ヒキタクニオの作品一覧
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Posted by ブクログ
素晴らしく面白かったです。プロローグでまだまだ子供の主人公は薄気味悪い行動をしますが危なっかしく、実行への準備でも幼さが頻繁に現れ、その後の想像以上に緻密な警察の捜査と容赦ない取り調べでは可哀想になってしまいました。14歳になったばかりの少女に対して大人が集団になってのあの尋問は行き過ぎ、耐えられるものではないでしょう。思わず九子さんを応援していました。そして驚愕のフィナーレ。次々と起きる想定外の展開にページを捲る手が止まりませんでした。犯罪行為以外の部分で主人公たちへの共感のような感覚も覚えました。著者の他の作品も読んでみようと思います。
Posted by ブクログ
実に良く出来たミステリだった。
まさか、ずっと聞いているつもりで読んでいた華蓮の言葉が、九子による自作自演だったとは。
九子が1人で行っている、という事実を刑事達に聞かせることを決意した華蓮の気持ちはどんなものだっただろうと思う。
いつかどうにかしないといけないと思っていた…しかし華蓮自身、義足になる程の虐待を受けた事実や、言葉に出来ない九子との奇妙な信頼関係、自身を共犯とすることで九子の罪が軽くなるのでは、九子に代わりに殺意を満たしてもらったような…とにかく、様々な思いがあったのだろう。
里美の、九子の母と愛人に「ヒラメ」という酷い渾名をつけられ笑われたことに殺意を感じた、という供述に尋問していた刑事はまさかそんなことで、と思うが、13歳という多感な年頃、人格形成をこれからしていくような年頃の人間にとってはとてつもなく大きな屈辱であり、殺意を抱くには十分な事実だろう。
現に、世の中虐めにより自殺をする子ども達が後を立たない。
虐めの内容は多岐に渡り、暴力や自殺教唆など悪質極まりないものもあるが、1番数を占めているのは、なんとも幼稚な内容の悪口や集団での無視だろう。
大人からすれば、"たったそれだけ"のことで、彼らは幼い体を電車に飛び込ませてしまったり、ビルからの転落をさせてしまったり、ODと呼ばれる薬物の多量摂取をさせてしまうのだ。
九子のように、あるいは里美のように、まだ形成不全の幼い脳で必死に出した最適解を信じて選んでしまうのだ。
大人達は、もっと教育の実情に真剣に目を向けなければならないと感じる。
大人になればわかる、なんて言ってる内に、また1人、また1人と先ある命が絶たれたり、もしくは大人に騙され、犯罪に手を染めてしまうのだ。
特に虐めの問題は早急に社会問題とするべきだと感じる。
作中、リシンの生成方法を九子がインターネットを使って調べるシーンがあるが、昨今、人を殺す方法なんて、もしくは自身を殺す方法なんて、簡単に手に入ってしまうのだ。
知識とは、完全な人間の中に入ると相応の力になり得るが、不完全な人間の中に入ると、悪質な物に変異をしてしまう。
本来のあるべき形、が失われてしまうのだ。
勿論、完全な人間などこの世には1人も存在しない。しかし、完全度、は存在すると私は考える。
本来力となる知識が、未熟な精神をあってはならない方向へ捻じ曲げてしまう未来を、少しでも減らせる世の中になることを、私は切に願う。