作品一覧

  • 荒地の家族(新潮文庫)

    荒地の家族(新潮文庫)

    小説・文芸

    3.6
    1巻572円 (税込)
    40歳の植木職人・坂井祐治は、十数年前の災厄によって仕事道具を全てさらわれ、その2年後、妻を病気で喪う。自分を追い込み肉体を痛めつけながら仕事に没頭する日々。息子との関係はぎこちない。あの日海が膨張し、防潮堤ができた。元の生活は決して戻らない。なぜあの人は死に、自分は生き残ったのか。答えのない問いを抱え、男は彷徨い続ける。止むことのない渇きと痛みを描く芥川賞受賞作。(解説・小川洋子)
  • ジャスティス・マン

    ジャスティス・マン

    小説・文芸

    3.8
    1巻2,200円 (税込)
    初老ホテルマン、正義に狂う 仙台の老舗ホテルに勤続30年、初老ホテルマンの「正義」が暴走する。家庭も職もある50代中年男の独りよがりはあぶない。 大山茂は幸せな人間だった。子どもの頃に見た悪をくじく特撮ヒーローに己を重ね、日課のジャスティス体操を欠かさず、不心得者には必殺技のダイヤモンドヘッドを食らわさんとする。――「皆が俺に全幅の信頼を寄せている。目を見ればわかる」
  • 象の皮膚

    象の皮膚

    小説・文芸

    3.5
    1巻1,650円 (税込)
    肌を見られたくない、でもこの苦しみを知って欲しい。五十嵐凜、非正規書店員6年目。アトピーの痒みにも変な客にも負けず、今日も私は心を自動販売機にして働く。そこに起こった東日本大震災。本を求める人々。彼女はそのとき、人間の本性を目撃する。現役書店員が描く、圧倒的リアリティで各紙絶賛の話題作。
  • 常盤団地の魔人

    常盤団地の魔人

    小説・文芸

    3.6
    1巻1,870円 (税込)
    今野蓮は喘息持ちの小学生。三年生にあがると友だちができ、やがて悪ガキ軍団に組み込まれていく。宿敵・管理人との対決、雑木林のひょうたん池の謎、捨て犬失踪事件、テレビゲーム禁止令……。誰もが経験した小さな冒険を経て、気弱な少年は成長していく。『荒地の家族』で芥川賞を受賞した期待の新鋭による受賞後第一作。

ユーザーレビュー

  • ジャスティス・マン

    Posted by ブクログ

    ジャスティスを日本語に訳すと、「正義」や「公正」とされ、本作の主人公の価値観に基づく正義や公正を貫き通す。健康体操など自らを厳しく律し、私生活から職場であるホテルマンとしても、自己価値に基づく判断を下し、管理者として部下や外国人労働者を厳しく指導する。ただし、主人公の「正義」な名のもとに正当化する独善的な判断は、強烈なハラスメントして上司や部下から忌避される。また、自己陶酔した価値観は妻への過干渉による人格否定となり、妻は木人化(木偶・でく)して、私生活にも支障を来す。鬱積(うっせき)した感情は、自宅の破壊活動を起こし、行きつけの本屋でのカスタマーハラスメントとして爆発し、鬱憤(うっぷん)を晴らすことで主人公の気持ちは落ち着くが、被害者である店員には最悪のシナリオが待ち受ける。社会や人間関係における正義と公正とは何か?本作では、悲喜こもごも考えさせられる作品であり、適正な倫理観なしにはジャスティスが成り立たないことを痛感した。

    0
    2026年03月17日
  • 荒地の家族(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    佐藤厚志『荒地の家族』新潮文庫。

    第168回芥川賞受賞作。

    様々な形の別れや喪失を淡々と描きながら、読者に生きることの意味を問いかけるような生々しい小説だった。

    自分の経験からすれば、死別よりも生き別れの方が悲しみと苦しみが深いように思う。本作の主人公である坂井祐治が会わせてもらえないことが解っているのに、何度も元妻の職場を訪ねて行くことも理解出来る。自分にもそういうことがあった。

    また、この歳になってみると、自ら生命を断つことが如何に卑怯で家族や知人にどれほど迷惑を掛けるかよく解る。数年前に風の噂で、以前勤めていた会社で同じように出世を重ねていた同期が自殺したと聞いたが、不思議と心が痛まなかった。その同期が自殺するに至った理由も何となく解った。自分はそうなる前にその会社を辞めたのだ。


    さて本作。舞台になる阿武隈川の河口の荒浜の近くというと、東日本大震災で壊滅的な被害を受けた地域である。大震災の発震した日の夜、毛布に包まりながらラジオに耳を傾けていると『荒浜で2、3百体の遺体が……』という、とても信じられないニュースを聞いたことを覚えている。

    そんな海辺の街で40歳の植木職人である坂井祐治は十数年前の東日本大震災の津波で2トントラックに積んだ仕事道具を全て失い、その2年後には妻を病気で失う。その後、祐治は知人の紹介で再婚するが、その妻は出奔し、一方的に離婚届を送り付けて来た。

    以来、息子と母親と3人で暮らしていた祐治であるが、息子との関係はぎこちなく、自分の肉体を痛めつけるかのように仕事に没頭していた。目にするのは巨大な防潮堤。再び海が膨張すれば、そんな防潮堤も意味をなさぬはずなのに……

    生きるというよりも、何かに追い立てられながら、逃げるように彷徨い続ける淋しい男の物語。

    本体価格520円
    ★★★★★

    0
    2025年06月06日
  • 象の皮膚

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    ネタバレ

    ひたむきに生きる主人公に惚れ、彼女を苦しめる人間をぶっ飛ばしたくなった。イベント参加で主人公が自己を解放してか暴れる場面があり、面白く爽快だった。

    0
    2024年12月16日
  • 常盤団地の魔人

    Posted by ブクログ

    20年過ごした団地での日々が思い出されました。
    個々の人物描写も細かくて映像が浮かびます。
    脱力してぴりっと屁が出た。で思わず笑っちゃいました。
    内容的には30年以上前のノスタルジー満載なんですが、ドローンや携帯が出てきているので現代に近い…不思議です。
    この前、北欧映画の「イノセンツ」を見て、大友克洋の「童夢」を読んだ後だったので、団地×サイキック感が続いてて楽しい。次は吉本ばななさんの「下町サイキック」を読むのでこれまた楽しみ。

    0
    2024年09月04日
  • 荒地の家族(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    2022年下半期芥川賞受賞作
    東日本大震災で家族を失い残された人達の話
    妻を失い、後妻の流産、その後三行半。
    なんとなく始めた仕事、シゴキに遭うも独立。
    不器用な裕治は母と子供の3人で暮らす。
    ・(貴方は無事)生き残って良かったね
    ・(貴方が悪いわけじゃない)自分を責めないで
    ・前を向いていこう
    自分の周りの人の身に起こった事だとしたら…やはりこんな事は言えないな…と。ただ見守るだけ。
    裕治の母、和子。明夫の父、六郎の様に。
    残された側になってみれば、ただ進む(動く)だけになるよね。裕治や明夫の様に…それが正しいとか悪いとか関係なく。
    芥川賞作品の特徴は押さえつつ、中身が入ってくるのは、父親として男として共感できるとこがあるからだろう

    0
    2026年09月15日

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