あらすじ
幼い頃、母親に棄てられた過去をもつ深津九子(きゅうこ)。児童養護施設から通う学校では、担任が寄せる暗い欲望を利用して教師を支配していた。同じクラスの西野も九子の下僕だし、里実からは憧れの対象として崇(あが)められていた。ある日、母親の消息を知るチャンスが巡ってきた。運命は激しく動き出す。あんな母親なんていらない。14歳の誕生日を迎える前に、私は……。戦慄だけでは終わらない、読者の心を震わせる書下し長篇完全犯罪ミステリー!
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Posted by ブクログ
先が気になってやめられなくなるほど面白かった。
計画、実行、そして警察からの質問。
とてもスリルがあった。
13歳なのか14歳なのかで変わる運命。
それは警察にとっても重要なことで
刑事たちの焦りもすごく伝わってきた。
帯に書かれていた、震撼するラスト30ページは、驚きと伏線回収で本当に面白い!
そしてそれぞれの辛い感情もしっかり伝わってきた。
苦しい。
なぜ子供を愛せないのか。
子供を愛せないことは
辛くなかったのだろうか。
私達が知って感じなければならないことはまだまだあるのかもしれない。
Posted by ブクログ
タイトル通りの作品でした。
起こった出来事を遡って行く流れで、
そのまま終わるのかと思った所での
衝撃の展開に驚きました。
また、作中の養護施設に視察に訪れる人の事を
他人の生活にズカズカと乗り込み、子供の食事中に『何、食べてるの?』などと聞く奴は人間のレベルが低い、という言葉にどきりとしました。
私にそんな機会は無いが、気を付けようと思った。
Posted by ブクログ
実に良く出来たミステリだった。
まさか、ずっと聞いているつもりで読んでいた華蓮の言葉が、九子による自作自演だったとは。
九子が1人で行っている、という事実を刑事達に聞かせることを決意した華蓮の気持ちはどんなものだっただろうと思う。
いつかどうにかしないといけないと思っていた…しかし華蓮自身、義足になる程の虐待を受けた事実や、言葉に出来ない九子との奇妙な信頼関係、自身を共犯とすることで九子の罪が軽くなるのでは、九子に代わりに殺意を満たしてもらったような…とにかく、様々な思いがあったのだろう。
里美の、九子の母と愛人に「ヒラメ」という酷い渾名をつけられ笑われたことに殺意を感じた、という供述に尋問していた刑事はまさかそんなことで、と思うが、13歳という多感な年頃、人格形成をこれからしていくような年頃の人間にとってはとてつもなく大きな屈辱であり、殺意を抱くには十分な事実だろう。
現に、世の中虐めにより自殺をする子ども達が後を立たない。
虐めの内容は多岐に渡り、暴力や自殺教唆など悪質極まりないものもあるが、1番数を占めているのは、なんとも幼稚な内容の悪口や集団での無視だろう。
大人からすれば、"たったそれだけ"のことで、彼らは幼い体を電車に飛び込ませてしまったり、ビルからの転落をさせてしまったり、ODと呼ばれる薬物の多量摂取をさせてしまうのだ。
九子のように、あるいは里美のように、まだ形成不全の幼い脳で必死に出した最適解を信じて選んでしまうのだ。
大人達は、もっと教育の実情に真剣に目を向けなければならないと感じる。
大人になればわかる、なんて言ってる内に、また1人、また1人と先ある命が絶たれたり、もしくは大人に騙され、犯罪に手を染めてしまうのだ。
