坂野潤治の作品一覧
「坂野潤治」の「〈階級〉の日本近代史 政治的平等と社会的不平等」「近代日本とアジア ──明治・思想の実像」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
幕末から昭和初期までを解説する一冊。
教科書の年表では1行で述べられる事件・出来事を有機的なものとして関係づけていることに価値がある。
たとえば、
板垣退助がうっかり(?)「納税者には政治参加の資格がある」と書いたことが、当時唯一の国税(地租)納税者であった地主層の政治意識を刺激し、開設された国会においては地主層の主張(地租軽減)が主流になり、「超然主義」を生んで膠着状態になったが、日清戦争の賠償金を地方振興に回すことで地租軽減の代わりとし(インフレによって絶対額であった地租の負担が相対的に低下したこともあって)、政府と結びついて利益誘導を図る自由民主党の源流が生まれた…
のような感じで、連続的な因果関係が述べられている。
一方で、その時々において複数の主張・勢力が争っている様も描かれていて、歴史の進展が一直線な、必然的なものではないこともわかる。
それだけのことを丹念に述べるのだから、新書版で400ページを超える大部になるのも無理はない。
その作業を追いかけて読み終えたところで「あとがき」の一文はとても説得力がある。
「「国難」に直面すれば、必ず「明治維新」が起こり、「戦後改革」が起こるというのは、具体的な歴史分析を怠った、単なる楽観にすぎない。」
Posted by ブクログ
桂園時代を明治国家体制の象徴的な到達点として見た後に、大正期にそれが崩れていく様子を丁寧に追う。
大変わかりやすく導入部で桂園期の政治状況が述べられる。
年表では一見不自然に繰り返す桂・西園寺・桂・西園寺・桂……
それは軍を中心とした藩閥や官僚閥の代表者と、有権者である農村地主の代表者が交互に政権を担う政治体制だった。
昭和期の政党内閣期と軍閥支配の時代を思えば、確かに教科書的には安定したという形容詞が付くのだろう。
しかし内実は日露戦から慢性的となった陸海軍の予算要求と地租の増税と財政状況の悪化が解決しない状況だった。
その中でおこる第一護憲運動や欧州大戦などが大きく日本政治の環境とプレイヤーを入れ替えさせる。
大隈内閣や原内閣の後に日本が大衆社会への階段を登ることとなり、さらには大正デモクラシー期を迎えることとなることを考えれば、欧州で世界大戦による近代の黄昏を迎えたことと軌を一にして、日本でも大正政変によって近代から現代への萌芽が発生していたように思う。有権者の拡大は、もはや政党を農村地主のものにさせず、桂園時代を生じさせず、果てには極端なポピュリズムを生んだ。歴史は後戻りしなかった。