めっちゃ面白かった。書きたいことがありすぎてレビュー長くなりすぎた。
自分もまだ社会人としてはベテランという領域ではない、中堅に差し掛かったくらいの会社員である。
最近の若者(という言い方がおじさん臭いが)は、自分とは価値観が近い部分はあるが、違う部分も多い気はしている。
ベースとしてすごい良い子が増えたなと思うけど、上の世代に対するリスペクトが欠けていて、ちょっと失礼だけどアウトではないようなことをやる人が増えたな、という感じ。あときれいな男子がめっちゃ増えた。
あとインスタとか見ていると、中学生・高校生の男子が母親を「ママ」と呼び、「ママ」とめっちゃ仲良くしている。信じられない。いま反抗期がない子どもが増えているらしいですね。(このあたりは本書6章で語られる)
「最近の若者」エピソードとして、個人的なものが2つある。プライベートな会話の中でのことである。(このレビュー読んだ方、共感される方がいれば教えてください)
・男子が年上に対して用いる一人称が「俺」
・自分の世代では「僕」または「私」しかありえなかった
・会話中に「ヤバ!」「えぐっ」といった言葉を丁寧語の語尾を付けず感嘆詞的に使う
・自分の世代では「ヤバいっすね」「エグいですね」しかありえなかった
これはアウトではないし、あまり失礼でもないんだけど、自分は絶対やらないな、というもの。
むしろ年下にやられてみて初めて、年上へのリスペクトの表現として自分が自然にやっていたのだなと思ったし、今の若者はこれを無礼だとも思っていないだろうから、まあいいか、とはなっている。
自分は30代半ばだが、我々世代は、学校が途中から週休2日となり、ゆとり教育が始まる直前で卒業し、リーマンショックから日本経済が回復した後に就職し、AIバブルの直前で、比較的日本企業が元気だった。新卒市場は、今ほどではないがどちらかと言えば売り手市場だった。
友人・同世代の感じとしては、ガツガツする人もいるし、まあほどほどに頑張ろうという人もいたが、正解が降ってくることを待っているような姿勢の人は多くはなかったと思う。
自分が何になりたいのかわからない、的な悩みは若者あるあるの悩みはあったものの、「周りに置いていかれたくない、でも突出はしたくなくて平均でいたい」という感覚は強くなく、「みんなそれぞれ悪いことをしてなくて楽しくやれればいいんじゃない」という世代だと思う。でも因果応報的な考えはあって、頑張らなきゃ落ちぶれるし、現状維持でいるのも大変、だからそれなりに苦しんで頑張る必要はあるよね、という真っ当な感覚は持っている。
1985~1995年生まれって、そんな感じじゃないかと思う。
派遣切りとか、リストラとか、そういったことを中学~大学生のときによく聞いていたから、社会は大変だ、という感覚はある。ただ自分が就職するにあたっては、比較的そこまでひどい状況も脱していたから、まあ好きなように生きるのもいいけど頑張るところは頑張ろうね、社会は自分をお客様と思ってくれないよ、みたいな世代だと思う。
で、本書では、具体的に今の若者(1995年~2010年生まれのことだと思う)がどういう行動や思考様式を持っており、それはなぜか、ということが解き明かされる。
会社に入っても丁寧に扱われることを当然と考えており、「してもらい上手」。ただ仕事上しっかりした受け答えはできているように見える。上の世代に対する気遣いができているように表面上見えるけど、最低限のことしかやりたくないし突出したくないけど怒られてプライドが傷つけられるのが嫌で、特段成し遂げたいこともない。今に自分にまあまあ満足していて、このままでいいと思っている。
こうした人が増えると、社会の成長が止まる気もしてちょっと怖い。人間の欲同士の競争によって社会が改善されていく、という思想に立つ資本主義では、競争が起こらなければ社会は良くならない。
ただ働きアリの理論ではないが、2割のイノベーターがいればまあいいんじゃないという気もするし、今の若者が10年経って酸いも甘いも経験し、やっぱり人生甘くないなとなれば、自然と社会で活躍できる世代になっていくんじゃないの、という楽観的な考えも個人的にはある。
ここからは本書に書いてあったことで、自分が意外に感じたものを挙げていく。(今の若者からしたら何が意外なんだろう、という感じだろうか)
・大学生の就職にあたって、リスクやチャレンジよりも、マニュアルや安定性を求める人が増えた
・大学院生は大学生よりもさらにそうした傾向が高く、個々の人材の専門性よりも企業の技術・ブランドなどを重視する傾向が高い(え、なぜ大学院に進んだの??専門性よりもジェネラルスキルなの??)
