家育成が目的であり、工科をしのぐ。法科は、司法省法学校、東京大学法学部・文学部政治及理財学科がまとまる。
    ・官僚養成は、フランスを除くヨーロッパの古典学重視ではなく法学重視ではあったが、法学といっても実学・技術法学ではなく虚学法学。高級官僚の権威付

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    2025年08月30日
  • 東京大学の式辞―歴代総長の贈る言葉―(新潮新書)

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    常に世の注目を浴びる東京大学の式辞集です。

    「今年はどんな内容を語ったのか」とニュー
    スになることは多いです。

    そんな過去の式辞が一冊の本としてまとめら
    れています。「東京大学歴代総長式辞告辞集」
    です。

    東京大学創立120周年を記念して刊行され(
    1997年)、それまでの式辞をまとめたもので
    す。

    そこでは19世紀末から20世紀末までの内容
    に限定されますが、時代背景を密接に関わる
    式辞内容に驚かされます。

    この本ではそれらの式辞を紹介して、時代と
    共に移り変わる式辞内容を紹介しています。

    日本の頭脳の頂点でもある東京大学の総長で
    あっても、戦前戦中はこういう考えだったの
    か、と

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    2025年01月20日
  • 東京大学の式辞―歴代総長の贈る言葉―(新潮新書)

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    第二次世界大戦中、東京大学の総長であっても自由に発言することが許されず、戦争を賛美するような式辞しかできなかったというのが、まず驚いた。それもあってか、戦後の総長の「軍閥・超国家主義者等少数者の無知と無謀と野望」によって推進された物であったと戦争を一刀両断しているのは気持ちよかった。
    矢内原総長の旧制の学生と新制の学生の対比も面白かった。どちらも、東大生という日本のトップレベルの学生たちに対し、一長一短を言っているところがとくに。また、寛容の精神にも触れており、現代にも通じる話もあったが、筆者が言うように寛容の精神が大切ではあるものの、寛容しすぎのいまの社会もどうなのかと思ってしまった。

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    2023年05月13日
  • フランス的思考 野生の思考者たちの系譜

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    おもしろかった!
    特に、バタイユとバルトの章は秀逸!
    内田先生の『寝な構』以来、久しぶりに思想関係の本を読んで興奮した!

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    2011年01月27日
  • 教養の鍛錬 日本の名著を読みなおす

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    その時代の知識人や学生には必読の書とよばれるものを多く取り扱ったらしい。題材が傾向として京大文学部界隈、という気もしたが、必ずしも全てがそうではない。ただ、西田幾多郎『善の研究』 が軸になって展開されている所もあり、そういう印象を受けた。尚、恥ずかしながら紹介される書を殆ど私は読んでいない。解説を見ながら、何だか疲れそうだなと思ったが、この疲労感こそ読書の神髄だという事は実感として分かっている。ただ半端な気持ちで手に取れないという逡巡もある。教養の鍛錬とは、それなりに覚悟を有するもので、複雑だ。

    著者の考える教養とは。以下に文章を抜粋しながら考える。そして、本著で紹介される本の内容や順番にも

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    2024年12月26日
  • 教養の鍛錬 日本の名著を読みなおす

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    私には難しいと分かっていながら挑戦した本。

    日本の名著として取り上げられている本の中で、読んだことがあったのは、「君たちはどう生きるか」だけだった。筆者のように批判的精神を持ってして読んでいなかったため、書かれている内容に新しい発見があった。自分は本当の意味で頭を使って読んでいなかったことを思い知らされ、ガツンとやられた感じ。

    読書をしながら、もっと主体的に考えなければ。

    脳みそが本当に疲れた感じ。いきなり運動をして筋肉痛にになるように、脳みその使っていない部分が私にはたくさんある。

    「君たちはどう生きるか」は再読してみたい。そして、和辻哲郎「風土」から読んでみようと思った。

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    2024年08月21日
  • モイラ

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    序盤から主人公の心理描写が続き、途中で辛くなってくるが、最後の結末までたどり着くと、妙な納得感がある。
    読み直すと、前半から違った視点で読めそう。
    訳者による解説も充実。