特に虐めの問題は早急に社会問題とするべきだと感じる。
作中、リシンの生成方法を九子がインターネットを使って調べるシーンがあるが、昨今、人を殺す方法なんて、もしくは自身を殺す方法なんて、簡単に手に入ってしまうのだ。
知識とは、完全な人間の中に入ると相応の力になり得るが、不完全な人間の中に入ると、悪質な物に変異をしてしまう。
本来のあるべき形、が失われてしまうのだ。
勿論、完全な人間などこの世には1人も存在しない。しかし、完全度、は存在すると私は考える。
本来力となる知識が、未熟な精神をあってはならない方向へ捻じ曲げてしまう未来を、少しでも減らせる世の中になることを、私は切に願う。
Posted by ブクログ
14歳くらいの時に読んで何度も思い返す本、最後のオチがどんでん返しとか御涙頂戴とか思う人もいるかもだけど最後のオチこそが1番リアルな母娘関係だと思った。自分も虐待まがいのことをされてると思っていた時期だったから最後のオチであー親子ってそうなんだ私だけじゃないんだって思えて支えになった。
Posted by ブクログ
育児放棄や虐待、そして未成年の犯罪といった重いテーマをエンターテイメントとしていっきに読ませてもらえました。
そして驚きの結末。
人ってのは厄介な生き物です。
Posted by ブクログ
表紙の圧倒的な強さに心を奪われ、何気なくページを開いた瞬間から、物語は静かに、しかし確実に胸を締め付けてきた。そこには想像以上の痛みが渦巻き、読者の感情を揺さぶる力があった。終盤にかけての追い込みは凄まじく、一つ一つの伏線が巧みに回収される様は圧巻で、息を呑まずにはいられない。
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれて…
毒親なら徹底して毒親でありさえすれば
九子の心は救われたかもしれない。
でも、最後にみせた親らしさを知った事で
愛情を感じる事が出来たかもしれない。
いやぁ、難しい所です。
頭の良い子は、自力で色々調べられるんだねぇ。
九子の執念には脱帽、リシンを抽出できた時には
「おおおお」と感嘆の声が出そうだった。
華蓮の九子を支配する感じがたかが4~5歳
違うだけでこんなにも悪女になるものか。と
思ったが、まさかの展開が待っていたし
里実の九子に対する執着、いちばんのヒトコワは
地味で大人しい里実だったとは。
予想もしなかった衝撃のラスト
お見事でした。
Posted by ブクログ
家庭環境問題。
色々な人が持っている問題。
これは、外見でわかるものもあればわからないものもある。
そして、その人の感情でも動く。
自分だけが辛いわけじゃないんだという気持ちを忘れずに、そして、殺したい人間はいるけど殺していい人間はいないというのをまた誰かに伝えていきたい
Posted by ブクログ
虐待を受けて育った少女の心の闇といえば簡単だけどそんなものじゃない、割り切れない気持ちとか色々混ざってて胸が苦しくなりました。続編も購入済なのでそちらに進んでみようと思います。
Posted by ブクログ
児童養護施設で育った少女が、虐待した母親を毒殺しようとするが。。
最後のどんでん返しというかオチが久々に最後まで分からず、かなり楽しめた。冒頭のエピソードやタイトルなどの回収もきっちり。動機も単純だが明確で妙なリアリティもあった。
Posted by ブクログ
7/23〜7/26
面白くて一気読み!
