感情タグBEST3
Posted by ブクログ
アトピー故に幼少期からその見た目を非難され続けてきた凜さん。
両親ですらアトピーのことを気合が足りないせいと理解してもらえず、兄弟からもからかわれ育ち、現在凜さんは非正規雇用の書店員として働く日々。
癖の強すぎる書店の社員とパートたち。
入り組む男女関係にちょっとだけ巻き込まれたこと。
震災が起きて、書店の復旧まで、大変だったイベント。
全て肯定してくれるバーチャル彼氏。
凜さん、現実を一生懸命生きてる。
アトピーといえば、昔ディズニーランドでイッツアスモールワールドに並んでいるときだったか、
並びながら一緒に来ている友達としゃべっている男の人が、首筋をずっと掻いていて、赤くかさついた皮膚とか、印象的。アトピーって大変だな。
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『荒地の家族』で興味をもってこちらも。
アトピー性皮膚炎に苦しみ続ける女性。
書店員というモチーフはやはりこの著者ならでは。
持病に苦しみながらも、数々のトラウマを抱えながらも健気に生きる主人公と、それに対しあくまで無理解、抑圧的に接し続ける家族の姿に最後までつらさがあった。
なぜああまで冷酷なのか。
小説に「答え合わせ」は必ずしも必要ではないと思うけど、これは腑に落ちなさ過ぎた。
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リアリティ溢れる筆致。自分とは全く違う境遇、性別、体質なのに、ページを捲る手を止められなかった。個人的には芥川賞受賞作よりこっちの方が好き。だから読書は止められない。
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生まれつきの重度のアトピー性皮膚炎で幼い頃から家族にも同級生にも教師にも疎まれ、そんな周りの人のことも疎んでいる主人公の五十嵐凛。
大人になって、書店で契約社員として働き、日々同僚や上司との人間関係や困った客を相手に過ごしている。その最中に東日本大地震が起きる。店の片付けをする中で、あるいは営業を再開する中で垣間見える人間の本性。
まだライフラインも復旧しない中で営業を再開した書店に押しよせ、「なぜ新刊が手に入らないんだ!」と怒号を浴びせる客、「なぜこんな時に営業を再開するんだ!」というクレーム、チャリティーで訪れる歌手の対応に苦しむ書店員たちの姿に悲しみや諦め、憤りを感じるけれどこれがリアルなのだろう、という気にさせられる。
非正規で働き余裕のない生活、家族からも受け入れられない孤独感、アトピーで痒い身体を掻きたい、でも掻けない、という苦しみ、震災後、薬も食料も思うように手に入らないという辛さ、という主人公の描写から、この作品は震災後小説であり、光の当たりにくい社会の一片を切り取った作品だと感じた。
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淡々とした語りでリアル。圧倒的な救いではなく、ほんの少しだけ何かを解放したような終わり方がいいと思った。ものすごくいい人もものすごく悪い人もいない。でも皆んなちょっとずつ狂っている感じ。きっと現実ってこんなもん。
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人にされて嫌だったことをしてしまうかもしれない。
人にされて嬉しかったことをできないかもしれない。
人の振り見て我が振り直せないかもしれない。
それでも、
めんどくさい人に負けず、
体の痒みにも負けず、
災害にも負けず、
どうにかこうにかもがいて生きてる。
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読んでいて楽しい気分には決してならないが、主人公の抱える問題が「皮膚」感覚で伝わってくる表現は読み応えがある。
なかなか救いのない彼女の下降線が、最後のところでクッと上に向き、微かな光明を見せる。
職場の人間模様や、人物造形がリアルだ。
いるいる、こんなひとたち…。
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アトピーの痒みに支配された女性書店員、五十嵐凛の生きづらい日常である。
本人にしかわからない痒みと日々たたかっているのがとてもわかる。