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    2024年02月06日
  • 東京大学の式辞―歴代総長の贈る言葉―(新潮新書)

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    能力と機会を与えられたものが負う責任
    時間軸に沿って時代をあぶり出す
    総長が国立大学の頂点に属すること、社会に出るにあたり、何を伝えたか
    何が変わり普遍的なことは

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    2023年12月15日
  • フランス的思考 野生の思考者たちの系譜

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    サド
    過激過ぎて笑える。悪などくだらぬ。善もくだらぬ。神もいらぬ。個人の欲望こそが全て。弱者から全てを奪え。自然に従い自らの欲望を満たすことだけに熱狂せよ。

    ランボー
    ランボーの詩人論

    ランボーの詩人論はデカルトの「我思う故に我あり」に従い、私がーーを考えるという態度に真っ向から反対するとこからはじまる。言葉は自身が生まれる前に存在し、特定の人物の所有物ではなく、誰かのものである。なので、言葉に準ずる思考も誰かのものであり、それゆえに、誰かが私の中において考える、つまりデカルト的な「私は私」ではなく「私は一個の他者」という態度をとる。ちなみに、この「私は一個の他者」という態度=人が私におい

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    2022年02月23日
  • フランス的思考 野生の思考者たちの系譜

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    サド、フーリエ、ランボー、ブルトン、バタイユ、バルト。6人のフランス人を合理的、普遍的と定義されがちなフランス的な思考に相対する存在として紹介。6人に共通する思考は、「ボーダレス」「均一化」というような、区別や垣根のない世界。

    タイトルから、フランス人特有の思考があるのかと想像していたが、それぞれが独自の考えを持っている。そのどれもが枠にはまらない、はまろうとしないという意味で共通しているのかなと感じた。

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    2019年05月06日
  • フランス的思考 野生の思考者たちの系譜

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    2013年4冊目
    フランス的思考とは何か。的思考ということから、学問的に、純粋にフランス人に共有されている思考形式を研究した本ではない。
    フランス的思考を世間一般でも認識されている合理主義および普遍主義に基づく思考と定義してから出発し、その思考に反発する形で表れてきた人々の思考から、改めて合理主義や普遍主義を問い直すという形をとる。
    フランス人の考え方とは何か、という期待を込めて読むと期待外れは否めないが、フランス的思考の根源を問う流れは非常に面白かった。

    この本の中では6人の思想家からフランス的思考を問うている。たとえば最初にはサドがあげられる。彼はフランス的思考の合理主義から出発して通常

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    2013年03月30日
  • フランス的思考 野生の思考者たちの系譜

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    ネタバレ

     サディストの語源となったマルキ・ド・サドの思考はいっそ清々しいほどに悪人そのものだ。彼は自分の快楽の為に他者を傷つける。誰を犠牲にしても自分の幸福を優先する様は、どこの物語に出しても映えるだろう。被害者の方々には申し訳ないが、思考というものは片寄っていれば片寄っているほど見ている側はおもしろい。私はおもしろい彼サドを本作で好きになった。
     本作には思考が片寄りまくった人物しか出てこない。別に共感はできなくとも、おもしろいと感じる人物はきっといる。ぜひ探してみてほしい。

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    2012年04月08日
  • モイラ

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    遠藤秀作経由で読んだ。敬虔なキリスト教徒で潔癖すぎる主人公が、モイラという女性に誘惑されるという話。正直、この小説で描かれてる1920年代でも古いとされている価値観を、現代の私は更に理解しがたい。

    敬虔なキリスト教徒や過去の恋愛観を知るという意味では有用かもしれないが、古典的な感じは否めない。

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    2025年06月27日
  • パリ ――都市の記憶を探る

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    越川先生が勧めて下さった本。
    3度目のパリの前に読んでいる。

    2009年7月5日
    パリだけでなく、「都市」という存在そのものについて考えさせられる一冊。旅行前に読むには最適かと思われる。

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    2009年10月07日