ラストは「えっ、そうだったの?」と思わず読み返したくなった。
少年法か、、、。
それはそうと、九子のような女性、現実に本当にいそうでより面白さと怖さが増す。
Posted by ブクログ
なかなか面白かったな。二つの意外なトリックが良かった。特に二つ目は想像してなくて完全に心酔者として眼中に無かったからなかなか良かった。個人的には更にそれすら主人公の仕組んだことだったら尚面白いなと思ったんだけど。
Posted by ブクログ
最後のどんでん返のインパクトがあまりにも強く、なかなか現実に戻ってこられなかった。
1周目と2週目で内容の受け取り方が違ってきそうでとても楽しみ。
Posted by ブクログ
14歳未満は刑罰が科せられないという、触法少年をテーマに扱った小説。
九子という少女がギリギリ14歳で犯罪を犯してしまうのですが⋯えっそうだったの!?って展開が待ってます。
Posted by ブクログ
13歳か14歳か、触法少年という言葉も初めて知ったが、良質なミステリーだった。
後半の真実が明らかになる点も良かったし、最終的に母親の想いも伝わったと感じた。
ただ、違和感があったのは九子の年齢設定。中盤まで高校2年生と思ってました。
Posted by ブクログ
触法少年を題材にした小説をあまり読んだことがないので興味をもって選んだ。
カバーイラスト。
右側が、実行犯で、左側が、影で支える人物、または利用される人物かと思って読み進めていくが途中からそうではなかった、影で支えるだけじゃなく、行動もしていた人物。
彼女のすべてを影のようにずっと追いかけていた。触法少女は、影の方だった。
華蓮が、同じような環境で育ったとはいえ、あまりにも共感しすぎるから、九子の自作自演的、二重人格なのではと思いながら読む。
里実が、九子に話しかけられたりするだけで、目を輝かせたり、落胆する。
10代特有の同姓に憧れるもの、それ以上のなにかか?と推理。近からず遠からずであたっていた。
Posted by ブクログ
触法少年をメインに扱った小説は中々ないので、新鮮な気持ちで読む事ができた。
事件の真相や、読者へ向けた叙述トリックなど、初心者にも分かりやすい良質なミステリだった。
Posted by ブクログ
初ヒキタクニオさん
虐待やネグレクトをテーマにした
「黄色い家」からの提案本。
とても読みやすく
すらすら読めた
ただ、主人公が中学生なのがリアリティがない。
高校生だったらまだわかるかなぁと。
もう少し現実味を帯びてたほうが
ひきこまれる感じがしました。
Posted by ブクログ
養護施設で暮らす少女・九子は、自分を虐待した末に捨てていった母親の殺害を計画する。
ミステリらしく捻りの効いた展開とミスリードがあるのはよかった。
Posted by ブクログ
【2022年41冊目】
面白かったです。一気に読み切ってしまいました。触法少年、13歳と14歳の大きな分かれ目。リシン、毒殺、ジンジャーエール、いろいろなキーワードがからみ合い、一つの大きな事件を巻き起こすーー時系列もしっかり書かれているので読みやすかったですし、伏線回収もちょっと予想はしていたもののなるほど感がありました。
Posted by ブクログ
なぜ黙秘するのか。
九子がやったという物的証拠は無いんだから誕生日会をして普通に帰ったと言えば良くないか?
黙秘したら自分が犯人だと言ってるようなものでは…。
PCだって普通に使わせてもらえばいいのにあの無駄なやりとりはなんなんだ。
下僕、支配、崇拝というワードから九子はカリスマ性のある冷酷で大人びた印象だったのにあまりにも普通というかなんなら中学生にしては子どもっぽい女の子に成り下がってしまって勿体なかった。
最初の印象のままいけば里実の行動にももう少し説得力が増しただろうに。
Posted by ブクログ
ラストびっくりした。。華蓮の声を全部自分でやってると思うとゾッとした。自分で仕掛けて自分で実行してるの恐ろしすぎる。親から愛情を十分に受けれなかった子は大なり小なりどこか精神に異常をきたしてしまうものだなと思った。弱冠14歳でここまで頭が回るのもすごいな。
Posted by ブクログ