物心つく頃だろうか、兄も弟も丈夫で綺麗な皮膚なのに自分だけが…という思い。
小学校で「あいつはカビ」だと言われて級友や教員を避けて、教室の隅でじっとしていた我慢の6年。
中学で新たな級友の視線を感じ、「首黒いね」からカビという呼び名から象女になる。
家族でも兄からは露骨に汚いと言われる。
父は「おまえは気合いが足りない」と言う。
ひとり暮らしするようになり、たまに実家に帰れば母から「あんたに愚痴を言う資格はない」と…。
非正規で未婚だからか。
職場でもアトピーを長袖で隠し、男性スタッフが少ないなか、万引き犯や転売屋やハードクレーマーとの闘いの毎日である。
そして、災害があり…
何があろうと皮膚は痒い。
痒みがなくなることはない。
なんとかしたいが、どうにもならないのが皮膚なのか…。
皮膚が自分自身だった。は辛すぎるだろう…
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意図とせず一気読みしてしまった。タイトルから想像がつくようにアトピー持ちの主人公のお話だった。
私も昔から肌トラブルが多かったけど酷いアトピーは体験したことがなかったため痒くて眠れない話しやクラスメイトからの心無い言葉やモラハラ教師の話は読んでいて辛かった。
難病にかかりその治療の過程で肌が荒れて痒くて掻きむしって赤くなり黄色いネバネバした分泌液が出るくらい酷かった時期を思い出した。
痒さは我慢ができないし掻けば掻くほど悪化する。
分かる部分と想像を絶する部分が入り混じった。
主人公の身の回りがひどい人間ばかりなのが余計に辛い。肌のことだけでなく書店での犯罪者の対応も私までストレスを感じたし震災の描写もあって薄い本なのに濃い内容で盛りだくさんだった。
東日本大震災はある程度ドキュメンタリーやネットなど見てきたけど書店での状況は想像してなかったので確かにこの描写の通りだったのだろう…
若い女性にレジを指名するだの卑猥な本のタイトルを読ませるだの実際いるであろう生々しい人間が気持ち悪くて仕方ない。
辛い境遇でも推しがいる主人公の熱い思い(グッズの争奪戦に果敢に挑む)は救われるものがあったし最後の締め方もほんの少しの救いがあって良かった。
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今回受賞された佐藤厚志さんの作品を読んでみた。
アトピーを抱える主人公の話で、大変だなあと思うものの淡々と進み終わってしまった感じ。
凛さんの成長や、何か変化が見られるのかと思ったけど、感じられなかった。。うーーむ。
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結局、最初から最後まで
あまり目立たず
迷惑をかけないよう
人と深く関わろうとしないから
いろんなエピソードがうすい。
なんだか気の毒…
で終わってしまっている。
変わっていく主人公も見たかった。
Posted by ブクログ
重度のアトピーで学校ではいじめ、家では疎まれて生きてきた女性が女店員として仙台で生きる物語。
痒みに悩まされ夜も眠れなかったり、何の良い思い出もない学校生活を過ごしたりなど、壮絶な人生を歩みながらも何とか生きている精神力の強さに脱帽した。
しかし少し過去の話とはいえ、当たり前にいじめや教師の体罰が横行していたり、震災直後にもかかわらず書店に多種多様なクレーマーが押し寄せたりと、仙台の人々を露悪的に描きすぎな気はした。(書店員をしている作者の実体験が多少は入っているのかも?)
一応白銀というオタク仲間の同僚がいたのが救いだが、もう少しスッキリするエピソードがあっても良かったと思う。
Posted by ブクログ
肌を見られたくない、でもこの苦しみを知って欲しい。五十嵐凜、非正規書店員6年目。アトピーの痒みにも変な客にも負けず、今日も私は心を自動販売機にして働く。そこに起こった東日本大震災。本を求める人々。彼女はそのとき、人間の本性を目撃する。現役書店員が描く、圧倒的リアリティ。
割と強めのアトピー持ちの五十嵐凛は、仙台の書店に勤める契約社員だ。出てくる客も握手会イベントにくる作家も同僚も家族も、出てくる奴らの大半が糞という設定。抑圧された人生を送ってきた凛が、真夜中の公園で自分を開放するシーンにはジンとくるものがあった。でもジーンズをコソコソと回収する姿を想像したときには笑えた。著者である佐藤厚志さんはジュンク堂の書店員だそう。だから話がリアルだ。