実石沙枝子の作品一覧
「実石沙枝子」の「きみが忘れた世界のおわり 刊行記念〈特別短編〉「花が咲くまで」」「扇谷家の不思議な家じまい」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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小説・文芸
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Posted by ブクログ
スペインへの憧れクラシックギター、フラメンコ高校生の頃好きだった!いじめや親子関係。若者が生きづらい世の中をサバイブしていて、習い事って異文化や言語を学ぶことって楽しいってことや、
情熱的強い感情の爆発。読んでて気持ちいい本だった。ファッションの描写が具体的で情景が浮かんだ。おじいちゃんのフラメンコ。認知症だけど本服飾プロのおばあちゃんの手作り衣装。老齢のかっこいい人がたくさん出てくるのも好き。
いじめる側といじめられる側の苦悩とか、理不尽だけど誰もが苦しい。
これを機にプレイリストとInstagramのフィードは全部フラメンコになった
Posted by ブクログ
『はるを呼ぶ』を読み終えてまず感じたのは、『光のとこにいてね』と通じる“人の温かさ”と“静かな再生の気配”だった。
ストーリーは異なるのに、作品全体を包む雰囲気や読後感が似ていて、心の奥に柔らかな光が残るような感覚を味わった。
物語の中心にいる晴奈は、8歳の時に姉・小春が突然いなくなったことをきっかけに、過酷な環境へと放り込まれる。
父は家を出て行き、母は精神的に壊れて部屋から出られなくなり、晴奈は村八分のような孤立した状況で母の面倒を見ながら成長していく。
幼い少女が10年間も必死に耐え抜いてきた事実は、それだけで胸が締め付けられる。
そんな晴奈の人生を大きく動かしたのが、海岸通りの公衆電話に突然かかってきた姉・小春の電話だった。
何となく受話器を取ったその瞬間、晴奈は10年ぶりに姉の声を聞く。
小春は晴奈に2つの「ミッション」を与える。
・友人と仲直りし、一緒に下校して冬休みの予定を入れること
・家を出て行った父に会うこと
このミッションは、晴奈が他者とのつながりを取り戻し、自分の人生を再び歩き始めるための小さな一歩だった。
1つ目のミッションは、晴奈が勇気を振り絞ってなんとか達成する。
2つ目のミッションは、仲直りした友人の美久が驚くほどテキパキと動き、父との再会を実現させた。
ミッションを一つずつこなすたびに、晴奈の周囲の人間関係は少しずつ良好になり、晴奈自身も前向きになっていく。
読者である私も、晴奈の変化に合わせて心が軽くなり、なぜか救われたような気持ちになった。
姉の失踪が原因で家族が崩壊したため、晴奈には小春への恨みもある。
しかしそれ以上に、晴奈の中には強い姉妹愛が流れている。
「お姉ちゃん」という言葉が30回以上も登場するほどで、晴奈がどれほど姉を思い続けてきたかが痛いほど伝わってくる。
そして物語の終盤で明かされる事実が、晴奈の心の深さをさらに際立たせる。
――公衆電話からの小春の電話は、春奈が無意識に作り出した“幻想”だったのだ。
姉を思う気持ちがあまりにも強く、心の奥底で「小春に背中を押してほしい」と願い続けていた晴奈。
その切実な思いが、電話という形で彼女を支えていた。
ミッションを達成するたびに人間関係が改善していったのは、晴奈自身が変わろうとする力を内側に持っていたからこそだと気づかされる。
晴奈が自分の力で立ち直り、周囲の人々とつながり直していく姿は、読んでいて涙がこぼれるほど感動的だった。
過酷な環境で育った少女が、幻想に頼りながらも、最後には自分自身の足で未来へ踏み出していく。
その過程は静かでありながら力強く、読後には温かい余韻が残った。
『はるを呼ぶ』は、苦しみの中でも人は他者の温かさや、自分の内側にある希望によって救われることがあると教えてくれる作品だった。
晴奈の再生の物語は、読者の心にもそっと春を呼び込んでくれるような、優しくて力強い小説だった。
Posted by ブクログ
第2回未来屋アオハル文学賞、大賞受賞作ということで読むことにした一冊。美しすぎる高校生マッドの3年間を描く。
ルッキズムや情報社会といった現代の要素と、昔ながらのクラスの(いやーなところも含めた)雰囲気と……ありえないようでリアルな作品だった。
外見にかかわらず、自分の内面を好きでいてくれるひとの存在が誰にでも必要だなと思う。そういうひとはすぐに見つかるわけではないし、見つからないかもしれない。
作中で巻き起こる出来事や事件、そういったものを見ているからこそ、マッドに季子や忍がいてよかったと思う。読後感は爽やかで、季子の最後のメッセージは泣きそうになったし、たくさんの人に読んでほしい作品だと思った。