オレンジ色に染められた髪、ビーズが編み込まれたエクステンションと呼ばれる付け毛が、左右対称になって外に向かって突き立ち触覚のように見えた。 戒めは永遠に続くと思わせないと意味がない 安っぽい少女漫画とかドラマにあるステレオタイプな設定が巷に蔓延しているからだろう 昔は児童養護施設のことを孤児院と呼んでいたそうだけど 厨二病 華蓮はチンポの臭いがしてくるような文章だと吐き捨てた 虐待とネグレクト 川崎市中原区の武蔵小杉駅が瑠美子の新しい住所の最寄り駅となっていた リシンという毒を含むトウゴマの入手方法 ひまし油にはリシンは含まれず搾かすに殆どが含まれる 未成年の場合ってね、主犯と従犯は、単純に年齢で決められるのね。 死刑囚は死刑だけが刑罰だから、拘置所に入ってる被告人と同じような扱いなんだってさ マスコミや世間の悪食をとても刺激するでしょうから 特Aレベルの箝口令を通達したことは正解でしたね 薄倖の少女とか美人薄命などという言葉が似合いそうな物静かな美人だ アロワナの身体が僅かに震えた 君ねえ、完黙なんてのは、職業的犯罪者や思想犯なんかがやることなんだけどね。誰からの示唆なんだい? 寿司飯というのは、砂糖の量から言えば米のケーキなんだね。 現在では映像を四〇〇〇万件近い顔のデータを使用して一秒で特定の人物の顔の検索ができる大規模監視カメラシステムが導入されているんだよ。そして、このシステムは、決して防犯でなく警察が捜査の為に自由自在に使えるんだ。 犯罪を暴く時の尋問テクニックに、被疑者に嘘を吐かせる、というのがある。嘘を認めさせる為に嘘が必要となる。嘘は連鎖して広がる。嘘を言っていることに反証せずに嘘を溜めて、一つの嘘を溜めて、一つの嘘を徹底的に調べて暴く、すると、嘘は一気に雪崩を打って崩れていき、被疑者の作った供述が破綻するのである。 カタカナのネに十二支の申をくっつけて安易に使ってるパターンでしょう 消し屋(殺すだけでなく生きてきた痕跡も消すのだ)を主役に据えてきた
Posted by ブクログ
あらゆる人を惑わす九子さんのお話。半分読んだあたりからやっと面白くなって最後はあっと驚くような展開に…。もう一回読んだらもっと気づきがあるかもしれないけど読むのにちょっと苦労するかも。
Posted by ブクログ
ずっと読みたいと思っていた、ヒキタクニオさんの小説。
結局は自分が2役やっていたり、心酔する少女のために殺人を犯す女子がいたり、幼い、ひとりよがりな結論が多いのだが、13歳か14歳か、という境目で、”少女”側に軍配があがったような。
Posted by ブクログ
幼い頃、母親に棄てられた過去を持つ深津九子。児童養護施設から通う学校では、担任が寄せる暗い欲望を利用して教師を支配していた。同じクラスの西野も九子の下僕だし、里実からは憧れの対象として崇め建てられていた。ある日、母親の消息を知るチャンスが巡ってきた。運命は激しく動き出す。母親なんていらない。
13歳とは思えないほどに賢く冷静、冷酷な九子。とはいえ、年齢で人を計ることの馬鹿馬鹿しさも感じる。何かを為すのに大事なのは年齢ではない。印象的だったのは、里実と母親が馬鹿なことをした時に、読者として「なんでそんなことを!バレちゃうじゃん!」と憤り、九子もそういうリアクションかと思いきや、実際は嬉しそうだったこと。そうだった、この子は、小説の中の冷酷な殺人犯なだけではなく、傷ついているひとりの子どもなのだというのがリアルに浮かんで、それが良かった。
Posted by ブクログ
──人を殺しても罰せられない魔法
それが、刑法第41条──
少年法が適用される境目の13歳と14歳。
たった1日で人生は変わる。
母親による育児放棄と虐待。
片親でも貧乏でも健全に育つだろう。
ただ、そこに愛情がなければ方向性は変わる。
子供は親をただ真っ直ぐに純粋に愛する。
そして愛されたい。
愛されていなかったと気づいた時、悲しみが憎しみに変わる。
【声なし笑い】と、
【誕生日プレゼントは、何でもうまくいく魔法の薬】が回収されるラストには魅せられた。
九子が最後に流した大粒の涙。
単なる気まぐれかもしれない母からの「愛」。
最初で最後の愛情。