あらすじ
今野蓮は喘息持ちの小学生。三年生にあがると友だちができ、やがて悪ガキ軍団に組み込まれていく。宿敵・管理人との対決、雑木林のひょうたん池の謎、捨て犬失踪事件、テレビゲーム禁止令……。誰もが経験した小さな冒険を経て、気弱な少年は成長していく。『荒地の家族』で芥川賞を受賞した期待の新鋭による受賞後第一作。
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Posted by ブクログ
20年過ごした団地での日々が思い出されました。
個々の人物描写も細かくて映像が浮かびます。
脱力してぴりっと屁が出た。で思わず笑っちゃいました。
内容的には30年以上前のノスタルジー満載なんですが、ドローンや携帯が出てきているので現代に近い…不思議です。
この前、北欧映画の「イノセンツ」を見て、大友克洋の「童夢」を読んだ後だったので、団地×サイキック感が続いてて楽しい。次は吉本ばななさんの「下町サイキック」を読むのでこれまた楽しみ。
Posted by ブクログ
古い団地に住む今野蓮を中心に、小学生の生態を描写した物語だが、団塊世代の我々とはかなり違うことに驚いた.親の世代との関わりをなるべく避けて、子供同志で悪さをする点は同じだと感じたが、ワコウ軍団とのやり取りは面白かった.ひょうたん池での出来事で魔人が登場するが、意図が掴めなかった.管理人との対決、担任の根元とのやり取りなど、子供たちの歓声が聞こえるストーリーだった.
Posted by ブクログ
物語の内容は、小学3年生の主人公蓮が、多様な人々が住む団地で父母兄妹と暮らしながら、同じ小学校に通う上級生や同級生と日常生活を送る場面を描いたものと言える。
魔人とはいわば現実逃避のために蓮自身が生み出した「像」と言えるだろう。毎日家族で虐待を受け、持病を患いながら生活を過ごし、これまでにない人との関わりを持つ、これらは全て蓮にとっては通常では乗り越えられないものであり、だからこそ自分自身で魔人を生み出し、現実からあえて距離を取る方法を生み出したのだと思う。
だが、蓮は物語の終盤でそれを「神」のような存在(つまり、魔神)と勘違いしてしまう。だから、憎しみの対象である兄の公平に暴力を行使する。だが、返り討ちに遭い、自身の無力さを痛感して終わる。蓮は「まじん」の正体に途中で気がついたが、それを「魔神」と勘違いしてしまったのだ。
小学校3年生という、未熟な段階にいる子どもの奇想天外な発想・考えや、友人との関係性、子どもから見た大人の世界・自然の世界、そして恵まれない境遇にいる子どもの現実を、子どもの視点から描いた作品と言えるだろう。
Posted by ブクログ
同じ大学、同じ学部の先輩というのがきっかけだったけど、思った以上に俺はこの人の作風が好きなんだな。昔のスガシカオの曲みたいな、少し暗めの、少し嫌な感じの読後感が癖になる。
Posted by ブクログ
芥川賞を受賞した荒地の家族より読みやすく、登場人物がたくさんいたにも関わらず、どの人物も印象に残りやすかったため最後まで苦なく読めた。
私自身も団地(アパート?)に幼少期住んでいたので、その時のことが思い返された。
時代はちょっと昔だなあと感じるけれど、、、
読み終わった後、表紙にいる犬や人物を見て、これがきっと◯◯で、こっちは◯◯だなと考えるのが楽しかった。
Posted by ブクログ
芥川賞の佐藤厚志さん。荒野の荒地は静かながらも生活の中に悲しさを感じた。この作品は、悪ガキどもの事件簿のような。昭和を思い出す。
最後までモヤモヤ。魔神は自分で、何の象徴か。
Posted by ブクログ
昭和って感じがするのは、子どもの遊び方だろうか…。
それとも団地の風景だろうか…。
小三の蓮は、小児喘息やアレルギーといった持病があり、二年生までは特別支援学級だった。
三年生から初めてのクラス替えで不安もあり、恐怖でもあったが、団地で初めて見る同じくらいの男子と自転車や鉄棒、砂場で競争となった。
彼はヤマモトシンイチだと言う。
そこから彼らの日常が始まる。
蓮と兄とその仲間たち、宿敵は管理人である。
怖いのは、黒いジャンパーの「庭師」たちでもある。
そして、1人になると現れる見えない魔人だったりする。
喘息持ちなのにみんなと同じように遊ぶ蓮の強気なところがいい。
父親に怒られ、兄には勝てないところもあるあるだなぁと。
秘密基地や池など昔は当たり前のように身近にあり、行ってはいけないとわかってはいても行ったものだと思い出した。
無茶なことをするのが子どもなのかもしれないなと懐かしくなった。