トルーマン・カポーティの作品一覧
「トルーマン・カポーティ」の「ティファニーで朝食を(新潮文庫)」「草の竪琴」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「トルーマン・カポーティ」の「ティファニーで朝食を(新潮文庫)」「草の竪琴」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
小説・文芸
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Posted by ブクログ
2025年刊、村上春樹訳。
「訳者あとがき」には、十代の頃、カポーティの短篇を英文で読み、その文章の素晴らしさに挫かれた(自分なんて、とてもこれほどの小説を書けっこない)とある。でも、なんとか30歳で小説が書けるようになった。その最初の小説のタイトルは、カポーティの作品中のフレーズからインスパイアされた『風の歌を聴け』。
確かに、カポーティの文章は、難しい単語を使わず、構文もシンプル、すっと入っていける。だから、もとの文体の雰囲気を保ったまま日本語にするのは、かなりの難題。村上春樹が『草の竪琴』でどう悪戦苦闘しているか。新潮文庫の大澤薫訳を読んでいるこちらとしては、どうしてもそういう読み方をしてしまう(ちょっと作品負けしている気もする)。
『草の竪琴』は自伝的要素の強い小説。幼ななじみハーパー・リー(『アラバマ物語』の作者)と一緒に遊んだツリーハウスも登場する。しかし、伯母さんのドリー、どう読んでも30代なんだけどな。
Posted by ブクログ
表題作『ティファニーで朝食を』でオードリー・ヘプバーンの映画を思い浮かべる人も多いと思うが、そちらは未視聴で読んだ。作中のホリー・ゴライトリーは溌剌としたヘルシーな印象で、自由な猫のようにプリズムが弾け飛んだようなギラギラした瞳をした女性だったので、上品なイメージのヘプバーンが演じたことが意外だった。実際、著者も映画化の時にオードリー・ヘプバーンがホリーを演じると聞いて、多少不快感を露わにしたとのことだった。
この作品の中にはティファニー以外にも短編が3作収録されている。どれも純真の象徴としての存在が登場し、それが暗いテーマの中で対象物として良い働きをする。以前カポーティの『誕生日の子どもたち』を読んだが、彼はそういう純真さがもたらす悲哀のようなものを描くのが上手いと思う。何より、村上春樹の訳が読みやすくて良かった。
Posted by ブクログ
カポーティが紡いだ文章はそれがこの世に顕現したこと自体に畏怖を感じるレベルであり間違いなく唯一無二の作家なのだが、雰囲気先行すぎて内容が今ひとつ頭に残らないことも多い。
その点この「草の竪琴」はプロットが非常にわかりやすく、それでいて文章の魔術的な魅力は他に劣らないため、これが個人的にカポーティの一番好きな作品である。
文章を読んでいてその恐ろしい完成度の高さに打ちのめされた体験は思い出す限りでは夏目漱石の「門」の二人が恋に落ちる場面が真っ先に思い浮かぶが、この草の竪琴いちばんの見せ場である雨の降る森のシーンは、久々にこの打ちのめされる感覚を味わった。あまりに文章が上手すぎる。この美しさをぜひ原著で読めるようになりたいと思えるほど素晴らしい。
過去のエッセイやあとがきを読む限り村上春樹はフィッツジェラルド、カポーティをそれぞれ別の方向性で特別視しており、さらにチャンドラーやドストエフスキーなども重要な作家だと捉えていると、個人的に認識しているが、彼自身の文章を読むとやはりフィッツジェラルドやチャンドラーよりはカポーティの方が親和性を感じる。あとがきに書かれている「カポーティショック」はおそらくクリエイターとして成功できるだけの審美眼を備えたあらゆる創作家が一度は経験しているであろう類の苦悩であり、あの村上春樹がそれを感じるほどの作家であるというだけでカポーティの凄さは十分に伝わる。
「夜の文体」の短編3本は、同い年である安部公房の著作に近いものを感じる。不気味で美しい、繊細なガラス細工のような作品。安部公房はもっと重厚でガラス細工というより彫刻のイメージではあるが。
Posted by ブクログ
13歳の主人公ジョエルが、生き別れた父に会いに南部のヌーン・シティーに行き、父の屋敷で、父の後妻のエイミーやそのいとこのランドルフ、女中のズーと暮らす中で、病気で寝たきりの父に本を読んであげたり、不可解な大人たちに振り回されながら日々を送る。
蠱惑的な場面の描写はいかにもカポーティらしい。
仲良くなったアイダベルと釣りに行く場面は、自然の美しさと思春期の二人の世界に引き込まれるように読んだ。
ジョエルが、破滅的な人生を送る大人たちを顧みつつも、少年時代からの一歩を踏み出そうとするラストが良い。
アメリカ南部の暮らしのどこか気だるげな感じ、マッカラーズの小説に通じる所があって、私は好きです。