・20代の幸福度は、他の世代の幸福度よりも高い。自分に自信はないがそれを認めて、それでいいよね、と幸せを感じている感覚(最近の自己啓発と言えばこういう考えが多いよね。「辛いよね、でもそれでいいんだとまず認めよっ?」みたいな)
・成功は努力よりも運やコネだと思う割合が、他の世代よりも高い。努力派と運・コネ派は半々。努力とは才能や環境に恵まれた人がするもの、と思っている。(「親ガチャ」という言葉がこの感覚をよく表していると思う)
・飲みニケーションが必要だ、と思う割合は他の世代と変わらず35%程度
・若者にとって飲酒は、特別なときに予定を立ててやるもので、日常にあるものではない(これはたしかに!と思った。「飲みましょ」ではなく「ご飯行きましょ」と言われることが多い)
・むしろ上の世代のほうが、上司と飲み会に行きたい割合が少ない。若者は意外と先輩や上司の考えを飲み会で聞きたいと思っている(4割程度)
・男女コミュニティはきっぱり分かれる。大学の講義室でも、頼れる相談相手としても、同性で固まる傾向があるが、それは異性と関わることが「リスク」だと認識されているから。異性好きとか思われたくないらしい。(大学で男女が分かれる、という感覚は自分のときはなかったし、今のほうがもっと垣根がないと思っていた。平等が悪い方に作用していそう。)
・「同性で一番親しい人と知り合った時期」が「小学校時代」であるとする割合が増加しているとのこと。(自分としては高校と大学の友達に一生の友達が多い。大学時代の友達はその後の人生で具体的に助けになる場面が多いと思うのに。もったいない)
・恋愛経験率はどんどん下がっている。恋愛はメンタルを不安定にするリスク要因だと考えられている。とにかく失敗したくない、というのが今の世代。当然恋愛は失敗のリスクだらけなのでやらない。
・結婚して子どもが欲しいグループと、結婚も子どもも不要グループで大きく二分されている。結婚だけしたい・結婚にこだわらず子どもだけ欲しい、とする割合は18%程度。
・結婚したら子どもは持つべき、という思想は持っているっぽい。だが、子育てという意味でも周りから遅れも進みもしたくない。そうすると塾に入れたり習い事をさせたりいろいろな経験させるにはお金がかかり、若者にお金がないという状況でそんな余裕はないから子育てしたくないと考えるのでは、というのが筆者の考え。
・お見合い結婚は2013年ごろから若干増えつつある。何をするにも自分で決めたくない、言い訳が必要な若者にとって、周りのおせっかいで結婚相手を自分で決めなくてよいのは好都合なのでは。
・今の若者がこうなっているのは親のせいではないか。親世代はバブル崩壊のすぐ後から社会人経験を始め、結婚・子育てをしてきた。社会に出たときからすべてが「失われた34年」に含まれる。そんな中で、子どもにも同じ苦労をさせたくない、と思うのは当然だろう。が、親自身が子育ての中で周りから白い目で見られたくない。だから子どもに正解を教えて、間違ったことをさせないようにする。子どもを守っているふりをして、実は守っているのは自分自身の自尊心や体裁であり、それに付き合わされた子どもは、生涯通して不安を抱えながら、正解を与えてくれるところへすり寄っていく。
そして、若い世代への接し方について先輩諸氏へのアドバイスも。
・考え方を変えさせるのは無理だし、正しくない。だって価値観の違いなのだから。
・まずは、自分の仕事のどんなところが好きで、何を大切にしているかを、ちゃんと言語化して伝えること。
・気持ちではなく行動にフォーカスする。そして、行動に対してフィードバックを返す。
・行動変容をさせようと思ったとき、やる気や意欲を高めるのではなくて、まずは行動を支援して、結果として気持ちを支えることにしよう。
自分も今の若者(?)らしく、自分が責任を持ちたくなくて周りが決めてくれればいいのにと思うこともあるし、大きな成長は求めていないし、日本社会が衰退しても関係ねえや、と思ったりはしている。
でも、本書の射程にある若者とは結構違うなと思う部分は多かった。
自分も上昇志向は強くはないけど、まわりに「してもらう」のではなく、一人のプロフェッショナルとして自立し、自分で正解を探していくことは、社会で行きていくためには必要だと思っている。そのためのもがきが必要であると思っている。就職したときからそう思っていた。
このリアリズムが今の若者にないのかもしれないな、と思った。けどまあやっぱ、そんなの働いていたら勝手に気づくんじゃない、って気もします。
気質的にそうじゃない人がもともと多いとなると、社会全体としてチャレンジとかイノベーションの総量は減るのかもしれないけど。。
あと前提として考えておきたいのが、この本に書かれている「若者」というのが誰を指しているのか、ということ。
今の10~20代を指していることは明確なのだが、居住地域・学歴・家庭環境などが違うと、かなり状況が違うのでは?と感じた。
例えばだけど田舎のヤンキーってどうなんだろう?とか。
本書は比較的高学歴で、家庭環境の良かった若者の話をしているように感じたけど、どうなんでしょう。