小林恭二の作品一覧
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Posted by ブクログ
はじめ、「季語がないからこれは俳句ではありません!」と声高に言うおばちゃんの顔が脳裏に何回も浮かんだ。が、すぐにそんなことはどうでもよくなる。
俳壇を描いた文芸小説かと思いきやシンガポールやインドの独立の話になり、スパイ冒険小説の様相を呈したかと思えば第二次世界大戦前夜の軍事物みたくなったり。はては、手紙文学にもなる。手紙は笑った。
途中、大学の講義を受けているような気になったと思ったら作者は大学教授でした。
史実なのやらフィクションなのやら。細かい史実とか盛りだくさんで勉強になるし、リアリティ半端ない。
三鬼は架空の人物と疑って読み始め、途中で検索したら本当にいた。よくよく検索したら市子とのロマンスはフィクションかと思う。けど、最後のパーティは物語のラストを飾る美しい風景で、ぐっときますね。
面白かったです。
Posted by ブクログ
神戸に暮らし初めて 十数年
インド人のオーナーのマンションにお住まいの
尊敬する友達からお聞きしたお話
1940年ごろにはすでに
当時、神戸の港の山側に それはそれはたくさんの異国の方が暮らしていた
インド人、エジプト人、中国人、コリアン、
イタリア人、ロシア人、ユダヤ人、ドイツ人
……
さまざまな国の人たちがいた
戦火を逃れて暮らして、
ようやく日本に辿り着いた人たちも
ずいぶんおられた
その空気が色濃く残っている
その時代に この神戸に暮らすことに
なったお一人が 斎藤三鬼さん である
その時のルポルタージュを
三鬼さんが綴られて
「神戸.続神戸」と言う一冊となって
私たちは味わうことができる
その斉藤三鬼さんが
生き抜いて来られた
その時代の背景
それも 通り一遍のものとして
ではなく、実に詳細に語られていく
三鬼さんの
斉藤一族の家系の話はむろんのこと、
その時代の東南アジアの戦時下に巻き込まれて
いく情景のリアルなこと、
その時代の 俳句文芸界の人びと、石田波郷さんの人物描写、高浜虚子さんの登場と伊予弁にはびっくり!
いやあ 最後の最後まで 面白く
堪能させてもらえました
前述の「神戸・続神戸」を
読み直す、大きな楽しみができました。
Posted by ブクログ
西東三鬼という歌人を初めて知った。作品(俳句)も初めて知った。どう考えてもいい方向に進んでいくはずのない、息苦しい時代の話は、読んでいて辛いのだが、目を背けないというか、少しでも知った気になっておくことは、大事だと思う。特に、きな臭さを感じる今の時代は。
とても映像的な作品で、読んでいて、登場人物たちの姿、服装や声、音楽が、ほぼ脳内で再生されていた。読み終わったあと、三鬼の情報をあれこれ検索したのだが、私の脳内の三鬼の方がはるかに男前だった。
この本に書かれた理由が真実かどうかはわからないが、何の理由であれ、権力者の都合や曲解、こじつけによる弾圧は、頼むから二度と起こらないでほしい。今現在、世界中の大国の国家権力者が似たようなことをしていることに絶望しつつも、そう思わずにはいられない。
Posted by ブクログ
西東三鬼が好きなので読んだが、いやあ、とんでもない傑作だった。小説でなければできない企みに溢れ、正岡子規以降の俳句史(それも三鬼だったらこう見たであろう)も俯瞰でき、第二次世界大戦前夜の日本、アジアの空気がひしひしと伝わってくる。声高ではないがひたすら反戦を詠み続けた三橋敏雄が信頼できる若手として描かれているのも嬉しい。エピローグによると作者が師事していたということか? 高浜虚子にもてっきり批判的かと思ったが、そんな凡庸な描き方はしていない。
作者自身が俳人であり、膨大な知識に裏打ちされたからこそ書けた作品だろう。そして、なんと見事な文章。三鬼が何人かに出した手紙の書き分けも実にスリリングだった。
情報局が内閣直属になったこの時代がまさに今とそっくりであることに慄然とする。今この本を書いた意味はそこにあるのではないか。
小林恭二、なんで今日までこの人のことを知らずにきてしまったのだろう。