沢村鐵の作品一覧
「沢村鐵」の「クラン」「警察小説アンソロジー」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
沢村鐵『処刑国会』双葉文庫。
沢村鐵の小説の中では一番面白かった。
今の日本の政界は本当に狂っている。それにも関わらず、日本人は何も行動を起こさないという不可思議。与党は旧統一教会というカルト教団と癒着し、集票と裏金作りに勤しみ、宗教団体を背景とする政党と連立政権を組むという異常な状況だ。さらには原発利権や東京五輪、コロナ禍などを巡る搾取の構造。非正規雇用を増やし、異常な物価高を引き起こし、今さら少子化を叫ぶ、馬鹿げた政府の対応。このままだと日本人は間違いなく政治家に殺されるだろう。
そんな政治への不信感と怒りが沸々と伝わってくるような過激なエンタメ小説であった。
通常国会の開催初日に所信表明演説の最中に首相が突然倒れ、直ぐに救急隊員が駆け付ける。しかし、救急隊員の正体はテロリストで様々な覆面や被り物の異形の集団は衆議院本会議場を占拠し、衆議院議員の国民裁判を開始する。
謎の首謀者『コッカイくん』は、議員たちの裏金問題、カルト宗教との癒着、原発問題などに関する質問への回答の真偽を最新のポリグラフで判定し、全世界生中継の状況下でネット投票による判決を下す。
幹事長をはじめとする与党の大物議員に次々と死刑判決が下され、別室で死刑が執行される中、警視庁公安部の幡多充はテロリストの正体を探り、突入の準備を進める。衆議院には議員控室に警察学校同期で元捜査一課刑事で今は与党議員の秘書を務める知念が閉じ込められていた。幡多は知念に連絡を取り、情報収集を試みる。
本体価格900円
★★★★★
Posted by ブクログ
ふだん警察小説など読まない私がこのシリーズを手に取ったのは友人が面白いと薦めてくれたからだが、見事にはまった。
文章にリズムがあり、キャラクターの書き分けが的確にできていることから、相当に力のある書き手だという印象を受ける。岩沢、上郷、区界の描出が特に際立っている。
これほど登場人物が多く複数のストーリーが同時並行するのに、混乱することはなかった。ちょうど完結のタイミングで、ラストまで一気読みできたのも良かったのだろうが。
ありがちな娯楽小説になっていないことが何より好感が持てる。ただの売れ線狙いではこんな構成や終わり方を選ばないだろう。警察の闇にとどまらず、もっと大きな闇を捕らえようとしており、深いテーマ性を感じる。
実に興味深い作家に出会えた。近刊は全く別のジャンルらしいし、今後は警察小説以外のものを読んでみたい。